ノボノルディスクの人気減量薬OzempicとWegovyは、稀な視力喪失である非動脈瘤性前部虚血性視神経症候群（NAION）のリスク増加と関連する可能性があると指摘されています。ハーバード大学附属のMassachusetts Eye and Ear病院（以下「マサチューセッツアイアンドイヤーホスピタル」と呼ぶ）の医師たちは、これらの薬を使用した患者のNAION発症リスクは、他の薬を使用した患者よりも著しく高いことを発見しました。
米国東海岸時間7月3日の研究によると、OzempicとWegovyを使用した減量により、NAIONを発症するリスクは、他の減量薬を使用した場合の約7倍多くなります。また、糖尿病治療に使用された場合、このリスクは他の治療法よりも4倍高くなります。この発見は、本週水曜日に『JAMA Ophthalmology』誌に掲載されました。
ただし、この研究の範囲は限られており、マサチューセッツアイアンドイヤーホスピタルの患者記録に基づいています。また、対象となる眼疾患の症例数はわずか37例であり、統計力は限られています。したがって、ハーバード大学の研究者や他の専門家は、現在の研究結果がこれらの薬物が眼科合併症の直接原因であることを証明するには十分でないと述べており、より大規模な検証がより多くの病院で必要とされています。
英国バーミンガムの神経眼科医Susan Mollan氏は、「この研究結果は、患者に薬を中止するほどのものではないと思います。」と述べており、現時点で薬物使用と眼部合併症の間に直接的な因果関係があることを証明することはできません。また、いくつかのケースは数ヶ月後に発生したものであるため、医師は患者にリスクの可能性を十分に説明する責任があると指摘しています。
ノボノルディスク社およびその競合他社であるイーライリリー社の減量薬が非常に人気があり、市場供給不足になっています。両社はこの問題に対処するために努力しています。OzempicとWegovyの主成分であるセムグルタイドは、15年以上にわたる研究でその安全性が高いと判断されています。ただし、これらの薬物の使用範囲が拡大するにつれて、研究者たちは新しい副作用が発生する可能性について注視しています。
水曜日、ノボノルディスクADRが4.8％以上下落し、6月4日以来の安値を更新しました。
現在、この研究はより多くの病院を含めて拡大されています。
マサチューセッツアイアンドイヤーホスピタルでは、いくつかのセムグルタイドを服用した患者の中に非動脈瘤性前部虚血性視神経症候群（NAION）を発症した異常事例があり、これは珍しい病状であり、通常は永久的な一部の視力喪失を引き起こします。年間1万～5万人のうち1人が影響を受けるとされ、標準的な治療法は現在存在しません。
英属コロンビア大学の医薬品安全研究員であるMahyar Etminanは、この研究に参加していませんが、次のように述べています。
「私たちはこの潜在的なリスクをより慎重に検討する必要があります。もしこの深刻な病状がこれらの薬物と関連している場合、リスク-効果比を評価する上で大きな影響を与える可能性があります。」
Etminan氏はさらに、「糖尿病自体が眼部疾患のリスク要因の1つであるため、OzempicまたはWegovyがこの状態を引き起こすリスクがあるかどうかは、まだ明確ではありません。」と強調しています。
この研究では、2017年12月以来、マサチューセッツアイアンドイヤーホスピタルで治療を受けた710人の糖尿病患者と979人の減量薬使用者の記録を比較し、最初にOzempicまたはWegovyを使用した患者と他の治療法を使用した患者のNAION発病率を比較しました。なお、この研究は、イーライリリー社の製品であるMounjaroとZepboundを対象としていません。
昨年夏、「3人のNAION患者がクリニックを訪れ、彼ら全員がセムグルタイドを使用していた」という事実が発覚し、これを受けてマサチューセッツアイアンドイヤーホスピタルの神経眼科サービス責任者であるハーバード医学部のJoseph Rizzo教授がこの研究を開始しました。
現在、Rizzo教授のチームはより広範な研究を行うことを計画しており、より多くの病院を対象とします。Rizzo教授は、「私は医師と患者がこの潜在的な関連を理解するのを期待しています。現在の研究結果は、薬物使用と目の病気の間に直接的な因果関係があることを証明するには十分でない」と述べています。また、視力がある程度低下している患者にとって、この可能性のあるリスクを理解することが極めて重要であり、治療を開始する前に賢明な選択をすることができます。