■中期の戦略・トピック
アイエックス・ナレッジ<9753>では、3ヶ年の中期業績目標を掲げ、随時ローリングしている。2027年3月期の業績目標は、売上高で24,500百万円、営業利益で1,970百万円を掲げており、3期間の売上高成長率で年4.0%、営業利益成長率で年6.0%とやや利益成長を重視する計画になっている。売上高営業利益率は8.0%を目指す。
中期経営計画では、財務的な価値とともに非財務的な価値を追求し、持続的な成長による企業価値の向上を目指している。非財務的な価値追求の大きな方針は「ESG経営」と「人的資本経営」であり、「ESG経営」では、(1) グローバル基準での環境対策、(2) 多様性を重視した社会への貢献、(3) ガバナンスを重視した経営、「人的資本経営」では、(1) プロフェッショナル人財育成・リスキリング、(2) ダイバーシティ&インクルージョン推進、(3) エンゲージメント&職場環境向上、のそれぞれ3つの柱を掲げている。
中長期のM&A加速・グループ拡大を見据えて「グループパーパス」を策定
同社は、グループ一丸となった経営体制を構築していく企業風土の醸成を目的として「グループパーパス」を制定した。グループパーパスを改めて策定する背景には、今後M&A・企業連携を加速し、グループが拡大していくことが考えられる。グループ各社がこれまで築き上げた事業の礎をなす経営理念を尊重しつつ、グループが共通して持つべき考え方や価値観を今回整理した。主文は「社会とITの未来をともにつなぐ(“Connecting people one world”/想い:IKIグループは、共創によりITと社会を繋ぎ、豊かな未来を創造します)」とした。また、“共創”を実現するためのバリュー・土台として、技術力、顧客満足、持続的社会への貢献、健康経営の4点が位置付けられた。
M&Aの体制も、来た案件を検討する属人的な体制から意思を持って探索し、スピーディに検討を行う組織体制に進化する。M&Aのタイプとしては、業種の拡大(実例としてシーアンドエーコンピューター)、地域展開、DX関連新技術の強化などが想定できる。同社はほぼ無借金に近い強固な財務基盤を維持しており、積極的なM&A戦略を行っていく余力を有している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)