「トランプ2.0」閣僚の顔ぶれと政策スタンス　米国株高は続くか？

moomooニュース米国株コラムを発表しました · 11/27 06:03

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選挙から3週間が経過し、投資家はトランプ政権の政策路線に注目している。トランプ政権2.0はほぼ固まりつつあり、財務長官や商務長官など主要な経済ポストの候補者が大部分決定している。

このような環境下で、米国株式は変動を続けている。「トランプ・トレード」は当初急騰したものの、リフレーション懸念で後退し、その後反発に転じた。選挙日以来、 $S&P 500 Index (.SPX.US)$ は5.2%上昇している。

ドイツ銀行、S&P500を2025年に7,000と予測
ドイツ銀行は、S&P500が2025年末までに7,000ポイントに達すると予測。力強い利益成長と需給の堅調さを根拠に挙げた。

バークレイズも予測を6,600ポイントに引き上げ、米国経済の堅調さ、インフレの緩和、メガキャップハイテク企業の成長可能性を支える要因としている。これらの目標値は現在の水準からそれぞれ17.27%と10.56%の上昇を示している。

両銀行は、S&P500の利益を引き続きビッグテックが牽引すると見ており、ドイツ銀行は1株当たり利益（EPS）を282ドルと予測、バークレイズは271ドルに修正している。FRBの利下げ、低失業率、大規模な資本流入などの要因が指数をさらに押し上げると予想されている。

トランプ政権2.0 VS 1.0　継続と変化
トランプ政権2.0の経済政策は、トランプ政権1.0の「アメリカ第一」政策を受け継いでいる。共通点として、国内減税や関税引き上げを支持する点が挙げられるが、異なるのは、状況の変化に伴い、政府支出削減やインフレ抑制により重点を置いていることである。これには、2017年の「減税・雇用法」の延長・拡大、中国製品への関税60%の引き上げ、政府支出削減によるインフレ抑制などが含まれる。

2017年の「減税・雇用法」は、個人所得税や法人税の改革、海外収益への課税調整を実施したが、トランプ政権2.0ではこの法案の期限条項を延長し、減税規模をさらに拡大する計画で、その総額は数兆ドルに達すると見込まれている。一方、関税政策では、中国製品に最大60%の関税を課すほか、他地域の製品に対しても最高20%の関税を課す方針を掲げている。

政府支出に関する方針の違いもトランプ2.0政策の特徴である。1.0政権では軍事費やインフラ投資の増加を通じて製造業の再建を目指したが、2.0政権ではインフレ圧力への対応や財政赤字拡大の回避を重視し、政府支出の削減を強調している。

トランプ2.0政権の政策推進はより迅速になると予想されている。共和党が議会両院で多数を占めており、トランプ氏が受ける制約は比較的少ないためだ。特に、中国製品への関税引き上げなど、議会の承認を必要としない政策は早急に実行に移される可能性が高い。一方で、国内減税や関税の大幅引き上げといった政策は、段階的な実施が求められる。

しかし、正式な政権運営では、すべての政策を実現するのは難しいとされる。減税とインフレ抑制といった政策目標間の矛盾や、財政赤字拡大のリスクが政策の実施を困難にする可能性がある。特に、選挙時に「政治的正しさ」として掲げられた財政支出削減や対中強硬策は、実際の施政において柔軟な対応が求められるだろう。

トランプ政権2.0　政策の見通しと影響
副大統領バンス副大統領は内閣や一部の重要な省庁を指揮する立場にはないが、主に大統領を補佐する役割を担う。また、通常は投票権を持たないが、上院議長として、上院で票が同数となった場合に決定票を投じる権限を有する。

トランプ氏は7月の時点で、オハイオ州選出の上院議員であり、元ベンチャーキャピタリストのJD・バンス氏を副大統領候補に選んでいる。

バンス氏の主張は以下を含む：
●「アメリカ第一」の貿易政策を支持
●輸入品への関税引き上げを主張

Autopilotのデータによると、副大統領候補としてトランプ氏が「指名」したバンス氏は、主にETFを通じて米国株に投資している。
●関連記事：バンス氏が米副大統領候補に！恩恵を受けそうな銘柄は？

財務長官スコット・ベセント
財務長官は、副大統領を除けば米国内閣で最も重要な4つの閣僚ポストの一つとされ、公共財政、経済制裁、国内歳入庁の監督、国際経済外交への関与、そして金融市場の安定運営の支援を担う。

ベセント氏の主要な政策は、いわゆる「3-3-3」政策として要約される。
●財政赤字の削減。2028年までに予算赤字をGDPの3%に抑える。
●国内減税と規制緩和により、GDP成長率を3%に引き上げる。
●日量300万バレルの石油または同等エネルギーの増産。

トランプ氏により財務長官に指名された後、ベセント氏は初のメディアインタビューで、自身の政策の重点はトランプ氏の減税公約を実現することであり、特に第1期の減税政策を恒久化すること、小費や社会保障給付、時間外労働手当の税を廃止することにあると述べた。減税政策は中長期的に米国株企業の利益を支え、特に現在有効税率が高い順周期セクターにとって有利に働くと見られている。

関税政策に関して、ベセント氏はトランプ氏の貿易脅威を緩和しようとしているとみられている。アナリストは、ベセント氏が「ムニューシン2.0」の時代を開くと予測している。ムニューシン氏はすべての関税政策を阻止することはできなかったが、どこに「レッドライン」があるかを理解しており、米国債市場の安定を確保していた。市場は、新政権の財政政策が段階的に進められると予想しており、関税政策もトランプ氏が選挙戦で公約したほど急進的なものにはならないとみられている。

商務長官ハワード・ルートニック
商務省は、米国政府の中で最も広範な職務を担う最大規模の機関であり、経済、産業、貿易管理を担当する重要な省庁とされる。新たな半導体工場の資金提供、貿易制限の実施、経済データの公表、さらには気象監視（国立海洋大気庁も商務省の管轄下）などを担う。

トランプ氏がルートニック氏を商務長官に指名すると発表した声明では、同氏がトランプ氏の貿易政策に幅広い権限を持つことが示唆されている。また、ルートニック氏が米国通商代表部（USTR）に「直接責任を負う」とも明言された。

ルートニック氏を象徴する最大の特徴は、ウォール街の大物としての存在感だ。現在63歳の億万長者であり、金融サービス企業キャントール・フィッツジェラルドの最高経営責任者（CEO）を務めるとともに、トランプ氏の主要な選挙資金提供者の一人でもある。

経済分野での主張は以下を含む：
●特に中国を対象とした関税引き上げを支持
●所得税の減免を支持
●暗号資産を支持し、ビットコインは金と同様に、制限なく世界中で自由に取引されるべきと主張

管理予算局長ラッセル・ヴォート
管理予算局（OMB）は、連邦政府の予算編成と執行を監督し、大統領が政府財政計画をコントロールするための重要な機関とされる。トランプ氏が指名したヴォート氏は、政府予算の監督や政府支出の削減において重要な役割を果たす可能性がある。ヴォート氏はトランプ氏の第1期政権中にも管理予算局長を務めていた実績を持つ。

選挙戦中、ヴォート氏は「プロジェクト2025（Project 2025）」の主要設計者を務めた。このプロジェクトは保守系シンクタンクであるヘリテージ財団が推進し、トランプ2.0政権下での一連の保守政策を実現することを目的としている。これには、連邦支出の削減、大幅な減税、大統領権限の拡大、国境管理の強化が含まれる。トランプ氏はこのプロジェクトとの直接的な関係を否定しているが、現在指名されている内閣メンバーの中には同プロジェクトに関与した人物もおり、ヴォート氏もその一人である。

ヴォート氏の経済分野での主張は以下を含む：
●政府支出の削減と国内減税を推進。10年間で11.3兆ドルの政府支出削減と、約2兆ドルの所得税削減を構想。
●国境管理関連支出の増加と対外援助の削減を提案。

政府効率部トップ、マスク氏とラマスワミ氏
テスラCEOのイーロン・マスク氏と、かつて共和党の大統領候補に名乗りを上げたヴィヴェック・ラマスワミ氏が、新設される「政府効率部（Department of Government Efficiency）」を率いる。この省の略称「DOGE」は、マスク氏がたびたび言及してきた仮想通貨ドージコインのトークン記号と同じである。

トランプ氏は、マスク氏とラマスワミ氏が「提言と指導」を行い、ホワイトハウス管理予算局（OMB）と連携しながら、「より効率的で官僚主義の少ない小さな政府」の実現を目指すと述べている。

政府効率部の両責任者による主な主張は以下の通り：
●連邦機関の再編と連邦政府職員の削減。マスク氏は、428の連邦機関を99に削減し、約300万人の連邦公務員を77％削減する構想を提案。
●政府支出の削減。過剰な規制と無駄な支出を削減し、連邦予算から2兆ドルの支出削減を目指すとマスク氏は提案している。

その他の重要職位
エネルギー長官候補のクリス・ライト氏は、石油・天然ガスを代表とする従来型エネルギーを支持し、化石燃料が経済的繁栄の促進と貧困削減に不可欠であると主張している。また、気候変動に懐疑的な立場を取り、気候危機は存在しないと考えている。

エネルギー長官はエネルギー政策分野で最も発言力を持つ閣僚であることから、トランプ政権2.0のエネルギー政策の方向性は基本的に明確となった。具体的には、石油・ガスの開発と輸出の推進を強調しており、バイデン政権の新エネルギー政策とは大きく対立する内容となっている。

内務長官候補のダグ・バーガム氏は減税を支持している。バーガム氏は2024年大統領選に出馬し、選挙戦の中で地方財産税と州所得税の削減を主張していた。

農務長官候補のブルック・ローリンズ氏は市場経済を支持し、政府の介入を減らし、イノベーションと自由競争を促進することを提唱している。ローリンズ氏は、農業は米国経済の重要な構成要素であり、技術革新と市場主導によって競争力を高める必要があると主張している。また、精密農業やバイオテクノロジーなどの農業分野における技術応用を推進し、生産効率と持続可能性の向上を目指している。

ーmoomooニュースZeber
出所：moomoo、Bloomberg
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