【決算プレビュー】アーム、急浮上した「2つの懸念」!払しょくできる?
$アーム・ホールディングス (ARM.US)$ は、11月6日引け後(現地時間)に7-9月期決算を発表する予定。
●市場予想に基づけば、7-9月期は売上高と調整後EPSが鈍化する見込み。10-12月期以降は回復する見込み。
●今回の注目点は、決算直前に浮上した「2つの懸念」を払しょくできるかどうかとなろう。
1)主力のスマートフォン市場の低迷による影響
2)主要顧客であるクアルコムとの対立激化による影響
●市場予想に基づけば、7-9月期は売上高と調整後EPSが鈍化する見込み。10-12月期以降は回復する見込み。
●今回の注目点は、決算直前に浮上した「2つの懸念」を払しょくできるかどうかとなろう。
1)主力のスマートフォン市場の低迷による影響
2)主要顧客であるクアルコムとの対立激化による影響
市場予想
7-9月期は鈍化見込み、10-12月期のガイダンスにより注目
◇Bloomberg集計の市場予想に基づけば、7-9月期は売上高が8.1億ドルと前年同期比0.6%増で、4-6月期の39%増から伸びが鈍化し、調整後EPSは0.26ドル(前年同期は-0.08ドル)で4-6月期の0.40ドルから減少する見込みとなっている。
7-9月期は鈍化見込み、10-12月期のガイダンスにより注目
◇Bloomberg集計の市場予想に基づけば、7-9月期は売上高が8.1億ドルと前年同期比0.6%増で、4-6月期の39%増から伸びが鈍化し、調整後EPSは0.26ドル(前年同期は-0.08ドル)で4-6月期の0.40ドルから減少する見込みとなっている。
◇ただ、10-12月期以降は業績回復が見込まれている。したがって、7-9月期の実績もさることながら、会社側が示す10-12月期や通期のガイダンスがより注目されよう。
前回の決算発表時
強弱まちまちの決算内容で株価が下落
◇7月31日に発表した4-6月期の売上高は前年同期比39%増の9.4億ドルで、市場予想の9.05億ドルを上回った。うち、ライセンス収入は4.72億ドルで市場予想の4.18億ドルを上回った。7-9月期売上高ガイダンス(7.8億~8.3億ドル)もおおむね市場予想と一致した。
強弱まちまちの決算内容で株価が下落
◇7月31日に発表した4-6月期の売上高は前年同期比39%増の9.4億ドルで、市場予想の9.05億ドルを上回った。うち、ライセンス収入は4.72億ドルで市場予想の4.18億ドルを上回った。7-9月期売上高ガイダンス(7.8億~8.3億ドル)もおおむね市場予想と一致した。
◇しかし、ロイヤリティ収入は4.67億ドルで市場予想の4.92億ドルに届かなかった。会社側は一部市場で弱さがみられているとし、通期売上高ガイダンスを前年比18%~27%増に据え置いた。この2点が当時、決算発表直後の株価下落につながった。
今回の注目点
決算直前に浮上した「2つの懸念」を払しょくできるかどうか
1)主力のスマートフォン市場の低迷による影響
スマホ関連企業の決算(※)からは、アームの主力市場であるスマートフォン市場の低迷が続く可能性があると示唆された。同社の今後のロイヤリティ収入に影響を与える可能性がある。
決算直前に浮上した「2つの懸念」を払しょくできるかどうか
1)主力のスマートフォン市場の低迷による影響
スマホ関連企業の決算(※)からは、アームの主力市場であるスマートフォン市場の低迷が続く可能性があると示唆された。同社の今後のロイヤリティ収入に影響を与える可能性がある。
(※スマートフォン関連半導体を手掛ける $アムコー・テクノロジー (AMKR.US)$ と $クォルボ (QRVO.US)$ は直近の決算で、ともに弱いガイダンスを発表した。両社の10-12月期売上高見通しは、アムコが16億~17億ドルで市場予想の18億ドルを下回り、コルボは8.75億~9.25億ドルで市場予想の10.5億ドルを下回った。アムコの主要顧客はアップル、コルボの主要顧客は $アップル (AAPL.US)$ とサムスン電子となっている。)
アームの売上高の半分を占めるロイヤリティ収入のうち、スマートフォンの比率は低下しているが、依然として4割を占める(24年3月期)。その他モバイルも合わせると47%となっているため、アナリストたちは引き続き、携帯電話からのロイヤリティ収入を重視ている。
Bernsteinの担当アナリストは10月31日に、AI以外の収益懸念を理由に、アームの投資判断を「アンダーパフォーム」に引き下げた。それを受け、アーム株はその日8%下落した。短期的にアームの株価にとって、AI以外の収益がより注目される可能性があろう。懸念払しょくにつながるような決算内容となれば、買い戻しにつながる可能性がある。一方、懸念通りに弱い見通しが示された場合は、他のアナリストも投資判断や目標株価の引き下げに動くかもしれない。
なお、中長期的にはAI関連分野の「伸びしろ」がより大きく、それがアームの高いバリュエーションを支えている。AI関連で市場の期待を上回る進展が示された際はプラス材料となり得ると考えられる。
2)クアルコムとの対立激化による影響
アームとその主要顧客である $クアルコム (QCOM.US)$ の間では、足元でライセンス契約をめぐり対立が激化している。今回の決算説明会で対立激化をめぐる説明や見通しに関する情報が出るかどうかが注目される。
アームとその主要顧客である $クアルコム (QCOM.US)$ の間では、足元でライセンス契約をめぐり対立が激化している。今回の決算説明会で対立激化をめぐる説明や見通しに関する情報が出るかどうかが注目される。
Bloommbergは10月23日に、アームがクアルコムに対し、半導体設計ライセンス契約の解除をめぐり義務付けられている60日前の通告を実施したと報じた。それに対し、クアルコムは「アームがロイヤリティ料率を引き上げることを目的とした根拠のない脅迫である。12月(中旬)の裁判が間近に迫っている中、アームの必死の策略は法的プロセスを混乱させようとするものであり、契約解除の主張はまったく根拠のないものだ」と反論した。
なお、アナリストたちは、最終的に両社が「和解」する可能性が最も高いとみている。両社は将来的に競争相手となる可能性があるが、現段階では依然として相互依存の関係にあるためだ。クアルコムはアームの主要顧客の1社として、アームの年間売上高(2024年3月期)の10%を占める。アームはクアルコムの仕入れ先としてその比率は約2%(2024年)と低いが、アームの設計ライセンスに大きく頼っているもの実情だ。
他方、「和解」はライセンス契約の見直しが伴うと予想されている。クアルコムはアームの「ロイヤリティ料率引き上げ」という条件を受け入れる可能性があると予想するアナリストが比較的多い。アナリストたちの予想通りとなれば、アームとってプラス材料となろう。ただ、アームにとってのリスクはロイヤリティ料率の引き上げに失敗し、価格決定力が限定的と示されることだと、Bloomberg Intelligenceは指摘した。
(なお、クアルコムも11月6日引け後(現地時間)に決算を発表する予定。)
バリュエーションは割安ではないが低下
アームのバリュエーションは、11月5日時点で予想PER(株価収益率)が約74倍で過去1年平均(73倍)をわずかに上回る水準まで低下している。前回の決算発表時は83倍で平均を上回る水準で取引されていたため、割高感が意識された。ただ、足元の74倍のPERは他のAI関連銘柄(たとえば、 $エヌビディア (NVDA.US)$ は約36倍)を上回っており、割安とも言えず、同社のAIへの期待は依然として高いと言えよう。
アームのバリュエーションは、11月5日時点で予想PER(株価収益率)が約74倍で過去1年平均(73倍)をわずかに上回る水準まで低下している。前回の決算発表時は83倍で平均を上回る水準で取引されていたため、割高感が意識された。ただ、足元の74倍のPERは他のAI関連銘柄(たとえば、 $エヌビディア (NVDA.US)$ は約36倍)を上回っており、割安とも言えず、同社のAIへの期待は依然として高いと言えよう。
なお、11月5日時点の平均目標株価(※1)は、142.58ドルとなっている。オプション取引が示す決算発表日まで1週間の株価変動率は11.1%(※2)となっており、前回の決算発表時(10.6%)をやや上回る。決算に伴うボラティリティの高さが予想されている。
(※1と※2:いずれもBloombergより)
(※1と※2:いずれもBloombergより)
24年11月5日作成 マーケットアナリスト Julie
出所:会社資料およびBloombergよりmoomoo証券作成
出所:会社資料およびBloombergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。
さらに詳しい情報
コメント
サインインコメントをする
glodenman : 祈ります。