「米利下げトレード」第2弾！ディフェンシブ性+AIブーム　公益株もチャンスある？

国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が24日に閉幕した。パウエルFRB議長は23日、金融政策について「調整する時がきた」と指摘し、9月の金融政策を決める会合での利下げをほぼ明言した。

米連邦準備制度理事会（FRB）の金融政策が「引き締めから緩和へ」。世界中の中央銀行が利下げに踏み切り、金融緩和を開始する新たなサイクルが迫っている今、どの資産に投資妙味が高まっているのだろうか。

パウエル米連邦準備理事会（FRB）議長のジャクソンホール会議での発言などを受け、9月連邦公開市場委員会（FOMC）での利下げはほぼ確実と見られ、米10年国債利回りは約3.8％まで低下した。米国債の利回り下落で、公益株の配当利回りは相対的に魅力的なものとなり、低金利環境における資産運用の選択肢の1つだ。

公益株はディフェンシブ性が強く、株式のなかでも配当利回りが高い傾向があることから、債券の代替としての投資対象となる場合が多い。市場では今後、米金利低下が予想され、世界公益株の金利面での懸念材料は後退するという。

また、人工知能（AI）の普及や脱炭素に伴う電力需要が急増した。同時に、地政学的な緊張の高まりを巡る懸念が広がる中、高配当でディフェンシブ銘柄であることも追い風になっている。

米金利低下期待で注目される公益株
$公益事業セレクト・セクター SPDR ファンド (XLU.US)$は今年に入って約20％上昇と、4年ぶり高水準の年間上昇率となる勢いだ。今年の公益株の際立った上昇が今後も続くとの見方が強まっている。

公益セクターでは、米大手電力会社 $ビストラ・エナジー (VST.US)$、米最大の原発事業者 $コンステレーション・エナジー (CEG.US)$、米エネルギー大手 $エヌアールジー・エナジー (NRG.US)$が、このセクターで今年最もパフォーマンスの良かった3銘柄だ。それぞれ121％、67％、65％の上昇を記録した。ハイテク大手が人工知能（AI）を軸にした「AIデータセンター」が急増し、それに伴って、世界の消費電力量も爆発的に増える。そのため、これら3社もAIブームの恩恵を受けている。

一方、公益株を加え、公益事業ETFも注目に値する。その中、 $公益事業セレクト・セクター SPDR ファンド (XLU.US)$ 、 $Global X Funds Global X U.S. Infrastructure Development Etf (PAVE.US)$、 $バンガード・米国公益事業セクターETF (VPU.US)$、 $iシェアーズ グローバル・インフラ ETF (IGF.US)$、 $Ishares U.S. Infrastructure Etf (IFRA.US)$は、米株市場における公益事業ETFの資産規模上位5銘柄となり、これらのETFも今年に入ってから、12％－22％の累積上昇率を記録した。

今、公益株式投資の魅力は？
●AIブームで急増する電力需要
ゴールドマン・サックスによると、データセンターと人工知能（AI）の急激な普及による電力需要が、電力株の長期的な成長見通しの改善を支えている。ゴールドマン・サックスは、米国の電力需要が2022年から2030年にかけて2.4％増加すると予想している（過去10年間は0％）。この電力需要の増加は、電力会社による設備投資の増加につながると予想される。

●安全な避難先
米株市場で、生活必需品や公益、ヘルスケアなど安全な投資先とされる「ディフェンシブ株」は、全体的な相場下落局面で底堅さを発揮できる。米国債利回りは今後1年間低下し続ける可能性が高く、公益株は通常、金利低下や景気後退期で良いパフォーマンスを見せる。また、金利低下局面では、安定した高配当利回りが期待できる公益株に投資するのが一般的だという。今年公益株の年間収益成長率は少なくとも6％となり、さらに、利下げサイクル入り、公益株の配当は今後も増え続ける可能性がある。

●バリュエーションは相対的に低水準
ゴールドマン・サックスは、公益セクターは今年大きく上昇したが、バリュエーションはまだ高くないと指摘した。