ウォール街が示すアマゾン株の今後12カ月の展望　強気予測で評価引き上げ

世界をリードするテクノロジー企業であるアマゾン（NASDAQ: AMZN）は、堅調な業績と将来の成長戦略に支えられ、ウォール街での期待を一層高めている。現在の株価は229.44ドルで年初来53％超の上昇を記録しており、2024年第3四半期の収益報告では7期連続で市場予測を超えた。
JMP証券のアンドリュー・クウェイル氏は、同社の広告事業やAI関連のAWS展開を強調し、目標株価を285ドルに据え置いた。一方、ジェフリーズのブレント・シル氏は目標を275ドルに引き上げ、クラウド事業の収益性とAIの収益ポテンシャルに注目している。
次回の収益報告は2024年2月6日に予定されており、株価動向に慎重な目を向けるべき局面だ。

アマゾンの将来性を支える柱の一つが、AI技術とクラウドサービスであるAWS（Amazon Web Services）の展開だ。AWSはクラウド市場で50％以上のシェアを誇り、その規模は競合他社を大きく上回っている。AI技術の活用が今後のAWSの成長に大きく寄与するという期待が強まる中、アマゾンが発表した「Amazon Nova」は象徴的な存在となっている。このAIモデル群は企業向けソリューションとして注目されており、AI需要が急速に高まる市場での競争力をさらに高めることが期待されている。
ブレント・シル氏が指摘するように、AWSは第4四半期の営業利益を160億ドルから200億ドルの範囲で予測しており、投資家の懸念を払拭する形となった。しかし、同時にAWSの成長ペースに対する失望感も見られ、競合のマイクロソフトやGoogleの動向が脅威となる可能性も否定できない。AWSの伸びが鈍化すれば、株価に対する圧力は避けられないだろう。
一方、AI関連の新技術は広告事業やEC運営の効率化にも寄与する。これまでAIを活用した広告配信の最適化に成功してきたアマゾンは、収益源の多様化を図る中で利益率の改善を続けている。AI分野への戦略的投資が着実に利益を生む基盤となっているが、今後の業績報告ではこれらの効果が数値としてどれだけ反映されるかが注目される。

JMP証券とジェフリーズのアナリストがアマゾン株の目標株価を引き上げた背景には、業績の堅調さと事業の成長性がある。アンドリュー・クウェイル氏は、営業利益のガイダンスや利益率の成長に焦点を当て、非裁量消費品の多様性が今後も消費者ニーズを引きつけると評価した。Eコマース市場が成熟する中で、日常消費に強みを持つアマゾンの戦略は、景気変動にも強い耐性を示している。
一方、ブレント・シル氏は株価275ドルという強気の目標を掲げたが、その根拠としてクラウド事業のAI収益の可能性を挙げている。ただし、彼がAWSの成長鈍化を認めている点は重要だ。市場シェアは維持しつつも、AWSの売上加速が遅れれば、その影響が株価にも表れるだろう。
現株価から見た目標株価の上昇率は約20％とされるが、これには投資家の心理が大きく影響する。防衛契約の締結や新技術の発表がポジティブに受け止められる一方で、株価がすでに高騰している中では調整局面も考えられる。市場全体がアマゾンに対して強気であることは確かだが、短期的な価格変動を見逃さない姿勢が求められる。

アマゾンの次回の収益報告は2024年2月6日に予定されており、この発表が株価に与える影響は計り知れない。直近の業績が市場予測を超え続けていることから、投資家の期待は一層高まっている。特に、営業利益と利益率の継続的な改善、広告事業の成長、そしてAWSの収益加速が示されれば、株価は再び上昇トレンドに入る可能性がある。
ただし、過去30日間で株価が大きく上昇したことを考えれば、短期的な下落局面が訪れる可能性も無視できない。JMP証券とジェフリーズのアナリストが示した目標株価はあくまで中長期的な視点に基づいており、投資家はより魅力的な参入ポイントを慎重に見極める必要がある。
また、アマゾンが今後も非裁量消費品とAI関連の戦略を進める中で、事業ポートフォリオの強化がどのように業績に反映されるかも焦点となるだろう。次回の決算発表は、アマゾンが成長の勢いを維持し、株主に新たな確信を与える場となるか注視する必要がある。

ウォール街が示すアマゾン株の今後12カ月の展望　強気予測で評価引き上げ 2024年12月17日