1人で2社の自動車メーカーを統括していた、以前注目を浴びた電気自動車の新興会社フィスカーが、最初の車種を発売してから1年後にすでに破産を申し立てることになっている。これはフィスカーのCEOヘンリック・フィスカーが2回目の創業失敗となる。

自動車製造業に携わる以前、ヘンリック・フィスカーは有名なデザイナーの1人であり、BMWやアストンマーティンで輝かしい経歴を持っていた。2007年にフィスカー・オートモーティブのブランドを立ち上げた後、同社は2013年に破産を宣言した。

電気自動車の競争が激化し、アメリカの消費者需要が不足していることが明らかになると、フィスカーはニューヨーク証券取引所から摘牌され、先週、再び破産申請を発表した。

フィスカーはIPOで投資家から数十億ドルの資金を調達したことがあるが、新車の開発、工場建設、販売網構築に大金を投入し、車ごとに赤字になってしまい、現金準備も急速に消耗してしまった。

今年の始めに、フィスカーは直接消費者向けの販売モデルから販売代理店モデルに転換したが、販売実績を伸ばすことができず、まだ何千台もの在庫が残っている。

2回目の創業

フィスカーは自社を自動車業界の「Apple」と位置付け、製造は外部企業に代行してもらい、テスラを模倣したこともある。更に、フィスカーは中国市場に進出するともうた。

フィスカーの初の車種であるOcean SUVは、充電1回で360マイル走行できることを謳い、デザイン賞を受賞し、販売価格は4万ドル以下と低価格であるが、ソフトウェアの問題が指摘されたこともある。

アメリカ国家道路交通安全局は、Ocean SUVがスリップするか、ブレーキ性能が低下するという顧客の報告について、調査を続けている。フィスカーはブレーキ問題がソフトウェアアップデートで解決されたと回答し、同社は交通安全局の調査に全力で協力している。

ヘンリック・フィスカーの前の自動車会社は、初めての10万ドルのハイブリッド車、Fisker Karmaを発売した後すぐに破産を申し立てたこともある。

フィスカーは初回の創業から教訓を得て、今回はより多くの資金を調達し、Magna Steyrや電池大手の現代アンペレックステクノロジーなど有名なサプライヤーとパートナーシップを結んでいる。しかし、最終的に同社の問題の主な原因は、内部組織のミスにあり、特に財務・会計部門に関して。

分解

フィスカーの破産申請は、初号車のOceanの品質問題が所以で、多くの顧客や評論家から批判を浴びた車両であった。同社は財務報告書を規制当局に提出するのが何度も遅れ、多くの幹部を失い、わずか1か月で2人の財務部長が辞任した。

元最高財務責任者のGeeta Gupta-Fiskerは、自動車の生産が始まると財務の複雑さが増し、財務チームの力が同時に増えなかったと述べた。フィスカーはヨーロッパで自動車を生産し、アメリカに輸送して販売しているが、全体のプロセスには1か月以上もかかり、一部の購入者は納車を待たなければならない。

2023年末までに同社は約1万台のOceanを生産したが、4900台程度しか納入していない。

車両の納品を早めるために、フィスカーは従来の販売代理店モデルに転換することを決定した。

2月下旬、フィスカーは持続的な経営リスクを警告し、今年中に現金が枯渇する可能性があると認めた。

その翌月、フィスカーはOceanを6週間停産し、大手自動車メーカーとの共同生産に関する交渉も失敗に終わった。ニューヨーク証券取引所は株価が異常に低い（わずか9セント）ため、上場を取り消すことをフィスカーに通知した。

4月初め、フィスカーは再編の専門家を役員に迎え、再編や資産売却などの戦略的選択肢を検討していると発表した。当時、フィスカーは約5000万ドルの現金を持っており、従業員を削減し、店舗や倉庫を閉鎖することを開始していた。