トランプ2.0の移民政策の光と影　投資家が注目すべきポイントは？「刑務所株」が登場！

トランプ次期米大統領は11月18日、不法移民を強制的に送還するための国家非常事態宣言を発令する考えを示した。自身のSNSの投稿で明らかにした。2025年1月に大統領に就任した後の最優先課題に掲げる。具体的な措置には、不法移民の制限、国境管理の強化、特定国からの移民の制限、不法移民の雇用対策が含まれる。現在、アメリカには約1130万人の不法移民がおり、そのうち700万人が就労している。

トランプの再選キャンペーンの主な公約は、過去最高数の移民を追放する。次期副大統領JDヴァンス氏の発言では、この計画によって年間100万人が追放される見込みだ。

不法移民対策に強硬な人物を相次いで起用
トランプ氏は大統領選に勝利後、不法移民対策に強硬な姿勢をとる閣僚らの人事を優先して発表した。国務長官に任命されたルビオ氏は、不法移民を大規模に追放するためにアメリカ軍を使用する計画を強く支持する。

さらに、トランプ次期大統領は、米移民税関捜査局（ICE）局長代理を務めた強硬派のトム・ホーマン氏を国境管理の責任者に任命することも表明した。ホーマン氏は、トランプの1期目の政権で、不法入国者を厳格に取締り、拘束すればすべて裁判にかけて刑事責任を問う「ゼロ・トレランス」＝「不寛容政策」を主導したことで知られる。

国土安全保障担当の大統領次席補佐官には、前のトランプ政権で上級顧問として移民関連政策を主導したスティーブン・ミラー氏を起用する。ミラー氏も1期目の際、メキシコ国境の壁建設や厳格な入国制限措置をめぐり、主導的な役割を果たしたことで知られている。

このほか、入国管理などを担当する国土安全保障長官に自らを強く支持する中西部サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事を起用する。

トランプ2.0の移民政策で民営刑務所が最大の勝者か
トランプは国家を緊急事態にすると宣言し、大量の不法移民を逮捕するため軍を展開する予定だ。これらの不法移民はまず「広範な拘留施設」に収容される。数百万人の追放行動には、さらに多くの警察官、拘留ベッド、移民法裁判所の裁判官が必要となる。トランプ2.0政権下で、連邦刑務所局と連邦保安官局は、民営刑務所会社と契約を締結する可能性がさらに高くなる。これは、Geo Group や CoreCivic などの刑務所運営者にとって好材料になる。

刑務所関連株の代表、 $ゲオ・グループ (GEO.US)$は主に刑務所、拘置所、矯正施設の管理、コミュニティサービス、青少年サービスのための政府へのアウトソーシングサービスの提供に焦点を当てている。米国を中心に、オー ストラリア、カナダ、ニュージーランド、および南アフリカで更生施設を運営。トランプ大統領の勝利後、民間刑務所会社の株価が急騰し、最大の受益者の1つのジオグループが42%上昇した。ジオグループの株価は今年約165％急騰し、11月22日には一時29.56ドルとなり、上場来高値を記録した。

$コアシビック (CXW.US)$は、パートナーシップによる矯正施設、拘置所、居住用再入居施設の提供や、米国での刑務所運営を行う多角的な政府系ソリューション企業である。1983年、弁護士で米共和党テネシー州組織の要職を務めたトマス・ビーズリー氏らが「コレクションズ・コーポレーション・オブ・アメリカ」という社名で創業した。コアシビックの主な事業セグメントは、刑事施設運営事業、居住型社会復帰センター運営事業、刑事施設リース事業の三つだ。最近の業績（2024年度第3四半期）も増収増益だった。３Ｑ売上高は前年同期比1.6％増の4億9155万ドルとなった。純利益は51.9％増の2109万ドル。刑事施設運営事業は売上高と営業利益の9割以上を占める。業績拡大を後押ししたと見られるのは、米刑事施設の収容者が大幅に増えたことだ。コアシビック株は年初来およそ54.8％上昇した。

移民政策は業界に与える影響
現在、アメリカには約1130万人の不法移民がおり、そのうち700万人が就労している。不法移民に大きく依存している産業は、大量強制送還が実施される場合、深刻な労働力不足に直面する可能性があり、その結果として労働コストが上昇する恐れがある。直接的な影響を受ける業界には、農業、造園業、食品加工、建築、ホテル業などが含まれる。

AICの研究データによると、不法移民を追放すると、建設業と農業はそれぞれ労働力の約1/8を失うことになる。 米国では14％の建設作業員が不法移民だ。これらの労働者を短期間内に解雇すると、建設工事のコストが高騰し、新築住宅の工事が遅れることが予想される。また、農場労働者の約半数が正式な滞在許可を持たず、乳製品や肉加工工場に働く労働者にも同じような状況が見られる。ホテル業界における不法移民の割合は4分の1になる。不法移民を大量に追放すると、農業や食品加工業などの業界で労働力不足が深刻化し、その結果として人件費が急上昇する恐れがある。

アナリストは、移民政策によって労働力不足を招くだけでなく、アメリカ経済の成長にも悪影響を与える可能性があると警告する。トランプ大統領が選挙キャンペーン中に「他に選択肢がない」と表明し、大規模な移民の追放を行い、「コストを考慮しない」と宣言した。