【米国株決算見通し】出足に失敗した米国株の次の試練！

2024年の年明けの米株式市場は低迷しているが、決算シーズンが始まり、各企業が第4四半期決算や自社株買い計画を発表し始める今週、その状況は変えられるでしょうか。

戦略会社レイノルズ・ストラテジーのチーフ・マーケット・ストラテジスト、 Brian Reynoldsは、「2024年の株式市場には強気だが、機関投資家の弱気姿勢により、今後数カ月は波乱含みの展開になるだろう。この売り越しが終われば、企業は自社株買いを行い、株価を押し上げる」と述べた。

第4四半期の予想EPSは、去年9月30日から12月31日までに6.8%下方修正（57.86ドルから53.90ドルへ）した。通常、アナリストは四半期中に業績予想を下方修正する傾向があるが、今回は直近5年間の平均（-3.5%）、10年間の平均（-3.3%）、15年間の平均（-4.2%）、20年間の平均（-3.8%）よりも下落幅が大きい。2022年第3四半期（同じく-6.8％）以来最大ともなる。

注目すべき点は、2023年第4四半期のEPS予想が6.8%下方修正した一方で、2024年度のEPS予想がわずか1.3%下方修正（247.66ドルから244.45ドルへ）したことである。

セクター別では、ヘルスケア（-21.3%）と素材（-13.5%）を筆頭に、11セクター中9セクターで2023年第4四半期のEPS予想が9月30日から12月31日にかけて下方修正された。一方、EPS予想が上方修正されたセクターは、公益事業（+1.9%）と情報技術（+1.7%）の2セクターのみだ。

ガイダンスに関しては、S&P 500構成銘柄のうち、2023年第4四半期のEPSについてネガティブなガイダンスを発表している企業の数、割合ともに平均を上回っている。ネガティブなEPSガイダンスを発表している企業数（72社）は5年平均（57社）、10年平均（62社）を上回っている。

ファクトセットの調査によると、第4四半期の利益は前年比1.3％増と、9月末時点の8％増から大幅に修正された。11セクターのうち、通信サービス、公益、一般消費財を筆頭に5セクターが前年比増益と予測される。そのうち、通信サービスは、前年比約42%増と最も高い収益成長率でリードすると予想。一方、前年比で減益が予想されるのは、エネルギー、ヘルスケア、素材セクターを筆頭に6セクターだ。エネルギーは、原油価格の高騰により、前年度の急騰から最も大幅な減益になると予測されている。

ウォール街のアナリストは、2024年に向けてS&P500種構成企業の収益が約12％急増すると予測。しかし、ブルームバーグが市場関係者を対象に実施した調査では、S&P500の業績予想が楽観的すぎるとする回答が半数を占め、企業の収益性に対する主な懸念事項として景気減速を挙げており、今年の株価上昇のけん引役が業績ではないと示唆している。

さらに、S&P 500指数の予想PER（株価収益率、12ヵ月先）約19.2倍で、5年平均の18.9倍をわずかに上回っている。

しかし、こうした懸念にもかかわらず、ウォール街のストラテジストや投資家の間では、2024年の株式市場の上昇に対する楽観的な見方が残っており、調査参加者の約3分の1が来月中にS&P500種株価指数へのエクスポージャーを増やす意向を示している。