S&P500種指数は向こう12カ月にかけて19%上昇へ?
年初から7月末にかけて約20%の値上がりを見せた $S&P 500 Index (.SPX.US)$指数は、8月に入り一転して調整色を強めている。足元では(9/22時点)、52周高値から約10%下落している。先週に開かれた米9月会合で、大方の予想通り、米政策金利は5.25-5.50%に据え置かれた。その一方で、FOMCメンバーが適切な政策金利水準と考える「ドットチャート」をみると、24年末時点の政策金利予想(中央値)が5.1%と前回6月公表から0.5%引き上げられた。米政策金利は向こう1年間以上に亙り5%台に据え置かれるとのFOMCメンバーのタカ派寄りスタンスが大きく嫌気され、S&P500種指数やハイテク株が中心のナスダック総合指数は共に3週続落した。
パウエルFRB議長による徹底した金融引き締め姿勢が米株式市場に影を落とすなか、「S&P500種指数は向こう12カ月にかけて19%上昇へ」(9/22)と題されたファクトセットのトピックがなかなか興味深い。同トピックによると、市場アナリストの予想では、S&P500種指数は向こう12カ月間にかけて、5152.11ポイントまで19%の上昇(基準日は9/21の4330ポイント)が見込まれるという。目標株価となる5152.11ポイントの根拠は、 S&P500種指数に含まれる全上場企業の目標株価予想(個別株の目標株価を集計)の中央値を集計して算出される。
セクター別の値上がり率の予想をみると、ITセクターの+22.8%を筆頭に、一般消費財セクターの+22.7%、不動産セクターの+22.6%、 ITなど3セクターが値上がり率の上位となる一方で、資源セクターの+10%は、値上がり率予想のうち最下位に沈んでいる。因みに、ファクトセットが9/15にまとめた「23年4Qに向けて、 S&P500種11セクターのうち、アナリストが最も楽観視しているセクターはどれか?」には、資源セクターを「買い」と評価する割合は64%に上り、ITセクターの58%を抑えて、主要11セクターのうち買い評価の割合が最も高かった。ファクトセットが言わんとすることは、目先では資源セクターに買い推奨が集まったとしても、最終的には ITセクターが勝ち抜くということであろうか。ファクトセットは主要11セクターの値上がり率予想のほか、目標株価(中央値)と引け値(9/21)の乖離が最も大きい10銘柄も取り上げていた。
FRBとECBは共に利上げサイクルの最終段階を迎えたことは、先の欧米の定例会合で改めて確認されたなか、景気下降の有無が米欧経済の差異を際立せた。米国景気が再加速するとの見方が広まる一方で、ラガルド総裁も認めたように欧州は不況の真っ只中にある。米家計資産の著しい増加が米経済の力強さを物語っている。米家計所得は過去20年間のうち、13兆ドル増えたことに対し、金融資産は6.5倍の84兆ドル増えた。うち半分弱の37兆ドルは米当局がコロナ禍以降打ち出した金融・財政政策による急増だった。コロナ禍以降に膨らんだ米家計金融資産は株式や不動産に姿を変え、米個人消費が一向に衰えを見せない所以だ。FRBは米インフレを退治した上、米経済をソフトランディング(軟着陸)させることに成功するとのシナリオが現実味を帯びてきたら、 S&P500種指数の5000ポイント乗せも決して「夢物語」で終わらせない公算だ。
免責事項:このコミュニティは、Moomoo Technologies Inc.が教育目的でのみ提供するものです。
さらに詳しい情報
コメント
サインインコメントをする