バイデン氏撤退表明トランプトレードはどうなる？

ジョー・バイデン米大統領は、11月の大統領選から「撤退する」ことを明らかにした。同氏はソーシャルメディアに投稿した書簡で、討論会での大惨敗の後、同氏の立候補に対する民主党内での抵抗を鎮めることができなかったことを受け、大統領選への出馬を打ち切ると述べた。後継候補としてカマラ・ハリス副大統領を支持した。自民党の茂木敏充幹事長は20日、「まだ確たる結果は言えないが、今の米国の雰囲気は『ほぼトラ』から『確トラ』に近くなってきている」と述べた。

11月の選挙まで4カ月を切ったバイデンの撤退は、短期的にはウォール街の波乱をさらに悪化させる可能性がある。バイデンの大統領選討論会後に勢いづいた「トランプトレード」（エネルギー企業、銀行、ビットコインにとっては好材料、電気自動車や再生可能エネルギーにとっては悪材料）は失速する可能性があるという。

ハイテク企業決算控え　バイデンが撤退表明、市場の行方は？
今週、 $アルファベット A(GOOGL.US)$や $テスラ(TSLA.US)$といった大型ハイテク株の決算発表が間近に迫っている。強気の投資家は堅調な内容となることでハイテク株安が食い止められると期待している。

ハイテク株と小型株のローテーションは先週も続き、 $S&P 500 Index(.SPX.US)$は2％下落、投資家はハイテク株が優位性を失い、小型株が恩恵を受けるとの見方を強め、 $Russell 2000 Index(.RUT.US)$は2週連続で上昇した。

政治的影響を懸念する投資家は、暗号通貨や化石燃料関連企業に注目しそうだが、その他の分野では、金融やヘルスケアなど規制の厳しいセクターに関心が集まっている。

バイデン氏撤退表明トランプトレードはどうなる？
バイデン氏が撤退を表明した後、投資家が直面している問題はバイデンが選挙戦から撤退するため、「トランプトレード」を維持すべきかどうかである。Roundhill Financialの最高経営責任者（CEO）Dave Mazza氏は、後継候補のカマラ・ハリス氏がトランプ氏に実質的な打撃を与えることができるならば、ボラティリティが続くべきだと予想している。しかし、トランプ氏が世論調査で優位を保ち続け、投資家がトランプ氏の勝利は確実視したとすれば、「トランプトレード」が優勢となり、ボラティリティは低下するだろうという。

GlobalData.TS Lombardのグローバル・ポリシー・リサーチ担当、Grace Fan氏は以前の報告書で民主党の後継候補は「市場が勝利の可能性を再調整するにつれて『トランプトレード』が頓挫する」ことを意味すると書いた。「しかし、ハリスが最終的に候補者となった場合、これらの賭けは大きく動く可能性は低い」という。

Matt Maley Millerのストラテジスト、Matt Maley氏は、ビットコインやエネルギーのような「トランプトレード」は巻き戻しに転じ、太陽光発電株や電気自動車のような打撃を受けたトレードのいくつかは立ち直る可能性があると見ている。これから9月にかけて、ボラティリティは急上昇するだろうと指摘した。

大統領選を巡る不確実性が高まり、安全資産への需要で金が値上がりした。アジア時間22日の取引で、金のスポット価格は一時2,410ドルを突破した。ドル相場の下げも下支え要因となった。銀塊とプラチナ、パラジウムの価格も上昇した。

ビットコインは一時68,000ドルを突破した。注目すべきなのは、ビットコインの強さの一因は、暗号資産にとってより有利な規制環境を作り出すであろうトランプ氏の勝利の可能性に対する市場の楽観的な期待にある。

同氏は6月12日の投稿で「残りのビットコインすべてをメイド・イン・USAにしたい」と述べ、これが米国を「エネルギー優位」にする助けになるとした。この投稿は、マイニング業界の幹部との会合後に行われたものだ。また、トランプ氏は11月の大統領選挙で当選した場合、ビットコインマイニング業を支援することを約束したと報じられている。 $マラソンデジタルホールディングス(MARA.US)$、 $クリーンスパーク(CLSK.US)$、 $ライオットプラットフォームズ(RIOT.US)$などのビットコインマイニング株が注目される可能性がある。