今年上半期、主要なデジタル資産取引所における新しい暗号資産トークンの上場数が増加し、暗号資産市場の回復傾向を示しています。

暗号資産市場データ企業CCDataの分析によると、取引量が高いBinanceやBybitなどの取引所では、新しいトークンの上場数が11.6％増加し、計2066に達しました。一方、低い取引量のCoinJarやBTC Marketsなどの取引所では、新しいトークンの上場数が近く32％増加し、488になりました。

これらのデータは、ユーザーの資産を保管し、中心化取引所のようなCoinbase Global Inc.やBinanceなどの取引所から得られたものであり、Uniswapなどの分散型取引所のデータは含まれていません。今年には、memecoinsなどのトークンが100万個以上、分散型取引所で発行されました。

中心化取引所での新しいトークンの増加には、主に3つの理由があります。1つは、今年、暗号資産価格が上昇したことです。市場リーダーのBitcoinは50％以上上昇し、中心化取引所での新しいトークンの上場ブームを推進しました。2つ目は、米国の規制当局がBitcoinやEthereumのETFを承認したことです。3つ目は、トランプ氏が11月に大統領に再選された場合、彼が暗号資産に対してより友好的な姿勢を示す可能性があることから、規制緩和への期待が高まっているということです。

デジタル資産会社Pantera Capitalの投資マネージャーCosmo Jiangは、次のように述べています。

「政治や規制の加密資産へのスタンスの変化には楽観的な見方をしており、積極的な変化をもたらすと考えています。透明性の向上に伴い、実際に価値がある強力な基盤のあるトークンが優勢になることを期待しています。一方、memecoinsのような実際の価値のないトークンは徐々に淘汰されることになると思います。」

調査会社Kaikoのデータによると、今年中心化取引所での新しいトークン上場数は増加していますが、2021年の水準には及ばない可能性があります。

2021年は暗号資産市場のピークであり、新しいトークンの上場数が非常に多かった年でした。市場は非常に活発で、多くの新しいプロジェクトやトークンが上場しました。2022年には、FTX取引所の破綻など、一連のスキャンダルや倒産事件が起こり、市場信頼性が低下し、新しいトークンの上場数は50％以上低下しました。多くのプロジェクトは、市場の不安定性のために一時停止しました。

情勢は2023年も続いて悪化し、2022年の基準から新規上場数が20％減少しました。市場は引き続き前年の負の影響を受けており、投資家とプロジェクト側はより慎重になっています。今年、市場が回復しつつあるにもかかわらず、新しいトークンの増加速度はまだ2021年の水準に達していません。

異なる取引所には異なる戦略があります。CCDataによると、取引量が高い取引所では、2023年初以来、Bybitの新しいトークン上場数が83％増加しました。一方、Coinbaseは最も保守的であり、同期間の新しいトークン上場数はわずか8.2％増加しました。

Kaikoのシニアアナリスト、Dessislava Aubertは、次のように述べています。

「今年はやや複雑な状況です。Binanceは以前ほど新しいトークンを積極的に上場しなくなりましたが、他のプラットフォームでは新しいトークンの数が増えています。市場が回復し始めたことで、総合的な上場数が増加していますが、増加速度は以前ほど速くありません。」

新しいトークンは、現物取引の活性化に貢献する場合があります。CCDataのデータによると、Bybit取引所の取引量は6月に12月比で33％増加しました。Bybitは積極的に新しいトークンを上場させることにより、取引プラットフォーム上で取引可能な選択肢を増やし、多くのトレーダーや投資活動を引き付けました。

それに対し、世界最大の暗号資産取引所であるBinanceの取引量は、同じ期間に若干低下しました。これは、昨年11月、Binanceが米国司法省や他のいくつかの機関と和解し、43億ドルの罰金を支払ったためです。この和解後、Binanceは新しいトークンの上場要件を厳格化し、プロジェクトや流動性提供者との協力がより困難になりました。