【プレビュー】米11月CPIは今夜発表予定　米株左右する決定的瞬間到来

米国労働省統計局は日本時間2023年12月12日火曜日の22:30に米11月の消費者物価指数（CPI）を発表する予定。13日（日本時間14日午前）には米連邦公開市場委員会（FOMC）の政策決定が明らかになり、2024年の株式市場と経済を方向付けると予想される。

市場はインフレが冷え込み、エネルギー価格が緩和するにつれて総合CPIが低下すると予想している。インフレ鈍化の兆しが見られれば、米金融当局が近いうちに緩和に転じるとの見方が強まり、年末にかけて株価がさらに上昇する可能性はある。予想によれば、CPIは前年同月比3.1％上昇と、６月以来の低い伸びとなる見込み。

10月、食品とエネルギーを除くコアCPIの伸び率は4％に低下し、過去2年間で最低の水準となった。 FRBが将来のインフレ動向を判断する予測指標であるコアCPIは、ここ数ヶ月間4％近辺で推移しており、FRBの目標値である2％の2倍となっている。 市場予測によると、11月のコアCPI上昇率は4.0%にとどまる可能性がある。

エネルギーが物価に与える影響は10月より小さくなる可能性
11月のWTI原油先物は5.7％の下落（10月は7.0％）、11月の全米平均ガソリン価格は9.1％の下落（10月は10.2％）となった。

世界の食料価格、11月も高止まり 前月から変わらず
国連食糧農業機関（FAO）は8日、世界の食料価格が11月は前月とほぼ同水準だったと発表した。食料価格の高騰が消費者にコスト圧力をかけ続ける中、高止まりしているインフレへの対応に注力している政策担当者にとって価格がなかなか下落しないことは、懸念すべき問題となる可能性がある。

11月の食料価格指数は120.4と、10月の改定値からほぼ変わらなかった。1年前に比べると11％下がっている。穀物と食肉の価格が下落したが、砂糖と植物油、乳製品の価格上昇で相殺された。

家賃
家賃は引き続きインフレの主因であるが、賃貸物件の空室率が高水準にあるため、家主の賃料引き上げ圧力は緩和している。 ブルームバーグの調査によると、エコノミストはCPI Primary Rentが前月比0.4％増となり、10月の0.5％増を下回ると予想している。また、Apartment List's National Rent Reportによると、賃貸市場は今月も季節的な減速が続き、全国の家賃中央値は0.9％下落の1,340ドルとなった。 これは2017年以来、指数史上2番目の11月家賃の急落である。

中古車
中古車・トラックの価格は6ヵ月連続で下落する見込みだが、そのペースは緩やかである。Manheimによると、11月の中古車卸売価格（構成比、走行距離、季節調整済みベース）は10月より2.1％下落した。中古車とトラックは、商品デフレの主要な牽引役となっている。

医療
10月の医療費は、病院サービスと処方薬価格の上昇により0.3％上昇した。 米国労働統計局が健康保険料の算出方法を変更したため、健康保険料は反発した。この変更は来年も続き、インフレ率に影響を与えるだろう。

利下げ観測
12日には11月の米CPIが発表され、インフレ鈍化の兆しが見られれば、米金融当局が近いうちに緩和に転じるとの見方が強まり、年末にかけて株価がさらに上昇する可能性はある。一方、エドワード・ジョーンズのシニア投資ストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏は、12日発表の11月米消費者物価指数が予想を上回る数字だった場合、株価は短期的に反落する可能性があると指摘した。

12日から２日間の日程で始まるFOMCでは3会合連続で政策据え置きが決まると予想されている。トレーダーらは米金融当局が来年、計1ポイントの利下げを実施すると予想しているため、パウエル連邦準備制度理事会（FRB）の記者会見や、当局者の金利予測分布図（ドット・プロット）にも特に注目している。

堅調な経済がインフレを高止まりさせ、当局が追加利上げを検討したり、政策金利を高い水準に予想より長い期間維持したりするリスクもある。その場合、23年の相場上昇を大きくけん引してきたハイテク株に重くのしかかる可能性がある。「来週のパウエル議長の発言は、人々の考えを変える可能性がある。特に、人々の予想よりもタカ派的なトーンの発言があれば、そうなるだろう」とザカレリ氏は指摘した。

CMEのFedWatchツールによると、11日時点で３月利下げの確率は38.04％、５月利下げの確率は70.47％近く織り込まれている。