どこよりも分かる【アップルQ4決算まとめ】

米 $アップル(AAPL.US)$が現地2日引け後に23年第4四半期（7-9月期）決算を発表。売上高とEPSが市場予想をやや上回ったものの、2001年以来初めての４四半期連続の減収となった。iPhoneとサービス部門の売上高が好調なことで、MacとiPadの不振を補った。利益率が高いサービス部門が過去最高を更新し、純利益が2四半期連続で増加したことを牽引した。

●売上高の約半分を占めるiPhoneの販売が世界中のスマートフォン需要の縮小で伸び悩んでいるが、前期の2.4％減から2.7%増に転じ、業績を著しく改善した。9月下旬に発売した新機種「iPhone15」シリーズで価格が高い上位機種を積極的に売り、増収を確保した。

●アプリ販売や音楽配信などのサービス部門の売上高は3四半期連続で過去最高を更新、売上高全体に占める割合が前年同期から4ポイント上昇し、約25%に達した。サービス部門はアップルが事業多元化を実現するには重要な分野となっており、消費者動向やニーズの移り変わりをより早く反映するものでもある。

●iPhoneを除いて、他のハードウェア製品が減収。売上高全体の10％を占めるパソコン「Mac」の売上高は前年同期比33.8%減、主要製品の中で減少幅が最大だった。22年4-6月の供給停滞による前年同期の売上が販売急回復で歴史最高を記録したことで、23年7-9月期は販売が大きく落ち込んだ。iPadの売上高は市場予想を上回ったものの、過去8四半期の中で7回目の減収となった。AirpodsやApple Watchを含むウェアラブル・家電部門の売上高も市場予想に届かなかった。

主力市場のひとつである中華圏では、第4四半期の売上高が2.5％減となった。為替の影響と中国国有企業などによるiPhoneの使用制限が逆風となったほか、競合の中国・華為技術（ファーウェイ）が新機種を発表し、中国で新たな競争に直面している。JPモルガンのアナリストSamik Chatterjee氏は今週、「iPhone15」シリーズの中国でのシェア低下や世界中の消費意欲の低迷に対する懸念が強まり、アップルの株価がより厳しい挑戦に向かっていると指摘した。

ただし、同社のティム・クック最高経営責任者（CEO）は決算説明会で、「7‐9月期の中国におけるiPhoneの売上高は同四半期として過去最高となった。インドにおける全体の売上高も過去最高だった」と指摘。「アジアは非常に重要な市場で、とても楽観的にみている」と強調した。他地域では米州で増収を確保し、ヨーロッパとアジア・太平洋も微減にとどまった。

米IT大手の中で文章や画像などを作り出す生成AI（人工知能）ブームが続き、AI技術の導入効果も見え始めているなか、アップルもAI技術の導入に積極的に取り込んでいる。クック氏は決算説明会で、同社が生成AIに「かなり」投資していると指摘。「時間の経過とともに製品の進歩が見られるだろう」とし、こうしたテクノロジーが製品の中核になるとの考えを示した。

同社のルカ・マエストリ最高財務責任者（CFO）はアナリストとの電話会議で、年末商戦に重なる24年第1四半期（10-12月期）の売上高が前年並みになるとの見通しを示した。この低調な見通しが市場予想に届かず、投資家が期待していた伸びの回復が見込まれないことを示唆した。2日の米株式市場の時間外取引で株価は一時、同日終値より約3%下落した。

アップルの業績押し上げにとって最も重要なホリデー商戦を控え、投資家が最も関心を寄せたのは、新機種「iPhone15」シリーズの販売実績、サービス部門の売上高がさらに記録を更新できるか、中国市場における国産メーカーとの競争だ。時価総額が2.8兆ドルに迫るこの世界最大のビッグテック企業が、厳しいマクロ経済環境の中で、AI投資を重ねた製品の進歩で業績の伸び悩みを切り抜けられるかどうかが注目されている。