金曜日には、s&p 500指数が一時的に新高値を更新しましたが、Morgan StanleyのストラテジストであるMarko Kolanovicとそのチームは、今後数か月間に、米国の経済成長が減速し、企業の利益が下方修正されるなど、多数の不利要因が出てくると強く信じており、その時には米国株は苦境に直面することになると述べています。

Kolanovicらは中期見通し報告書で述べています。

米国株式市場の評価額は急激に上昇し、商業サイクルとは顕著に乖離しており、経済成長が予想よりも減速することを考慮すると、s&p 500指数が今年15％上昇したことは合理的ではないとのことです。将来数四半期には、予想とは異なるリスクが生じる可能性があります。すなわち、経済成長が鈍化し、インフレが依然として強硬な状況が続く、長期金利が大幅に下落しない可能性があります。

Kolanovicは現在、米国株に対する楽観的な見方に懐疑的であり、重要な経済指標が停滞しており、消費者が苦慮している兆候が見られると指摘しています。

さらに、市場の予想を下回る程度に、米国のエコノミー及び株式市場の評価額に圧力を与えることがあり得るため、FRB（米国連邦準備制度理事会）の利下げ回数も市場予想を下回る可能性があります。

今年の木曜日までに、s&p 500指数は31回の史上最高値を更新し、これによって人工知能に関連する興奮が高まり、株価が上昇しました。

Kolanovicは、多様な投資を奨励し、反発力と守りの性格を持つ株式に投資敞口を拡大することを提案しています。具体的には、公益事業、消費必需品、医療保健、高配当株などがあります。

Kolanovicは、大型テクノロジー企業の価格増加及び利益増加に対する強さを過小評価していたことを認めています。ただし、これらの株式の過剰な人気及び市場リーダーシップの集中は、数十年ぶりの水準に達しているとのことです。Morgan Stanleyの推定によると、20の最大の株式を除いた場合、s&p 500指数は4700点程度になるでしょう。

Morgan Stanleyのチームは、米国株式が強力な推進力を維持するためには、収益予測を上方修正する必要があると述べていますが、これは非常に困難だと考えています。それに対し、彼らは、ウォール街のアナリストが2Qの業績報告を公表した後、予測を下方修正すると予想しています。

市場の逆転とローテーションを正確に予測することは困難ですが、価格と感情の過度な変動が収束すると、誇張された動きは激しい調整に直面する傾向があり、大型機関投資家はこれ以上追求しなくなるでしょう。

Kolanovicは、s&p 500指数が年末までに4200点程度に下落すると予想しており、木曜日の終値である5483点から23％下落するとのことです。金曜日に発表されたデータによると、5月のコアPCE消費者物価指数は前年同期比2.6％の上昇となり、3年ぶりの低水準であったため、インフレが緩和していることを表しています。これにより、s&p 500指数は歴史的な高値である5524に接近しましたが、その後は高値から下落しました。

Kolanovicの米国株式に対する悲観的な見方は、以前に述べた見方と変わっていません。今年一年間、米国株式は一つの方向に上昇していたということもあり、高盛、シティ、バンク・オブ・アメリカなどのウォール街の分析家たちは予測を大幅に引き上げましたが、Kolanovicと同じく去年との同じ見方を持つモルガン・スタンレーの有名なストラテジストであるマイク・ウィルソンは、今年はそのような警告を停止しました。しかし、Kolanovicはその影響には動じず、Morgan Stanleyは、報道で追跡されているウォール街のストラテジストの中で最も低い米国株式の目標価格予測を行っています。

近年、Kolanovicの予測の成績は芳しくありません。彼は2022年に楽観的でしたが、その年にs&p 500指数は19％下落しました。彼は2023年に見通しを下方修正しましたが、その年にs&p 500指数は24％上昇しました。そして、今年も悲観的な見方をしつつ、米国株式市場は引き続き上昇しました。