オラクル、AIで史上最高値へ！契約残高は過去最高、アマゾンとも新規提携！【決算まとめ】

ソフトウェア大手の $オラクル (ORCL.US)$ が9月9日引け後に決算を発表。時間外取引で株価が9％上昇し、152ドルを超えた。好業績と好調な契約状況に加え、アマゾン・ドットコムともマルチクラウド契約を締結したことが好感された。

時間外取引の株価水準は7月15日に付けた上場来高値の146.59ドルを上回る。もし、9月10日の通常取引時間帯でも同様な上昇率となった場合、株価は史上最高値を更新する。

オラクル、AIで史上最高値へ！契約残高は過去最高、アマゾンとも新規提携！【決算まとめ】

★決算ハイライト
●1Q（6-8月期）の実績：予想上振れ
◇売上高：前年同期比7％増の133.1億ドル、市場予想は132.6億ドル
◇調整後EPS（1株当たり利益）：19.8％増の1.39ドル、市場予想は1.33ドル
（注：市場予想はBloomberg集計）

●AI関連の追加契約を獲得、契約残高は過去最高
◇1Qは季節的に新規契約が減少する傾向にあるが、今年度の1Qは大規模な契約を数件締結した。
◇1Qはさらに42件のクラウドGPU契約（総額30億ドル）を締結した。
◇契約残高は前年同期比53％増の990億ドルと、過去最高を記録した。
◇クラウド契約が総契約残高のほぼ3/4を占める。
◇総契約残高の38％が今後12カ月間に収益計上される見込みだ。

●アマゾン・ドットコムとも、マルチクラウド契約を提携

（マルチクラウドとは、複数のクラウドのクラウドサービスを組み合わせることを指す。オラクルの独自の機能も組み込むことで、コストや機能、パフォーマンスを最適化できる。）

◇オラクルは、 $アマゾン･ドットコム (AMZN.US)$ のクラウドサービス部門AWSとマルチクラウド契約を締結したと発表した。すでに $マイクロソフト (MSFT.US)$ のAzureと $アルファベットクラスC (GOOG.US)$ 傘下グーグルのGoogle Cloudと同様な提携を結んでいる。
◇今回の提携により、オラクルの最新テクノロジーであるExadataハードウェアとデータベース・ソフトウェアのバージョン23aiをAWSのクラウド・データセンターに組み込む。AWSの顧客は今年12月からオラクルのデータベースを利用できるようになる予定だ。
◇「ハイパースケーラー3社のクラウドサービスがオラクルのデータベースを介して行われるため、クラウドデータベースの売上高は、OCIおよびSaaSと並んで売上成長の3番目の柱になる」と、会社側は予想している。

（OCIはオラクル・クラウド・インフラストラクチャー、SaaSはクラウドベースのソフトウェア提供モデル。オラクルは2022年10月にエヌビディアと複数年に及ぶパートナーシップを締結。それによりGPUからシステム、ソフトウェアに至るまで、NVIDIAアクセラレーテッド・コンピューティング・スタックをすべてOCIで利用可能になった。）

★経営陣の主なコメント
◇超高性能RDMAネットワークと32,000ノードのNVIDIA GPUクラスターを備えた巨大なデータセンターの構築により、AIトレーニング事業が好調さを維持している。
◇オラクルがデータベース事業で大成功を収めたのは、ポータビリティをモットーにしているからだ。たとえば、 $アイビーエム (IBM.US)$ のメインフレームでもMicrosoft PCでも、あらゆる環境でオラクルのデータベースが実行できる。
◇クラウドサービスがオラクルの最大の事業になったことで、当社の営業利益と1株利益の伸びは1Qに加速した。
◇25年5月期通期の売上高は2桁の伸びになるだろう（市場予想の9％増を上回る）。
◇アマゾン・ドットコム、マイクロソフト、グーグルとのクラウド・パートナーシップにより、今後何年にもわたって当社のデータベース事業の成長は加速すると信じている。

★ウォール街からはポジティブ評価が目立つ
決算発表後、複数のアナリストが目標株価を引き上げた。Bloombergによると、決算発表前のプレビューで「オラクルはOne-Stop AI Shopへ変貌していく」と書いたみずほ証券は決算発表後、目標株価を従来の170ドルから185に引き上げた。