地銀株の高値更新に3つの複合要因、割安な県内2、3番手の銀行も狙い目か

5日の株式市場では地銀株が買われ、多くの銘柄が年初来高値や上場来高値を更新した。
上場来高値を更新したのは、 $千葉銀行(8331.JP)$、 $富山第一銀行(7184.JP)$、 $北國フィナンシャルホールディングス(7381.JP)$、 $しずおかフィナンシャルグループ(5831.JP)$、 $十六フィナンシャルグループ(7380.JP)$、 $京都銀行(8369.JP)$、 $ちゅうぎんフィナンシャルグループ(5832.JP)$、 $ひろぎんホールディングス(7337.JP)$、 $いよぎんホールディングス(5830.JP)$など。

地銀株が選好される背景として、少なくとも3つの要因が複合しているとみられる。
1つ目の要因は、円安に振れがちな為替変動のリスク回避だ。4日付の日本経済新聞は、海外投資家が為替変動の影響を避け始めて内需株の物色が増えていると報じている。
日本経済新聞ではさらに、シュローダー・インベストメント・マネジメントの豊田一弘日本株式ファンドマネジャーの、「生産性向上のためのIT投資の増加から、24年の賃上げの可能性も高まっていると考えており、24年のゼロ金利解除の確度が高まってきた」とのコメント紹介。2つ目の要因となる、金利上昇への思惑から、利ざやの拡大が望める銀行株への評価が高まっていることに触れている。
3つ目の要因としては、バリュー株への注目が高まる中で、これまでの株価が低迷していた地銀株に割安感があることも一因とみられる。特に、都道府県トップの地銀でなく、2番手、3番手の銘柄はＰＢＲ（株価純資産倍率）がより低い傾向にあり、割安感が強いといえそうだ。

地銀に関しては、2020年11月に地銀同士の統合・合併を独占禁止法の適用除外とする10年限定の特例法が施行されたことで、同一都道府県内での再編統合も始まっている。今後の再編をにらみ、あえて都道府県トップの地銀ではなく、2番手、3番手の地銀を保有するという戦略もありそうだ。

出所：日本経済新聞、moomoo