『どうなる!?　エヌビディアの株価～突然の株価下落の分析』

６月20日に米半導体大手、 $エヌビディア(NVDA.US)$ は高値１４０．７６ドルを付けました。しかし翌21日から売りが強くなり、株価が14％下落しました。そのため世界一になった時価総額は一時的に３兆ドルを下回っていました。６月25日（米国）では、同社株に買い戻しが入りました。

さて、今回のように高値から大きく下落した後の値動きを推測するには、「フィボナッチ・リトレースメント」という手法があります。これは、フィボナッチという数学者が研究した「フィボナッチ級数」という理論を元にして重要な比率を割り出したものです。この理論によれば、株式、為替などの相場で直近の高値と安値の比率として23.6％、38.2％、61.8％、76.4%が重要であるとされます。これらの比率に50%を加えた値幅で株価、為替レートの反転が起きる可能性が高いと言われます。

　一般的に際立った速さで株価が上昇を続ける銘柄は、これといった理由が無くても押し目をつけることがあるものですね。それでは、エヌビディアの株価を見てみましょう。

６月20日の高値を基準の0%とし、黄色い矢印を付けた４月19日に安値を付けているので、そこを100%としています。

下のチャート１のように38.2％の価格の少し上で、6月25日に株価が上昇に転じています。

さて、エヌビディアの株価は今年の１月にも底値を付けていました。そこで次に１月４日の安値を100％とし、同じようにフィボナッチ・リトレースメントで検討してみたのが、下のチャート2です。

1月4日の安値を基準に取るとちょうど23.6％で株価が上昇に転じていることが分かりました。

安値の基準の決め方により、株価の切り返す割合は変わってきますが、今回のように

50％よりも小さい割合、つまり23.6％、38.2％の近辺で反転して上昇する場合には、上昇の勢いが続く可能性が高いと言われています。

　米半導体メーカー、エヌビディアの幹部・取締役ら経営に関与する内部者は今年、７億ドル（約1100億円）余りの自社株を売却しました。ご存じのように同社は１株を10株に分割する株式分割を6月10日に実施しました。この影響を除くと、幹部・取締役らは今年これまでに約77万株のエヌビディア株を売却していました。ワシントン・サービスがまとめたデータによると、約84万8000株が売却された2023年１－６月（上期）以来では、下のグラフが示すように半年ごとの集計としては最大の金額となります。　

24年にエヌビディア株の株価が急上昇したので、今年の内部者による自社株売却額は以前の期間を大きく上回っています。

出典；The Washington Service作成、ブルームバーグ提供、一部加筆

　エヌビディアの幹部・取締役らが今年売却した自社株の３分の１以上は、５月22日に行われたエヌビディアの２－４月（第１四半期）決算発表以後に売却されたとの事です。

　エヌビディア経営陣の中の自社株の最大の売り手はマーク・スティーブンス、テンチ・コックス両取締役でした。ジェンスン・フアンＣＥＯは17日、事前に取り決めたトレーディング計画に基づき約3100万ドルの自社株を売却したと報告しました。エヌビディアの担当者はコメントを控えるとしています。

勿論、上場企業の経営者の自社株の売買は、相場の公平性を保つため、内部者による売買として公表されます。この売買が19日に報じられましたが、この報道が今回のエヌビディア株の下落に多少のきっかけを与えた可能性は否定できません。