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バルテスHD Research Memo(7):主な問題点(ボトルネック)と改善策

Fisco ·  06/28 00:57

■業績動向

(2) 3つのボトルネックと解消策

既述のように2024年3月期の連結業績は、期中までは増益予想であったが、下半期に入ってから社内の体制不備(ボトルネック)が露呈し、目標は未達となった。バルテス・ホールディングス<4442>の分析では、このボトルネックは主に3つあり、既にその対応策(解消策)も実行されている。

1) PM層/ハイレイヤー等のプロジェクト推進人材不足

プロジェクトを管理・推進する技術者が不足していたことで、いくつかの案件を失注した。これを解決すべく、以下のような施策を実行している。(PM=プロジェクト・マネージャー)

(組織新設・採用強化)

PM層/ハイレイヤー採用に適した独立組織をホールディングス内に新設。旧来の給与テーブルに縛られず、PM層/ハイレイヤーに対して納得感のある条件提示が可能となった。

(ハイスキル教育制度構築)

PM層/ハイレイヤー拡大のための教育制度を構築した。OJTを含む教育プログラムを構築し、既存エンジニアのPM層/ハイレイヤー化を進める。

(グループ内教育・ローテーション)

自社グループ内のPM層/ハイレイヤーをグループ内ローテーションにより活用する。自社グループ内の開発企業におけるPM層/ハイレイヤーにテスト教育を実施し、ソフトウェアテストサービス事業の引受や、同事業へのローテーションを目指す。

上記のような施策を実行していることで、PM層/ハイレイヤー技術者は6名増加(2024年5月14日現在、2023年12月対比)した。

2) 営業人員の離脱・不足による営業キーマンの負担増

売上高が急速に伸びた割に営業人員が強化されておらず、営業キーマンの負担が増加し一部案件を失注した。今後は、営業人員の増強による営業効率の適正化を図っていく。新規営業人員のサポートによって、営業キーマンの負担を抑え、顧客とのコミュニケーションと提案数の増加を図る。現在までに営業人員は4名増加(同)した。

3) 事業急拡大スピードと組織体制との乖離

直近4年間の成長と組織を振り返ると、

・売上高は2倍に増加したが、営業組織は役員1名体制かつキーマンは変わらず

・エンジニア数は2倍に増加したが、事業部組織は役員1名体制かつ部門長数は変わらず

・子会社は4社増加したが、グループ横断の営業組織は小規模だった

・4種のツールが増加したが、他サービス営業部隊による兼任だった

以上のような問題点を解決すべく、下記のような施策を実行した。

(営業組織の拡大・複数化)

事業規模の拡大スピードに合わせて営業組織を拡大。外部人材の招聘によって営業施策の向上を図る。外部より営業部門の責任者を招聘し、営業組織を2部門化し拡大する。自社の文化を重視しつつも、外部人材による新たな視点・施策を導入することで、適度な競争と新陳代謝を促し組織の硬直化を回避する。

既に外部人材の招聘を終え、現状の営業管掌役員は2名体制となった。

(テスト事業部の拡大・複数化)

事業規模の拡大スピードに合わせてテスト事業部を複数化。役員2名体制でマネジメントの充実を目指す。内部昇格により役員を増員し、テスト事業部を2部門化する。事業拡大により4年で倍増したエンジニアのマネジメント充実で受注拡大を目指す。

既にテスト事業部管掌役員は2名体制となった。

(専門組織の拡充)

ツール営業組織の新設強化、グループ営業部門の強化拡大を目指す。それぞれに外部マネジメント人材を招聘し施策・規模の向上を図る。外部より営業部門の責任者を招聘し、それぞれに適切な施策の拡大と、適した営業人員の教育・育成を図る。

既に2事業部とも外部マネジメント人材を招聘し、運営を開始している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。 更に詳しい情報
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