S&P500に勝つ方法！

S&P500を超えるリターンを出すのは難しいと言われています。過去に15年以上の長期間でS&P500を超えることができたアクティブ運用のファンドは約12%しかありません。しかし、短期の1年間でS&P500を超えることは可能であり、今回のレポートではどうやったら市場平均を越えることができるのか？を考えていきます。

2024年のS&P500は23％上昇して5881.62で終えました。2年連続で20％以上上昇して終えるというのは過去2回目という幸運な相場でしたが、ブルームバーグのデータによると、S&P500のリターンを上回ったヘッジファンドは44社中10社のみでした。各社はそれぞれの戦略をもって投資をしていますが、トップの成績を収めた２つの企業はマクロ戦略です。

出典：ブルームバーグ

マクロ戦略とは、世界中の国や地域における経済や金融市場、政治情勢などの大局的な動きを分析して、株式や債券、通貨、商品（コモディティ）、先物市場などの金融市場で売買する投資戦略です。僕はこういった動きを毎日のYouTubeで解説していて、全体の方向性をお伝えしています。その上で重要になってくるのは、個別株投資やテーマ株投資。そして株式投資がギャンブルとならないよう、しっかりと利益成長している企業を選ぶことが、長期的には重要な要素と考えています。

2025年のS&P500の市場予測の中央値は6600です。2024年の終値と比較すると12.2％の上昇余地があります。

3年連続20％以上にならないかもしれないけど、13％ほどのリターンを狙えば現時点で市場の平均リターンを上回ることができる可能性があります。

基本的に株価は、EPS（1株利益）×PER（株価収益率）で計算されます。

【2024年のS&P500の一株利益は$240前後】

青線：S&P500
黒線：12か月後EPS

出典：FACTSET

2014年〜2024年の期間は、金融政策の変更や量的緩和・縮小などにより短期的に株価が下落した場面も見られますが、基本的には企業の利益成長は続いてきました。EPSが上昇すれば株価も上昇するという相関関係が見て取れます。

2025年のEPS予想

ゴールドマンサックス：$268　（11月26日時点）
FACTSET：$260～$275　　　　（12月5日時点）

2024年はまだ第4四半期の決算が終わってませんが、$240前後と予想されています（成長率約8％）

【PERは高いけど大丈夫？】

過去１年間のEPS（1株利益）を基にしたS&P500のPERは28.7で割高と言われています。

過去10年のPERのグラフ

緑：5年平均24.0
青：10年平均22.0

出典：FACTSET

しかし、米国株は成長が早いので今後予想されるEPSで計算する方が一般的です。そこで、今後12ヶ月の予想EPSを基にしたもので見ると、PERは22.3にまで下がります。

過去10年の12か月後PERのグラフ

緑：5年平均19.7
青：10年平均18.1

出典：FACTSET

今の市場平均22.3倍は過去と比べるとまだ高めです。しかしPERが何倍が正解か？という答えはありません。22.3倍というのは過去の水準よりは高いけど、それが今後平均になっていくかもしれません。10年平均よりも5年平均の方が高くなってるように、切り取る期間によっても変わってきます。FRBの金融緩和、ＡＩの進化、ＡＩによる生産性の拡大などで、企業が利益を高めていけるのであれば、PERの上昇も許容範囲となり得るでしょう。したがって、株価＝EPS（1株利益）×PER（株価収益率）を前提で考えた場合、やはりEPSの成長が重要だと考えています。

【S&P500のEPS成長率】

1991年以降のS&P500の予想EPSの前年比伸び率の平均は7.3％
2024年の市場予想のEPS成長率は約8％

収益成長に最も貢献した上位5社のうち4社はNVIDIA、Amazon.com、Alphabet、Meta Platformsでした。2024年のQ4の決算報告はまだ終わってませんが、アナリストは2024年に「マグニフィセント7」が33%の収益成長を報告すると予想しています。そして他の493社が2024年に4%強の収益成長を報告すると予測しています。

出典：FACTSET

つまりS&P500のほとんどの企業が、予想成長率の8％に達していませんでした。

493社の利益成長がS&P500以下ということで、株価もはっきりとS&P500を下回っています。

出典：ブルームバーグ

【S&P500のEPS成長率を超える銘柄】

そこで、2025年に市場平均を越えるリターンを狙うなら、少なくともこのS&P500全体のEPS成長率を越える銘柄に投資をする必要があります。FACTSETは2025年のEPS成長率を14.8％、売上成長率を5.8％と予想しています。

例えば、下記条件でスクリーニングをする方法です。

1. 5年間のEPS成長率: 20％以上
2. 5年間の売上高成長率: 20％以上
3. 時価総額1000億ドル以上

moomoo証券のデスクトップアプリ

→①投資ナビ
→②スクリーナー

→③新規作成
→④条件追加
→⑤時価総額＆EPS年平均成長率&売上高年平均成長率

→⑥金額と％の入力
→⑦スクリーニング結果

①『NVDA：EPS成長率48.4％　売上高成長率39.06％』データセンターGPUとCudaソフトウェアプラットフォームにより、AIモデルトレーニングの主要ベンダーとしての地位を確立しました。このユースケースは、今後数年間で指数関数的に増加するはずです。

アナリストの評価の確認方法

※本画面に表示されている目標株価は投資推奨ではなく、情報提供のみを目的としています。

→①予想
→②アナリストの評価

総合評価：強気　　目標株価：上限：$220　平均：$178　下限：$160

②『CRM：EPS成長率24.05％　売上高成長率21.28％』クラウドベースの顧客関係管理（CRM）ソフトウェアを提供する世界的なIT企業です。

※本画面に表示されている目標株価は投資推奨ではなく、情報提供のみを目的としています。

総合評価：強気　　目標株価：上限：$450　平均：$402　下限：$286

③『ANET：EPS成長率45.33％　売上高成長率22.19％』大規模データセンターとクラウドコンピューティング環境向けのネットワーク機器メーカーです。

※本画面に表示されている目標株価は投資推奨ではなく、情報提供のみを目的としています。

総合評価：強気　目標株価：上限：$140　平均：$119　下限：$95

【S&P500のEPS成長率を越えるセクター】

2024年はマグニフィセント７の利益成長の貢献が高すぎましたが、2025年もこういった傾向が続く一方で、少しずつ裾野が広がっていきそうです。

特定のセクターでは、高い成長率が期待されています

– 情報技術
– ヘルスケア
– 工業

特に情報技術と工業は9月30日に予想されていた時から上方修正されています。市場平均を超えるにはある程度の集中投資が必要なので、S&P500よりも高い成長のセクターを全て買うというよりは、この中で自分の得意なジャンルに絞って投資をしていくのが一般的です。

【まとめ】

S&P500を超えるリターンを出すのは難しいと言われています。2024年は23％上昇しましたが、その大半はマグニフィセント7などの一部の企業の利益成長が凄まじく、その他の企業の成長は低かったです。マクロ環境という土台がしっかりしているのを前提としたうえで、成長期待の高い銘柄に集中投資をしていくことで、2025年も市場平均のリターンを超える投資は可能だと考えています。

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