NVIDIAからテスラへ株高のけん引役が交代？テスラ株、次の起爆剤は？

$テスラ(TSLA.US)$株は、6月24日以降、6営業日連続で上昇、約27％上昇している。7月に入って2日だけで15％超上昇しており、他の銘柄を圧倒する上昇率である。特に、2日に発表した第2四半期の納車台数が予想を上回ったことで、株価は10%超上昇し、今年1月11日以来の高水準となった。他のハイテク株にも買いが波及し、S&P500種指数は同日、初めて5500の大台に乗せた。失速し始めた $エヌビディア(NVDA.US)$に代わり、 $アップル(AAPL.US)$や $アマゾン ドット コム(AMZN.US)$など米超大型株「M6」は6月以降、じわりと上昇し、S&P500指数を支えている。このように、エヌビディアからテスラへ株高のけん引役が交代されるとの憶測も出ている。

テスラは、第2四半期の納車台数が44.4万台となり、予想の43.9万台を上回り、電気自動車販売台数世界首位の座を守った。この好成績は、テスラがいくつかの地域で0％または低金利の融資を含むインセンティブを提供したことや、モデル3ロングレンジが最近米国でIRA税額控除の資格を再獲得したことなど、さまざまな要因によって達成された。モルガン・スタンレーのアナリストによると、テスラの第2四半期報告は「今年最初のポジティブなサプライズ」とされている。

朗報はそれだけではない。テスラの太陽光発電と蓄電事業も第2四半期に新境地を開いた。

2日、テスラのエネルギー子会社であるテスラ・エナジーは、第2四半期に9.4GWhのエネルギー貯蔵を配備し、四半期ベースで過去最高記録を更新した。前期比では129％、前年比では157％という驚異的な伸び率を記録した。 アナリストによると、テスラが第1四半期に展開した4.1GWhのエネルギー貯蔵と合わせて、今年上半期の累積値は13.5GWhに達し、これはテスラが昨年通年に配備した14.724GWhのエネルギー貯蔵に迫っているという。モルガン・スタンレーは、テスラは太陽光発電とエネルギー貯蔵の "キーカード "を持っており、これらは次のAI投資の重要な切り札になるだろうと述べた。

モルガン・スタンレーのAdam Jonasによれば、AIデータセンター向けの莫大な電力需要により、テスラは米国エネルギー市場の重要な参加者になるだろうという。同氏は、2024年度のテスラ・エナジーの売上高は70億ドルを超え、2025年には利益率がテスラの自動車事業を上回る可能性があると予想する。2030年までには、テスラ・エナジーはテスラ全体の収益性に大きく貢献するだろうという。

過去の統計データによると、7月はテスラにとって「幸運の月」だ。 過去9年間の7月、テスラの株価は6回上昇し、その確率は67％に達し、中でも2020年、2022年の7月は急上昇し、同月は32％以上上昇した。

注目すべきは、納車データはテスラの株価に影響を与える短期的要因の一つに過ぎないということだ。投資家たちは今後6週間で、最新の決算報告とロボタクシーのデビューという2つの重要なイベントを迎えることになる。

テスラは7月23日の引け後に決算を発表する。アナリストは、第2四半期の納車予想を引き下げたため、テスラの第2四半期業績予想を引き下げた。同社の自動車販売の減速はすでに織り込み済みであり、利益予想の引き下げは期待達成のハードルも低くなることを意味する。

注目すべきは、テスラの株価は、決算発表前後に独特なパターンを示している。決算発表の2週間前には株価に下押し圧力がかかる傾向があるが、発表後の2週間は大幅な反発を伴うことが多い。 このパターンは一般的な市場現象ではなく、テスラのボラティリティに特有のようだ。過去12四半期の統計では、テスラは決算発表の2週間後に平均6.7%上昇したのに対し、発表前の2週間は2.9%下落だった。

イーロン・マスクは以前から、テスラの長期的な価値は人工知能とロボット工学によってもたらされると述べてきた。8月8日のRobotaxiデビューは、テスラの完全自動運転（FSD）技術と将来のビジョンを披露するイベントで、同社の自動運転に向けた成長にとって歴史的な節目となる。マスクはソーシャルメディアX（旧Twitter）上で、「テスラが自動運転の問題を完全に解決し、ヒト型ロボット「オプティマス」を大量生産できるようになれば、ショートポジションを抱えている人はビル・ゲイツ氏でさえも一掃されるだろう」と警告。

Wedbushのアナリスト、Dan Ives氏は、テスラは市場全体で最も過小評価されているAI企業であり、来月の "Robotaxi Day "はテスラの歴史において重要な瞬間となり、短期的にはテスラの株価上昇の起爆剤となるだろうと述べた。

楽観的な見方は主に、電気自動車の需要回復、テスラのAI事業、エネルギー貯蔵事業、自動運転サービス「Robotaxi」による成長の可能性に集中している。

Wedbushは楽観的な見方を示し、同社は8月8日の歴史的なロボタクシーの日を前に、困難な時期を乗り越え、ようやく上昇気流に乗ったと述べた。テスラの今後12ヶ月の目標株価を275ドルから300ドルに引き上げ、2025年までに株価は2倍の400ドルになると予測している。

CFRAのGarrett Nelson氏は、テスラの納車台数が予想を上回ったことで、電気自動車需要の低迷に対する懸念が大幅に緩和されたと考え、今後12ヶ月間の目標株価を20ドル引き上げ、250ドルとした。

一方、弱気派は依然としてテスラのファンダメンタルズに対する懸念を示しており、米国の電気自動車販売におけるテスラの主導的地位は低下していると考えている。Motor Intelligenceのデータによると、5月の米国での電気自動車販売に占めるテスラの割合は約50%で、前年同期の約60％から縮小した。