【プレビュー】12月利上げの有無、今夜の米雇用統計次第！

moomooニュース米国株コラムを発表しました · 2023/11/02 00:08

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米10月の非農業部門雇用者数は日本時間金曜日(3日)の夜9時30分に発表される予定。今週に発表されたADP民間雇用者数が予想を下回ったものの、JOLTS求人件数が予想を上回った。

市場では、米10月の非農業部門雇用者数が18.8万人増、失業率が3.8%と予想されている。前期(9月)の非農業部門雇用者数は33.6万人増、市場予想が17万人増。1月以来の大幅増を記録し、労働市場の底堅さを示した。

米非農業部門雇用者数の推移

FOMCの結果
米連邦準備理事会(FRB)は11月1日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置いた。決定は全会一致で、2会合連続での利上げ見送りとなった。

FRBは声明で、雇用の伸びは引き続き「力強く」、インフレは依然「高止まり」しているとし、FRBは「インフレを2%の目標に回帰させるために適切とされる追加引き締めの程度」を引き続き検討するとした。

パウエル議長も会見で足元の政策金利が十分に引き締め的な水準に達したかどうかの判断を保留し、会合ごとに新たな経済データを吟味する従来通りの姿勢を重ねて強調した。

米9月求人件数、予想上回る5.6万件増の955.3万件
米労働省が1日発表した9月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が予想上回る5万6000件増の955万3000件で、2カ月連続でプラスとなった。

求人件数と採用件数

採用はわずかに増加し、レイオフは減少した。自発的離職者の割合である離職率は３カ月連続で2.3％。2021年１月以来の最低を維持した。離職率の低下は、労働者が別の仕事を見つける自信が薄れている現状を示している。

ＦＷＤＢＯＮＤＳ（ニューヨーク）のチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「経済全体の需要は減速しておらず、連邦準備理事会（ＦＲＢ）当局者は十分な対応をしたのか疑問を抱くだろう」と指摘。市場は年内の利上げを検討対象から除外しているが、労働市場が逼迫したままなら利上げ懸念が再燃するとの見方を示した。

一方、ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏は「熟練労働者の需要が冷えつつあり、９月の求人および採用の上振れが一時的な要因による可能性が高いことを考慮すれば、今後の労働市場で生じるひっ迫緩和はこれまで見てきたよりも波乱含みとなる可能性がある」と分析した。

失業者１人に対する求人件数は前月から変わらずの1.5件と、ほぼ２年ぶりの低さ。ピークの2022年には２件に達していた。

10月の米ADP民間雇用、予想下回る11.3万人増
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング（ADP）が発表した10月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は11.3万人増にとどまり、前回の8.9万人からは増加したものの、市場予想（15万人増）を下回った。今回の統計は、前月分も合わせて加味すると、労働市場が著しく冷え込み始めていることを示唆している。

米ADP民間雇用の推移

10月の全米雇用報告の詳細について、10月の賃金上昇率は前年同月比5.7％増と2年ぶりの減速ペース。転職者の賃金上昇率は8.4％で、2021年7月以降で最も低かった。

企業規模別では、従業員50〜500人の中規模企業は最も強く雇用を伸ばし、合計7万8000人の雇用を増加させた。従業員50人未満の小規模企業は1万9000人の雇用に貢献した。従業員500人以上の大企業も1万8000人の雇用を増加。

ADPの最新レポートによると、教育・医療サービスは4万5000人増でトップとなった。その他、貿易・運輸・公益事業（35,000人）、金融業（21,000人）、娯楽・接客業（17,000人）などの増加が目立った。

雇用増加のほぼすべてがサービス業によるもので、商品製造業はわずか6,000人であった。

ADPのチーフ・エコノミスト、Nela Richardson氏は、「今月は雇用を支配した業種はなく、パンデミック後の大幅な賃上げも過去のものとなったようだ。全体として、10月の雇用統計は全体的にバランスの取れたものとなっている」と述べた。「労働市場は減速しているが、まだ力強い個人消費を支えるには十分だ」との見方を示した。

利上げ観測
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FRBは利上げを終了し来年6月までに利下げを開始するとの見方が強まった。FF金利先物が織り込む年内追加利上げの可能性は23%未満。来年1月のFOMCまでの利上げ可能性は約30%。