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米家計金融資産からみる米個人消費の底力

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太郎丸 コラムを発表しました · 2023/09/13 02:00
米実質家計所得は3年連続減少でも米家計資産は過去最高を更新
米国勢調査局が今月12日発表した22年米実質家計所得(インフレ調整後)の中央値は7万4580ドルと、21年の7万6330ドルから2.3%減少したことが明らかとなった。コロナ禍以降のサプライチェーン混乱に伴う米インフレ亢進を受け、米家計所得は3年連続で減り、ピークだった2019年と比べて4.7%減少した。これに先立ち、FRBが今月8日に発表した最新の米家計金融資産によると、23年2Qの米家計資産は1Q比3.7%増の154兆2800億ドルとなり、過去最高を記録したことが判明した。米家計資産に上乗せされた5.49兆ドルのうち、米株式市場の値上がり益(2.58兆ドル)や米住宅価格の回復(2.48兆ドル)に二分された形だ。 SPXTR(S&P500トータルリターン指数、 S&P500配当込み指数のこと)によると、23年2Qの期間投資収益率は8.7%と、コロナ禍以降でピークだった2021年4Q(6.1%)を上回ったほか、米住宅価格も昨年の一時的な下落を経て足元で再び上昇に転じている。米家計所得の減少傾向をよそに、米家計資産がコンスタントに積み上がる様子が窺われる。
米家計金融資産推移(四半期ベース、単位:兆ドル)
米家計金融資産推移(四半期ベース、単位:兆ドル)
コロナ禍以降の米家計純資産は37.6兆ドルも増加
最新の米家計純資産の規模(154兆)をみると、21年末の150兆ドルや22年末の146兆ドルからは大差が無いものの、コロナ禍直前となる19年末の米家計純資産が117兆ドルから大きく上積みされた。コロナ禍対応に追われた米当局が打ち出した金融財政措置(金融緩和効果が約15兆ドル、財政措置効果が約20兆ドル)により、37.57兆ドルもの家計金融資産が膨れ上がった計算だ。米株式市場や米住宅市場が14四半期(20年1Q~23年2Q)に亙って値上がりしてきたなか、米国株と不動産の値上がり益がそれぞれ10.5兆ドル、15. 5兆ドル増えた。米国にはホームエクイティローン制度があり、住宅により担保されているため、貸し手にとっては信用リスクが低く、それ故に借り手にとっては低金利を享受できるなど、資金使途制限無しで幾らでも含み益が個人消費に回せられる。また、米テック大手株の値上がりを利食いした資金の一部が足元の日本株の大相場にも波及している。米国株や不動産の値上がり益に下支えられた米富裕層を中心とした米個人消費が一向に衰えを見せない所以だ。
米家計純金融資産内訳の増減推移(企業株式、不動産等)単位:兆ドル
米家計純金融資産内訳の増減推移(企業株式、不動産等)単位:兆ドル
米家計純金融資産、企業株式、不動産増減額一覧 単位兆ドル
米家計純金融資産、企業株式、不動産増減額一覧 単位兆ドル
タイトな雇用情勢は個人消費の追い風
米当局が打ち出した金融財政措置は、米個人消費を潤しながらも、米個人消費の力強さはやはりタイトな米労働市場に負うところが大きい。個人消費は結局のところ、コロナ禍前を上回る労働者数と賃金上昇が拠り所となる。FRBによる政策金利の大幅な引き上げが実施されてきたにも関わらず、賃金トラッカー(アトランタ連銀)は足元でも5.3%(8月)と、コロナ禍前の3%台半ばを上回って推移している。米賃金の高い伸びが米個人消費をバックアップした格好だ。
アトランタ連銀の賃金トラッカー推移(単位:%)
アトランタ連銀の賃金トラッカー推移(単位:%)
米個人消費に死角なし?
今年10月末に米学生ローンの支払い再開や今年年末あたりに米家計の過剰貯蓄の枯渇懸念が米個人消費の向こう風になるとの見方もある。米教育省は高等教育法に基づく返済免除を目指し、新たな法的プロセスをスタートする見通し。学生ローンの借り手がデフォルト(債務不履行)に陥るリスクを減らすため12カ月間(24年9月まで)の「オン・ランプ返済プログラム」が設定される。同プログラムにより、期間中の支払い遅延者はデフォルト宣言されることはなくなる。また、米家計の過剰貯蓄が枯渇したとしても、株式や不動産で積み上がった150兆ドルに上る米家計資産がある限り、衰え知らずの米個人消費は当面、力強い米経済成長をリードしてゆくことになるだろう。
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