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「コッパー」についてのお話:銅相場は既にスーパーサイクルに突入している

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alex_bullcall コラムを発表しました · 05/26 12:23
◇銅価格急騰のきっかけはパナマ銅鉱の稼働中止だが、急騰主因は米中両国による「爆買い」◇
 
LMEの銅先物価格は先週初に史上最高値を更新したこともあり、金銀銅価格の高騰がマスメディアに相次いで報道されている。これまで金銀銅価格、とりわけ銅価格の上昇については中国景気・米国金利動向の変化と密接な関係があり、景気や金利サイクルに左右されて一定な規律で上下する。3月の米ISM 製造業指数は一時節目の50を上回ったほか、中国の経済統計も徐々に底打ち感を示していることから、景気回復への期待で銅価格の上昇につながったと指摘する普通のアナリストやコメンテーターが多い。ただ、それにしても最大の消費国である中国経済がまだ低迷しており、米高金利環境を継続している中、銅相場の最高値更新はやはり違和感がみられる。実は、「銅相場」はかつて見たことない「スーパーサイクル」に突入したとみている。もちろんこれは訳があり、一言でまとめれば、米中両国による「爆買い」が銅価格を押し上げてしまっている。

まず、今回の銅相場の急騰の背景はパナマ最高裁が同国政府と加ファースト・クァンタム・ミネラルズ社とのCobre銅鉱契約が違憲であり、銅鉱の稼働中止を命じたほか(今年再開困難)、パナマ運河水位の低下に伴う航行困難を受け、銅超過需要との見方にあった。また、米当局は今年のサマーシーズンにおける電力不足との警報を鳴らし、ソーラーなど新エネ発電の稼働率が低下したことが原因と指摘した。米発電設備の新規需要が急に出ており、銅線へのニーズも急増したわけだ。ただ、これらはあくまでも銅価格急騰の引き金であって、史上最高値を押し上げる主因ではない。

中国は従来の銅消費の最大国であり、主に不動産や基礎インフラにおける強い需要がけん引した。但し、近年では国策であるEVの普及に伴いバッテリーやモーターの銅需要が新たな成長エンジンとなり、一時次世代の石油として注目されていた。状況に変化があったのが昨年からだ。中国のほか、米国は銅の争奪にも参戦。米中両国はEV分野における主導権の争いではなく、今後AI向けデータセンターによる銅の実需が想像以上大きいであることから、銅の確保で熾烈な戦いを既に展開している。

◇エヌビディアのNVL72だけで当面7万tの銅消費を生み出す!◇

データセンターはもちろん電源でパワーが供給されており、電力関連に使われる電線、バスバーなど銅製品はデータセンター全体の銅使用量の約75%も占める。米マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタのほか、中アリババ、バイドゥ、テンセントなどによるデータセンターの建設ラッシュが銅需要の拍車をかけている。また、パワー供給としての銅需要のほか、データセンターのサーバで接続するための光ファイバーが高速銅線への採用にシフト。データセンターの「インターコネクション」における銅の需要も全体の22%まで拡大しており、銅需要を過去最大規模の「スーパーサイクル」に突入させた主因に。実際、今年4月に開催されたエヌビディアのGTC2024にてスポットライトは「DGX GB200 NVL72」に集中し、主役であったよと言っても過言ではない。「NVIDIA GB200 NVL72」は同社次世代プラットフォーム「ブラックウェル」ベースで1つのラックに収められたエクサスケール・コンピューターであり、兆単位のパラメーターLLM推論のリアルタイム性を30倍も高速化することができる。注目してほしいのが一つのNVL72には36 個のGrace CPUと 72個のBlackwell GPUを接続しているほか、NVLink switch9個が搭載しており、「5,184」本の高速銅線が使われる

エヌビディアが以前に開示していた旧モデルの規格を参考し、5,000本超の高速銅線の合計長さは3.2㎞以上になる。高速銅線1本あたりの直径がおよそ7.10-9.44㎜となっており、1ラック当たり銅線の重量は約1.4tにもする。仮に「NVIDIA GB200 NVL72」の出荷は5万台にも上れば、この製品だけで約7万tの銅消費を新規に生み出すと試算できる。以上は筆者自らによる簡単な試算であり、誤差は必ずある。但し、こんな試算をするほかにあまりいないと思うので、一つの参考になり、銅需要急増のスケールを理解してもらえるはず。データセンターにおけるパワー供給(75%)、インターコネクション(22%)のほか、全体に残る約3%はHVACシステム、いわゆるクーリングシステムのなかではパイプなども銅製である。

直近の数営業日において過熱した金銀銅の価格への利食い売りが目立った。急騰した関連銘柄も全面安。上記シナリオ「銅のスーパーサイクル」の通りになれば、この調整局面を押し目買い場として捉えたい。関連銘柄のなか、米国ではフリーポートマクモラン(FCX)が最もメジャー・王道であり、50ドル割れとなれば、押し目買いの妙味が再び上昇。比較的に割安感を求めれば、香港上場のチアンシーコッパー(00358)、または米国にも上場している鉄鉱石メジャーであるウァーレ(VALE)の2銘柄を注目。
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