【プレビュー】2月の米雇用統計が今夜発表予定　「遠くない」6月のFRB利下げ観測裏付けるか

米2月の非農業部門雇用者数は日本時間金曜日(8日)の夜10:30に発表される予定。市場では、米2月の非農業部門雇用者数が19.8万人増、失業率が3.7%と予想されている。

今週の水曜日に発表されたADP雇用統計によると、2月の米民間雇用者数は14万人増だった。伸びは1月の11.1万人増から拡大も予想を下回った。

また、米労働省が木曜日に発表した1月の雇用動態調査（JOLTS）も、非農業部門の求人件数（季節調整済み、速報値）が前月から2万6000件減りの886万3000件で、市場予測の900万件を下回った。

米FRB（連邦準備制度理事会）のパウエル議長は、今週に議会下院で証言し、政策金利がすでにピークに達しているという考えを示した上で「年内のいずれかの時点で利下げを始めることが適切になるだろう」と述べた。

米労働省が前月の2日発表した前期（1月）の米雇用統計は非農業部門の就業者数が前月比で35万3000人増えた。伸びは市場予想の18万人程度を上回った。

失業率は2年間連続での4%割れとなった。労働市場は強さを保っていた。

2月の米ADP民間雇用者数、予想下回るも幅広く増加
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング（ADP）が今週の水曜日に発表した２月の全米雇用報告によると、非農業部門雇用者数は14万人増、市場予想が14.9万人増。前期は10.7万人から11.1万人に上方修正。前月から伸びが拡大したほか、前月分も上方修正されており、労働市場が減速している兆候は見られない。

雇用創出は幅広く、娯楽・ホスピタリティーや建設、貿易・運輸がけん引した。雇用創出は地域や企業規模を問わず広がった。

米求人件数、1月886万件　前月からほぼ横ばい
米労働省が木曜日に発表した1月の雇用動態調査（JOLTS）は、非農業部門の求人件数（季節調整済み、速報値）が前月から2万6000件減りの886万3000件で、市場予測の900万件を下回った。

日本経済新聞によると、1月は失業者1人に対しおよそ1.45件の求人があった計算になる。失業者1人に対する求人件数は前月から増えた。

米賃金の伸び鈍化、ディスインフレ傾向に下回る可能性が大きい
非農業部門雇用者賃金の前年比伸び率はまだ4％を超える可能性があるが、月次賃金の伸び率は1月の天候の影響が戻り、前月の0.6％から0.2％に低下した可能性が高い。アトランタ連銀の賃金トラッカーによると、過去3ヵ月間の賃金上昇率の移動平均は5.0％まで低下した。

パウエル議長は昨年10月、2％のインフレ目標を達成するには3.5％の賃金上昇が適切だと述べた。

利下げ観測
今回のデータはエコノミストの予想通りとなれば、労働市場の再加速に対する懸念は後退する可能性が高い。これはFRBにとって心強いことで、インフレ目標への回帰と一致するペースまで経済成長が減速しつつあるという確信を得ることになるだろう。それでも、成長が底堅い限り、最初の利下げのタイミングは実際のインフレデータ次第となる可能性が高い。

2008年のリーマン・ショック後、米国の失業率は長らく比較的高い水準にあった。米国の失業率が6％を下回ったのは2014年になってからである。現在の状況は当時とはまったく逆である。米国の国内投資の回復、急進的な財政政策、不動産市場の継続的な好況により、米国の失業率が大幅に上昇する兆しは見えにくい。

CMEグループのFedWatchツールによると、FF金利先物のトレーダーは一時、6月までに利下げが実施される確率を74.49％、9月までに利下げが実施される確率を98.17％とみていた。