パレスチナ危機再燃で FRBは最終利上げ宣言に追い込まれる
FRB金融政策の不確実性を吹き飛ばした中東の地政学的リスクの高まり
週末7日のパレスチナ危機の勃発を機に、 FRBの金融政策を巡る不確実性に一応の終止符が打たれる可能性が高い。2022年3月から始まった米利上げサイクルと共に、FRBの金融政策には1.更なる利上げ(25bp )の有無、2.最後の利上げ宣言の有無、3.次の利下げ時期の3つの不確実性が常に随伴してきたなか、パウエル氏は、金融政策の全てが「データ次第」として何れにも明確には答えないスタンスで臨んできた。8月に開かれたジャクソンホール会議でもパウエル氏は曖昧な立場を貫き通した。適正な金利水準の不確実性、金融政策効果のタイムラグの不確実性、インフレ圧力となり得る米労働市場の不確実性など3つのポイントが取り上げられ、パウエル氏は金融政策の決定に当たっての3つの不確実性を指摘した。米経済の軟着陸に向けて、パウエル氏はさまざまな不確実性への言及を通して、市場との対話に苦心する姿が窺われたものの、パレスチナ紛争の再燃を機に、『中東の地政学的リスク』の高まりを目の当たりにして、FRBの金融政策を巡る不確実性がもはや鶏肋に等しくなり、パウエル氏は最終利上げ宣言に追い込まれることになりそうだ。
米政策金利の推移
パレスチナ紛争の緊迫化は、即ち安全資産の米国債が買い!
9日の米国債市場はコロンブスデーの祝日のため休場となったなか、米国債に連動するETFは急上昇したほか、独伊国債が揃って買われた。ドイツ10年国債利回りは一時12 bp 低下の2.773%となり、イタリア10年債利回りは一時6 bp低下の4.862%だった。地政学的リスクの高まりに伴う米国債実需買いのほか、ヘッジファンドによる米国債先物売りの解消も米長期金利の低下に寄与することになろう。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータをもとに国際決済銀行(BIS)が算出したデータによると、ヘッジファンドによる米国債先物の売越額は9月上旬時点で5649億ドルと過去最大規模に膨らんだことが明らかとなった。BISは、先物の証拠金と投資額からみたレバレッジの水準は50〜70倍と高い水準にあると指摘し、レバレッジ解消の動きが債券市場の中核を揺るがしかねないと警告した。市場のデレバレッジ(巻き戻し)により、ヘッジファンドは損失拡大を余儀なくされるが、米国債現物が先物対比でやや割安な状況が改善されよう。IMF年次総会(9-15⽇)にてパウエル氏は金融政策の転換を示すことにより、米国債は中長期的なブル相場に突入するとみられる。
米国債先物の売りポジションが膨張
米長期金利の低下は米ITセクターの追い風に
米長期金利が低下へ転じる場合、高PER米テック大手の恩恵が最も大きいとみられる。ファクトセットのまとめ(10/6時点)では、23年3Q米ITセクターの増益率見通しは、前年同期比4.6%増益と、6月末時点の同0.6%増益から大きく上方修正された。期間中EPS予想の上方修正に対し、米ITセクターの株価パフォーマンスは▲4.9%だった。
ITセクター65社のうち、38社が3QのEPS予想を引き上げている。EPS予想を6月末比で10%以上引き上げたのは7社で、その筆頭は $エヌビディア (NVDA.US)$ (2.25ドルから3.32ドルへ)となり、 $インテル (INTC.US)$(0.15ドルから0.21ドルへ)、 $アプライド・マテリアルズ (AMAT.US)$ (1.58ドルから1.98ドルへ)と続く。ファクトセットと同様、 Zacks Investment ResearchもエヌビディアのEPS予想の上方修正について、他のIT大手とは一線を画するものであると指摘した。米ITセクター全体の収益をエヌビディアが牽引している側面を踏まえて、6月以降ほぼ横ばいで推移するエヌビディア株に一段の上値が期待されよう。
エヌビディア(NVDA)2024年1月期3Q(8-10月)EPS見通しの上方修正推移
メタ(META)2024年1月期3Q(7-9月)EPS見通しの上方修正推移
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