NVIDIAも参戦！過熱するAIスマートグラス市場、1カ月で最高4.1倍の関連株も　これから注目すべき銘柄は？

次にスマートフォンに匹敵する新たな端末分野は何か？その答えは「AIスマートグラス」である可能性が高い。

人工知能（AI）技術の急速な進展に伴い、AIスマートグラスはスマートウェアラブルデバイスの新たな人気商品として市場の最前線に躍り出ている。市場では、次なる画期的なスマートデバイスとしてAIスマートグラスが有望視されている。

昨年末から現在にかけて、最も注目を集めている消費者向け電子製品はAIスマートグラスだ。この1カ月間、米国株式市場ではAIスマートグラス関連銘柄が急上昇している。

スマートグラスの世界最大手サプライヤーの一つである $ビュージックス (VUZI.US)$は、直近1カ月（30営業日）で310%の上昇を見せ、ホログラフィックARの先駆者である $WiMiホログラム・クラウド (WIMI.US)$は110%以上上昇した。世界をリードする新型ウェアラブル技術およびモジュールの世界的な開発・供給業者である $コーピン (KOPN.US)$、レーザー走査・投影技術を手掛ける $マイクロビジョン (MVIS.US)$、IC設計会社の $ハイマックス・テクノロジーズ (HIMX.US)$は45%～74%の上昇を達成。

NVIDIAも参戦！過熱するAIスマートグラス市場、1カ月で最高4.1倍の関連株も　これから注目すべき銘柄は？

「グラスがエッジAIの最前線として実用化されつつあるのは、その独自のハードウェア特性とマルチモーダルAI機能の組み合わせによるものである」とアナリストは指摘。現在の技術は、グラスに視覚、聴覚、触覚などのマルチモーダルAI機能を統合することを可能にし、より自然で直感的なインタラクションを実現している。スマートグラスはカメラで画像を捉え、マイクで音声を認識し、AR技術と組み合わせることで現実と仮想が交錯する体験を提供し、多様化するユーザーのニーズに対応する。これは、個人用AIエージェントとして理想的な形態といえるだろう。

●「AIスマートグラス」 VS 「ARグラス」

ここでは、AIスマートグラスとARグラスの違いを簡潔に説明する。

ハードウェア技術は難しく、製品コストが高く、アプリケーションコンテンツ/利用シーンの不足、装着時の快適性などの課題が影響し、ARグラスやMRヘッドセットは市場での普及が進んでいない。一方で、AIスマートグラスはARグラスへの進化に向けた「過渡的製品」として、先駆けて市場に火をつけた。

AIスマートグラスは、光学ディスプレイモジュールを諦めることで、軽量化、低コスト化、より快適な装着感を実現し、ユーザーの基本的なニーズを満たし、使用のハードルを下げることができる。

言い換えると、AIスマートグラスは「グラス＋イヤホン＋カメラ＋AI」で、ARグラスは「グラス＋＋イヤホン＋カメラ＋AI＋ディスプレイ」である。

AIスマートグラス、スマートフォンに匹敵する新たな端末市場となるか？

●MetaのAIスマートグラスが引き金！エッジAIの実用化が確実に？

2024年、ARグラス業界は転機を迎えた。 $アップル (AAPL.US)$は8年を費やして開発したARグラス「VisionPro」を昨年初めに市場投入したが、販売実績は期待を裏切る結果となった。一方、 $メタ・プラットフォームズ (META.US)$とRay-Banが共同開発したスマートグラスは高い人気を集め、ダウンロード数が急増したことから、Ray-Ban Metaが引き金となりAIグラスブームが到来した。

MetaとRay-Banが共同開発したスマートグラスは、2023年9月に発売されてから1年余りで100万台を突破した。2024年5月には販売台数が100万台を超え、2024年の年間販売台数は200万台を上回る見通しである。調査報告によれば、Ray-Ban Metaの販売網が世界規模で整備されれば、年間販売台数の潜在力は600万台以上に跳ね上がる可能性があると予測。

ゴールドマン・サックスのアナリストは、Metaのスマートグラス関連アプリのダウンロード数が爆発的に増加していると指摘した。Sensor Towerのアプリダウンロードデータによると、Meta Viewコンパニオンアプリのダウンロード数は10月に前年比で200%以上増加した。このデータは、消費者がMetaのスマートグラスに高い関心を持っていることを示している。

AI技術の進化により、新たな成長の機会が生まれ、産業チェーンは上流からアプリケーション段階へと移行している。Ray-Ban Metaの成功は、スマートグラスがエッジAIの実用化シナリオとして有望であることを証明し、業界に大きなデモンストレーションと刺激を与えた。

●AIスマートグラス市場、競争激化へ

AIスマートグラスはAI技術の実用化における新たなプラットフォームとして、大手企業が競って参入している。アナリストによると、2023年9月にMetaがAIスマートグラス「Ray-Ban」を発表して以来、 $アップル (AAPL.US)$、 $マイクロソフト (MSFT.US)$、 $アルファベットクラスC (GOOG.US)$、OpenAI、 $アマゾン･ドットコム (AMZN.US)$、シャオミ、ファーウェイといった大手企業がAIスマートグラスに積極的に参入している。

注目すべきは、CES直前に $エヌビディア (NVDA.US)$がARグラスの新特許を発表したことで、ARグラスの分野に革命を起こすと期待されている。ARデバイスの軽量化と表示性能の向上は、ARグラス開発者にとって長年の課題であり、NVIDIAの新特許はこの問題を解決することを目指している。

同時に、 $アップル (AAPL.US)$はAIスマートグラス「Atlas」のプロジェクトを正式に立ち上げた。この前、世界最大の電子機器受託生産企業である台湾の鴻海精密工業は2024年にPorotechと提携し、超薄型ARグラスに参入すると発表した。また、台中にMicro LEDウエハー生産ラインを設立し、2025年第4四半期に量産を開始する予定だ。これは、アップルなどの顧客のAIスマートグラス製品の展開準備と見られている。

また、最近米陸軍は「IVAS Next」（次世代統合視覚強化システム）計画を始動させ、次世代の拡張現実戦闘システム（ARグラス）の開発を目指している。

●CESが起爆剤になるか

また、現地時間1月7日から10日にかけて開幕する世界最大級のテックイベント「CES」では、AIアプリケーションの進展が続く中、 AIグラスは注目の目玉となることが期待されている。出展企業リストによると、今回のCESには世界中から1300社以上が参加し、そのうち「AR/VR/XR」関連の企業は312社に達している。

2025年、AI+ARスマートグラスは飛躍の年となる？

2025年はAIスマートグラスの製品が普及する重要な節目となる可能性がある。XR産業の専門研究機関であるwellsennXRによれば、2025年からAIスマートグラスは、従来のメガネに急速に浸透していく見込みである。2029年には、AIスマートグラスの年間販売数が5500万台に達し、2030年以降にはAIスマートグラス業界が高速成長期に入ると予測されている。2035年には、AIスマートグラスの売上は14億台に達すると予想されている。また、IDCは2030年における世界のAIスマートグラスの普及率が20%に達するとの見通しを示した。

さらに、2025年には、シャオミ、サムスン、メタなどの大手が「AI+AR」シリーズの新製品を発表する予定であるため、「AI+AR」グラス分野が一層活発化すると市場は予想している。

飛躍が期待される関連銘柄は？

こうした背景の中、製品の受託製造や、グラス・レンズの製造、部品の供給チェーンに関わる企業が恩恵を受けると期待されている。

●設備メーカーには、広く知られるハイテク大手の $アップル (AAPL.US)$、 $メタ・プラットフォームズ (META.US)$、 $アルファベットクラスA (GOOGL.US)$以外に、以下の企業も含まれている。

・ソーシャルメディア大手の $スナップ (SNAP.US)$は昨年、第5世代のスマートグラス「Spectacles」を発表した。このデバイスには、OpenAIのマルチモーダルAIモデルが統合されており、装着者はAI画像の生成をARフィルターとして利用したり、SnapのAIチャットボット「MyAI」と対話して視界内の物体に関する情報を得ることができる。
・ $ソニー (SONY.US)$は、YouTube上で公開したCES 2025の予告動画の中で、スマートグラスと空間描画用のスマートペンがが登場し、CES期間中に関連する新製品を発表する可能性を示唆している。
・ARスマートグラスメーカーの $ビュージックス (VUZI.US)$は、最新世代のスマートグラスの参考デザインをCESで発表すると明らかにした。
・先進的なウェアラブル技術およびモジュールの開発と供給で世界をリードする $コーピン (KOPN.US)$は、軍用AR/VR領域において広範な事業展開を行っている。同社は、F35戦闘機のヘルメット、銃の照準器、暗視装置などにおいて中核となるディスプレイ技術を提供。
・ $WiMiホログラム・クラウド (WIMI.US)$は、自社開発のAI+ARホログラフィックメガネに加え、AI+AR技術を活用した複数の革新的製品を展開している。