どこよりも分かる【グーグルQ3決算まとめ】

米グーグルの持ち株会社 $アルファベット A(GOOGL.US)$は25日(日本時間)に23Q3(2023年7〜9月期)決算を発表した。決算により、ネット広告の復調が鮮明になってきた。ただ、クラウド部門の売上高が84.1億ドルと予想を下回ったことを嫌気している模様で、足元では株価は9%近く下落。同社の将来の成長に不可欠な市場での地位に対する懸念が高まった。

増収増益も株価一時急落
GOOGが引け後に23Q3(2023年7〜9月期)決算を発表し、売上高（トラフィック獲得コスト除く）が予想を上回ったほか、１株利益も予想を上回った。業績を牽引したのは主力事業のインターネット広告だ。2023年前半には「広告主の支出抑制がある」と言及していたネット広告の復調が鮮明になってきた。

ピチャイＣＥＯは「検索、ユーチューブ、クラウド、ピクセル・デバイスなど様々な分野でＡＩを活用したイノベーションを実現している。われわれはＡＩをすべての人にとってより役立つものにすることに引き続き注力しおり、それにはエキサイティングな進展があり、さらに多くのことが起ころうとしている」と述べた。

ネット広告復調もクラウド成長鈍化、生成ＡＩ台頭で新たな脅威
セグメント別の売上高は、ネット広告事業の売上高は前年同期比9%増の596億4700万ドルとなり、増収率は前の四半期の3%を上回った。ネット検索の結果に連動する内容を表示する検索連動型広告の売上高が前年同期より11%増加した。動画共有サービス、ユーチューブの広告は12%増え、増収率は前の四半期の4%を大きく上回った。

ネット広告に次ぐ事業の柱に育てることを目指しているクラウド事業の売上高は前年同期比22%増の84億1100万ドルとなり、市場予想に届かなかった。アルファベットのルース・ポラット社長はメディアのインタビューで、クラウド部門の売上高は一部顧客のコスト削減の影響を受けたと説明した。その影響を受け、時間外取引でアルファベットの株価は一時、同日終値より6%超下落した。一方、営業損益は2億6600万ドルの黒字（前年同期は4億4000万ドルの赤字）となり、3四半期連続で黒字を計上した。

グーグルが独占する検索市場は、生成ＡＩチャットボットの台頭で新たな脅威に直面している。対話型ＡＩ「ChatGPT（チャットＧＰＴ）」を開発したオープンＡＩを支援するマイクロソフトなどは、検索分野でリードするグーグルに新技術で挑戦している。

ポラット社長とアルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者（ＣＥＯ）は、事業運営の効率化手段を模索し続ける考えを示した。ポラット氏は「社員数のより緩やかな増加ペース」を維持すると述べ、「ＡＩなどの機会に投資する余地を可能な限り確保するためだ」と説明。ピチャイ氏は「世界をリードするＡＩモデルとインフラ確保に必要なことは全て行う」と会見で語った。

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出所：アルファベットIR情報、Bloomberg、日本経済新聞、MINKABU