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世界乗用車地図を塗り替える中国NEVメーカー ~其の弐 テスラを相手に一歩も引かぬBYD~

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太郎丸 コラムを発表しました · 2023/09/20 09:45
NEVメーカーとして初の500万台を達成 
去る8/9、中国NEVメーカー最大手 $BYD (01211.HK)$(1211)の生産ラインから500万台目のNEV 「騰勢(Denza)N7」 がリリースされた。同社NEVの累計生産台数が100万台に到達するまで13年間を費やしたが、100万台から累計300万台までは約1年半、300万台から累計500万台までは僅か9か月間の出来事だった。 NEVメーカーとして初の500万台生産というマイルストーンを刻んだ同社の底力を垣間見る前に、まず、同社の23年6月中間決算を振り返っていきたいと思う。 
同社23年6月期中間決算は、売上高は前年同期比72.7%増の2601億2400万元、純利益は同2倍増の109億5400万元だった。売上高は市場予想を上回ったものの、純利益は市場予想をやや下回った。 23年1-6月期NEV販売台数は前年同期比95.8%増の125万5600台となり、うち海外向けは7万4300台だった(2022年通期は5万5900台) 。中国EV市場で価格競争が激化していくなか、王朝(Dynasty)シリーズや海洋(Ocean)シリーズ などに代表されるラインナップ(15万元~110万元)が充実しているほか、自らEV主要部品を開発・製造を手掛ける「垂直統合型」というコスト優位を活かした同社は、中国EV市場でシェアトップの座を守り続けている。 
BYD販売台数の月間推移(単位:台)
BYD販売台数の月間推移(単位:台)
 BYD海外向け販売台数の月間推移(単位:台)
BYD海外向け販売台数の月間推移(単位:台)
今後デビュー予定の同社主なラインラップ
今後デビュー予定の同社主なラインラップ
「垂直統合」が値下げ戦略をバックアップ 
テスラ( $テスラ (TSLA.US)$)を始め、EVメーカー各社による値下げ合戦が繰り広げられたなか、大半のEVメーカーは原価割れ販売を強いられてきた。主要EV各社23年上期の粗利率をみると、テスラの粗利益率は18.2%、理想( $LI・オート(理想汽車) (LI.US)$)は21.2%と善戦を見せる一方で、蔚来( $ニオ (NIO.US)$)は1.0%、小鵬( $シャオペン (XPEV.US)$)は▲1.0%だった。同社の粗利率はテスラとほぼ互角の18.3%だった。「垂直統合型」を取り入れた同社は、柔軟なコスト削減を通して、EV値下げ合戦を制してきた。UBSが同社22年型セダン「海豹(シール)」を分解したところ、自社製部品の割合は世界平均の倍となる75%に上ることが明らかとなった。自社によるサプライチェーンのコントロールを徹底させた結果、テスラに対しコスト面で10%以上の優位性、欧米EVメーカーに対し25~35%の優位性を持つことに至った。 
 下のグラフには、同社NEVの1台あたりの平均販売価格、平均コスト、平均粗利益、平均粗利率が盛り込まれている。23年4-6月期同社NEVの平均販売価格は15.66万元だった。前四半期に比べ13,300元の値下げとなったものの、平均コストは12,000元低下したことを受け、粗利益は1,000元減の34,000元となった。1台当たりの粗利益はやや減少に転じたなか、値下げ戦略が功を奏し、23年4-6月期の販売実績は前四半期から27.4%増の70万3600台だった。 
NEV販売単価とコスト(緑)、粗利益(黄)、粗利率(線)推移(単位:万元・四半期)
NEV販売単価とコスト(緑)、粗利益(黄)、粗利率(線)推移(単位:万元・四半期)
快進撃を支える同社の技術力 
日経新聞は世界市場における2022年の主な63品目について「主要製品・サービスシェア調査」を実施したところ、米国は22品目と首位を走り、続く中国が16品目となり、日本は6品目にとどまった。EV分野、車載用リチウムイオン電池分野、リチウムイオン電池向け絶縁体分野などで高いシェアを擁している中国は、18品目でシェアを拡大している。同社の場合は EVや車載用リチウムイオン電池において、共に市場シェア2位に食い込んでいる。 
同社2022年の研究開発費は202億元に上り、営業利益の4.77%を占めている。同社が開発した刀のような長い電池セル 「ブレードバッテリー」は同社のこだわり技術として知られる。「三元系」と呼ばれる主流の電池と異なり、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用することにより、熱安定性が高く、充放電のサイクル寿命が長く、希少金属を使わないことから、コストが安いことが特徴である。一方、エネルギー密度が低く、EV航続距離が短いとの欠点を克服するため、同社は限られたスペースにより多くのセル搭載することで航続距離を延ばすことに成功した。同社の日本法人は22年5月、日本市場向けに導入した新型EVバス「J6」(小型バス)や「K8」(大型バス) にも「ブレードバッテリー」が搭載されている。EVのバッテリーの寿命は一般的には「8年または16万km」とされているが、同社の保証期間は「8年または40万km」と他社の追随を許さない。 
刀(ブレード) のセルが並ぶ「ブレードバッテリー」
刀(ブレード) のセルが並ぶ「ブレードバッテリー」
新型バス「J6」
新型バス「J6」
今年は300万台と強気な販売目標が設定されたなか、8月までの累計販売台数は年間目標の60%の178万台にとどまった。同社の販売動向をみると、7月は26万台超、8月には27万台超と順調に伸びているが、残る4カ月間販売目標の120万台は明らかにハードルが高いとみられる。同社経営陣は8/29の決算説明会で、中国NEVメーカーは既に淘汰局面に突入しており、向こう3~5年間に生き残りをかけて、充実したラインラップや徹底した値下げ戦略を展開すると語った。中国の国策支援を背景に、 EVベンチャーの急増に伴い、中国ではNEVメーカーが300社に及ぶと言われている。下剋上が繰り広げられた中国NEV市場から、同社の動向からますます目が離せない。次回は、米国市場で上場している蔚來(NIO)、小鵬(XPEV)、理想(LI)の新興EV御三家を見ていきたいと思う。   
BYD目標株価
BYD目標株価
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