【決算まとめ】アマゾン、成長の物語を再び?小売・クラウド堅調で利益大幅拡大、ホリデーシーズンにも期待!
◇7-9月期は11%増収となり、営業利益が市場予想を大幅に上回る
◇主力の2大部門(オンラインストアとAWS)がともに堅調
◇会社全体の営業利益の6割を占めるAWSは19%増収で利益拡大に貢献
◇10-12月期見通しも売上高と営業利益がおおむね市場予想と一致
決算ハイライト● 7-9月期実績:売上が堅調に拡大、利益は予想を大幅に上振れ◇調整後EPS(1株当たり利益):1.43ドル、前年同期は0.94ドル、市場予想は1.16ドル
◇営業利益:174.1億ドル、前年同期比56%増、市場予想は147億ドル
(市場予想はBloommberg集計、下記同様) ◇売上高:1588.7億ドル、前年同期比11%増、市場予想は1572.9億ドル
☆主力の2大部門(オンラインストアとAWS)が堅調
☆特に会社全体の営業利益の6割を占めるAWSが堅調な勢いを維持し、利益拡大に貢献
・ オンラインストア部門の売上高は614.1億ドル、前年同期比7%増、市場予想は596.4億ドル
・ クラウド部門(AWS)の売上高は274.5億ドルで、前年同期比で19%増、市場予想は274.9億ドル
● 10-12月期見通し:おおむね予想と一致
◇売上高:1815億~1885億ドル、市場予想は1864億ドル、中央値で予想やや上回る
◇営業利益:160億~200億ドル、市場予想は175億ドル、中央値で予想をやや下回るも底堅い
決算説明会での経営陣の主なコメント● オンラインストア事業◇オンラインストア事業は
北米部門が前年同期比9%増、
国際部門は12%増を達成。消費者が支出に対し慎重になっているなか、当社は引き続き、価格の引き下げとより迅速な配送で対応し、売上拡大につながった。
◇収益性も改善した。在庫配置の改善もあって、フルフィルメント・ネットワークのコスト構造の改善が引き続き進んだ。
◇7-9月期の
有料会員数は、7月中旬に開催された第10回プライムデーイベントの恩恵で米国と海外の両方で前年同期より増加した。
◇現在、米国で初めて
Amazon薬局を利用されるお客様の95%に2営業日以内に配送でき、米国のプライム会員の20%は24時間以内に配送できるようになった。来年は20の新しい都市で事業を開始する予定で、米国のほぼ半数の人々が数時間以内に自宅に薬を配送できるようになる。
◇生成AIを幅広く活用しており、開発中のアプリが数百個リリースされている。消費者向けには、ショッピング向けAIチャットボット「Rufus」を欧州の主要国に拡大した。米国ではパーソナライゼーションの強化、顧客の意図をより絞り込む機能、リアルタイムの価格設定と取引情報を追加した。
●AWS事業
◇AWSの売上高は前年同期比で19.1%増となり、現在年間1,100 億ドルのランレートに達している。過去4四半期でAWSの成長は再び加速している。
◇AWSの営業利益は104億ドルで、前年同期より35億ドル増加した。売上拡大に加え、効率化やコスト管理(採用や人員配置)への取り組みが寄与した。
◇当社はコアクラウドサービスとAIサービスを拡大する機会を見出している。顧客は生成AIの真のメリットを得るにはクラウドへの移行も必要であるとますます認識している。
◇AWSは過去18か月間で他の主要なクラウドプロバイダーの合計のほぼ2倍の機械学習機能とGenAI機能をリリースした。AWSのAIビジネスは、数十億ドルの収益を生み出すランレートビジネスであり、前年同期比で3桁の伸び率で成長している。
●AIサービスやカスタム半導体など◇AIサービスでは「EC2 P5e」インスタンスを通じて
$エヌビディア (NVDA.US)$ の「H200 GPU」を提供する最初の大手クラウドプロバイダーとなった。エヌビディアとは、今後も非常に長期にわたる重要なパートナーシップを結んでいくと予想している。
◇他方、顧客からはAIワークロードでより優れたコスト・パフォーマンスを求める声も寄せられている。そのため、トレーニング用のTrainiumと推論用のInferentiaで、当社独自の
カスタム半導体に投資している。Trainiumの2番目のバージョンであるTrainium2は、今後数週間で出荷が始まる予定。これらのチップには顧客から大きな関心が寄せられており、当初の計画よりもはるかに多く生産するために、製造パートナーと何度も連絡を取り合っている。
◇クラウドについて私(CEO)が言いたいのは、私たちが今、さらにキャパシティを増やしたとしても、対応できる以上の需要があるということだ。今日、ほぼすべての企業が、需要よりもキャパシティが少ないと思っている。そして、企業がより多くの供給を利用できるのは、主に半導体の分野だ。そのため、我々はAI分野でかなり大きなビジネスを成長させている。
◇AI分野は確かに初期段階にあり、AWSの非AI分野よりも流動的でダイナミックだと思う。AIの初期段階では、新しいサービスが提供され、人々はそれにとても興奮していて、非常に急速に動いている。そして、利益率は、時間が経過するつれ、我々が考えるよりも低くなるとみられる。AWSでも同じだった。ただ、市場が時間とともに成熟するにつれ、生成AIの分野では非常に健全な利益率になるだろうと予想している。
●設備投資計画
◇設備投資については、今年これまでの投資額は519億ドルだった。2024年通年は約750億ドルを予定している。
◇主にAWSに関連するもので、AIサービスの需要に対応するための投資を行っていく。同時に北米および海外部門をサポートするためのテクノロジーインフラストラクチャにも投資する。
●ホリデーシーズンに期待
◇10月に好調なプライムビッグセールデーで幕を開けたホリデーシーズンの始まりに、我々は勇気づけられている。シーズンを通してお客様にサービスを提供する準備が整っており、過去4か月間に2つの大規模なプライム会員イベントを開催し、このホリデー シーズンにお客様に喜んでいただける準備を整えてくれたAmazonチームに感謝したいと思う。
アナリストたちによる目標株価決算発表後、数人のアナリストが目標株価を引き上げた。決算内容については全般的にポジティブ評価が目立った。11月1日時点の平均目標株価は、222.64ドルとなっている。
総合的にみると、今回の決算内容は市場予想を上回って好調だった。主力のオンラインストアとAWSがともに堅調で、特に期待値がそれほど高くなかったAWSの伸び加速による営業利益の大幅増加はポジティブ材料となった。アマゾンが再び成長ストーリーを描く可能性もあると示唆された。AIサービスの導入による業績への貢献とともに、設備投資を拡大する意向を示したのも、評価ポイントと言えよう。バリュエーションは12カ月先PER(株価収益率)が27.9倍で過去5年平均の42.5倍を大きく下回る。今回の業績内容と見通しを踏まえると、割安感があると言えそうだ。
24年11月1日作成 マーケットアナリスト Julie
出所:会社資料およびBloommbergよりmoomoo証券作成
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