AI需要と収益成長で注目されるマイクロンの可能性

マイクロン・テクノロジーは、人工知能（AI）ブームの恩恵を受ける数少ないメモリチップメーカーの一つである。同社の高帯域幅メモリ（HBM）チップは主要顧客であるNvidiaのAIプロセッサ向けに供給され、2025年まで契約済みの状況が続いている。
さらに、データセンター向け需要や在庫管理の改善により、次回収益発表でもポジティブな見通しが期待されている。株価は現在、過去最高値を下回る水準で推移しているが、収益拡大とガイダンス次第では大きな上昇が見込まれる。また、2025年度の利益見通しは業界全体の動向を示す指標としても注目されている。市場で割安とされる同社株が、今後の成長エンジンとなるか焦点が集まっている。

マイクロン・テクノロジーは、AI市場の急成長に支えられた需要増加を背景に、業績回復を鮮明にしている。同社の主力製品であるDRAMとNANDは、データセンターやAIプロセッサ向けの需要を中心に堅調な伸びを見せている。特に、Nvidiaのプロセッサに使用される高帯域幅メモリ（HBM）は、2025年までの契約がすでに埋まっており、安定した収益源となっている。
同社の戦略的なセグメントでは、自動車向け製品の売上が4年連続で成長を続けており、安定した収益基盤を形成している。さらに、第4四半期の売上高93%増という結果からも分かるように、マイクロンは製品ポートフォリオの最適化と価格改善による粗利益率の向上を実現している。これらの戦略は、過去の半導体市場の循環的な特性を克服するための取り組みといえる。
一方で、現在の株価が過去最高値から30%以上低い水準にとどまっていることは、投資家心理の慎重さを反映している。業界全体の不透明感が続く中で、マイクロンの積極的な市場戦略がこの課題をどう克服するかが注目される。

AI技術の進展は、半導体メーカー全体に長期的な需要増加をもたらしているが、マイクロンにとって特に追い風となっている。同社は、AI対応デバイスに必要なDRAMの需要が30%増加するとの予測を公表しており、これが売上拡大の大きな要因となる可能性がある。また、CEOのサンジェイ・メフロトラ氏は、データセンター顧客の需要が引き続き強いことを強調しており、AI市場の恩恵を受けた供給体制の強化を図っている。
ただし、こうした成長が安定して続くかどうかには注意が必要だ。AI分野への依存度が高まる一方で、パソコンやスマートフォンといった従来市場の需要が低迷しており、業界の競争激化も見逃せない要素である。また、マイクロンは92億ドルの現金と投資を保有しており、これを活用した研究開発や生産能力の拡充が鍵を握ると考えられる。
独自の視点では、AI市場の成長が業界全体の需要を底上げする一方で、マイクロンが競争の激しい環境下でどの程度持続可能な成長を維持できるかが重要な分岐点となるだろう。

マイクロン株は現在、予想収益の8倍という割安な評価を受けており、2026年度には1株当たり利益が12.58ドルに拡大するとの見通しもある。この背景には、強力なキャッシュフローの確保と株主還元政策がある。同社は2024年度第4四半期に34億ドルの営業キャッシュフローを創出し、その一部を自社株買いに充てることで株主価値の向上を目指している。
さらに、アナリスト29名中25名が「強い買い」と評価しており、目標株価は現状から約40%の上昇余地があると見られている。このような評価は、短期的な市場動向だけでなく、長期的な成長見通しに裏打ちされたものであるといえる。
ただし、半導体業界特有の変動性を考慮すれば、投資家は慎重な姿勢を崩すべきではない。市場の需要サイクルや競争環境に左右されるリスクは依然として残るが、マイクロンのように安定した収益基盤を持つ企業は、その中でも比較的優位に立つ可能性が高い。

Source　AI需要と収益成長で注目されるマイクロンの可能性 2024年12月18日