歴史は繰り返す？！トランプ政権「1.0」は株価指数1.7倍！

アメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏は1か月後の来月20日、第47代大統領に就任する予定。歴史を振り返ると、アメリカ第45代大統領であるトランプが2016年にアメリカ大統領選挙に勝利した後、その経済政策は金融市場に深い影響を与えた。特に、 米国を代表する約500銘柄で構成される $S&P500 (.SPX.US)$ が、その任期中の4年間で約70％の大幅な上昇を記録した。

トランプ就任前の株式市場、期待に応える上昇（2016年11月8日 - 2017年1月20日 ）
2016年の選挙でトランプ氏が予想外の勝利を収めた直後の数時間で、市場はその経済政策に対して前向きな反応を示した。特に、同氏が公約に掲げていた法人減税や規制緩和を反映して米国株と米国債利回り、ドルが同時に急伸した。選挙日から就任日までの期間に、S&P 500指数は6.56%上昇した。

選挙期間中、トランプ氏は大規模な税制改革を推進すると約束した。企業や個人の税率を下げることで経済の成長と投資を刺激することを目指している。市場の信頼性の向上に寄与した。また、トランプ氏は大規模なインフラプロジェクトを提案した。アメリカの交通、エネルギー、通信などの基盤を強化することを目指し、経済成長を促進し、新たな雇用機会を創出することが期待されている。つまり、市場における楽観的な期待はS&P500指数を押し上げた要因となった。

トランプ就任後の株式市場、政策変更に応じた動向 （2017年1月20日-2021年1月20日）
◇トランプ政権が発足した2017年初頭から、金融サービスおよびエネルギー分野を中心に規制緩和が始まった。政策は、企業のコスト削減と経済成長の促進を目指していた。2017年にトランプ政権は1兆ドル規模のインフラ投資計画を提案したが、この計画は完全には実施されませんでした。提案が公表された際には、関連産業の株価が一時的に上昇する効果が見られた。

◇トランプ大統領は就任直後に「アメリカ・ファースト（米国第一主義）」貿易政策を推進し、国内製造業の保護と活性化を図るために貿易協定の再交渉に着手した。特に注目されたのは、カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定（NAFTA）の再交渉した結果であり、2018年10月1日にアメリカ・メキシコ・カナダ協定（USMCA）が正式に合意された。USMCAにより、製造業や自動車産業など、直接的に影響を受けるセクターが安定し、それが広範な経済活動に好影響を与えることが期待された。また、新協定が技術移転や知的財産の保護の強化は、技術株や製薬株など、知的財産が重要な役割を果たす産業にとってもプラスとなっている。

◇2017年12月22日には、税制改革と雇用創出法案（Tax Cuts and Jobs Act）が署名され、企業税率が35％から21％に大幅に引き下げられた。この税制改革により、企業の投資拡大が促進され、雇用機会が増加し、経済成長が進むことが期待された。特にS&P 500指数を含む株価を顕著に押し上げる結果となった。また、個人所得税の改正により、手取り収入が増加し、経済成長及び株市の活性化に寄与した。

◇2018年には、税制改革の効果で企業の手元資金が拡大し、多くの企業がその資金を活用して自社株を買い戻した。税制改革に伴い企業の税負担が軽減され、株価の上昇と一株当たりの利益増加が見られた。その結果、2018年には企業による株式買い戻し額が歴史的高水準に達した。

◇2020年3月、S&P 500指数は年初の高値から30%以上急落したが、その後数ヶ月回復し、年末には約16.26%上昇し、高値を更新した。同年、新型コロナウイルスが世界経済および金融市場に深刻な打撃を与えた。コロナに対応して、トランプ政権と議会は大規模な金融・財政刺激策を実施し、「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障（Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security）法」に署名した。その措置は2兆2,000億ドルに上る米国史上最大規模の救済措置で、各世帯への現金給付や失業保険の拡充、民間企業支援などが盛り込まれた。金融市場の安定を維持し経済成長を促進する上で重要な役割を果たした。

トランプ政権「2.0」に突入へ！今後の展望（2025年1月20日-2029年1月20日）
トランプ大統領の第一期任期中、S&P 500指数は全体的に上昇傾向を示した。株式市場の好調は、トランプ氏の政策が大きく寄与していた。最初の減税や規制緩和は市場に活気を与えたが、途中で貿易政策の変更が不確実性をもたらした。新型コロナウイルスが流行した時、市場には短期的な影響があったが、政府の迅速な対応で市場は回復した。

トランプ氏は12月12日に、ニューヨーク証券取引所（ＮＹＳＥ）の取引開始を告げるオープニングベルを鳴らした。この場を使って、改めて減税に関する一連の政策案を表明。同氏が集まった企業経営者らに対し、法人税率を現行の21％から15％に引き下げる意向を表明した。「ただし、製品を米国で生産する場合に限る。そうでなければ21％のままだ」と同氏述べた。また、トランプも「私にとって株式市場が全て」と表明した。AIと暗号資産に対する大胆な行動や景気対策のための減税も強調した。（関連記事：「トランプ2.0」大規模減税恒久化・関税引き上げが鍵　注目すべき業種と銘柄は？）

また、2025年の展望において、ウォール街で、強気な意見が多く聞かれる。S&P 500の予想平均は約6500ポイントと見られている。多くのアナリストが、高い株価評価にもかかわらず、利益の見通しが良いと指摘している。利下げ継続とトランプ次期政権の規制緩和・減税路線の推進などを背景に、政策の面から米国株を押し上げる要因と考えられている。（関連記事：【2025年の展望】強気相場継続か？ウォール街はS&P500が年末7100に上昇すると予想）

しかし、来年、米連邦準備制度FRBが米株に不確かな影響を与える可能性もある。Bloombergエコノミストによると2025年にはFOMC投票委員会に、地区連銀総裁の年次交代の一環として4人の新規メンバーが加わる。2025年のメンバーに対する「タカ派」・「ハト派」のスコアに基づくと、投票委員会の意見分布は2024年に比べると、「中道」から離れ、やや「タカ派」へシフトするという。そのため、利下げ決定について、反対票を投じるメンバーが今年により増える可能性がある。（関連記事：【2025年の展望】利下げ鈍化も緩和継続！FRBの「タカ派度」はトランプ次第？株式市場への影響は？）