米国株ウィークリーレポート（米9/22～9/28）

9/28までの米株式市場でダウ平均は先週末比で続落したほか、 S&P500種やナスダックは共に4週続落となった。週明け25日、主要3指数は揃って5営業日ぶり反発に転じたなか、米連邦機関閉鎖が米信用格付けに響くとの格付け会社ムーディーズのコメントを受けて、3指数共に上げ幅が限定的だった。米長期金利は26日、一時は4.56%と約16年ぶりの高水準を付けたほか、ドル指数は去年11月末以来の高値を付けたことが重しとなり、主要3指数は揃って反落となり、ダウ平均の下げ幅は一時430ドルを超えた。 $アップル (AAPL.US)$など高PERハイテク株が売られた。米長期金利が高止まりで推移するなか、NY原油先物は28日、3日ぶりに反落に転じた。値ごろ感からハイテク関連株や景気敏感株などに買戻しが入り、28日のダウ平均は3日ぶりにプラスに転じたほか、 S&P500種やナスダックは共に続伸した。S&P500種主要11セクターは売り買い交錯だった。資源セクターは先週末比3.31％高と値上がりトップとなり、通信セクターが0.72％高、素材セクターが0.39％高と続いた。半面、公益セクターは先週末比7.18安と値下がりトップとなり、不動産セクターが1.93％安、消費安定セクターが1.84％安と続いた。個別株では、 $アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$は28日まで続伸し、7％上昇した。 AMDのグラフィックスカードは今後数年間で存在感が増すと、マイクロソフト社最高技術責任者のコメントが好材料視された。半面、通期業績見通しを大きく切り下げた $ネクステラ・エナジー (NEE.US)$は28日までに続落し、4営業日の下げ幅が15％以上に達した。 

ドル指数が10カ月ぶりの高値水準で推移しているほか、米長期金利は連日約16年ぶりの高水準を更新しながら、一時4.69%近くまで上昇した。ドル高や米長期金利の高止まりが重しとなり、高PERハイテク関連株や海外エクスポージャーが大きい銘柄を中心に値動きの荒い展開が予想される。UAWストライキ、米連邦機関閉鎖懸念などを受け、米株式市場は神経質な動きに余儀なくされよう。一方、ダウ平均の先行指標となるダウ輸送株指数が200日移動平均で下げ止まりが確認されたことにより、ダウ平均の下値は限定的とみられる。 

ファクトセットのまとめ（9/22時点）によると、 S&P 500企業では平均して売上総計の41％は海外向けとなる。 S&P 500種ITセクターの上場企業に限れば、売上総計の59％が海外でたたき出されている。ITセクター、素材セクターなど海外売上高が過半を占める米上場企業にとって、ドル高や米長期金利の高止まりが二重苦になりそうだ。 

米上場企業による自社株買いが米株市場上昇の原動力となってきたなか、自社株買い規模の2割以上は例年11月や12月に実施されたことから、今年も「米株年末高」の援軍として自社株買いが注目された。リフィニティブの調べによると、米上場企業による自社株買いは、2023年1-9月は前年同期から1400億ドル減の3300億ドルに落ち込んだことが判明した。米上場企業の自社株買いに新たな課税が設けられたほか、景気減速や金利上昇を背景に、米上場企業は手元流動性の確保を優先させた模様だ。自社株買いという相場上昇ドライバーの一つが欠いた今、米主要企業23年7-9月期の業績発表が米市場の行方を握ることになろう。 

来週にかけて、米9⽉ISM 製造業景況指数(10/2)、米8⽉JOLTS 求⼈件数(10/3)、米9⽉ADP雇⽤統計(10/4)、⽶8⽉貿易収⽀(10/5)、米9⽉雇⽤統計(10/6) などに注目したい。中国は9/29-10/6は国慶節大型連休となる。