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狭あいな橋桁下での支承交換作業を効率化

清水建設 ·  10/01 11:00

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、高速道路高架橋の支承交換工事効率化を目的に、既設支承の取り出しから新設支承の設置までワンストップで行うことができる専用装置を開発しました。この装置は、重量約1~2tの支承を把持して水平移動させることができるため、狭あいな橋桁下でも効率的かつ作業員が無理な姿勢を強いられずに作業を進めることができます。

近年、高度経済成長期に集中的に建設された高速道路が更新期を迎え、大規模更新工事のニーズが高まっています。こうした橋梁の上部構造を支持する支承部には長期使用による経年劣化が生じており、支持機能回復や耐震性向上を目的として更新工事が行われています。

支承交換工事では一般に、支承上部の橋桁をジャッキアップして橋桁の荷重を支保材に受け替えた後、狭あいな空間内で支承の除却作業、新設支承の設置作業を行います。支承の取り出し、据え付けはチェーンブロックやレバーホイストなどを用いて行われますが、狭あい空間での作業は難度が高く、挟まれ災害、接触災害のリスクとも無縁ではありません。

当社が開発した専用装置は、フレーム状の支承把持機構を搭載した移動台車、台車用の走行レール、支承を借り受けする回転台等で構成するもので、移動台車は、把持した支承の昇降機構や設置角度の微調整機構も備えています。既存支承を取り出す際は、支承を台車のフレームで挟み込んで持ち上げ、レール上を水平移動させて回転台へ仮置きした後、橋脚上から搬出。新設支承を設置する際はこの逆の手順を踏み、支承を回転台へ載せて設置位置に正対させてから、台車で移動、角度を微調整しながら所定の位置に据え付けます。装置に使用する部材はいずれも重量20kg以下で、ラチェットレンチのみで操作できるため、狭あいな橋桁下での運搬にかかる負担が抑えられ、安全性も向上します。

本装置を用いた実証施工では、新設支承の設置作業について、約45%の時間短縮効果、約60%の省人化効果を確認。従来工法では、一つの支承を設置するのに5人の作業員、4.5時間の作業時間を要していましたが、本装置を利用することで、作業員2人による約2.5時間の作業で設置を完了させることができました。今後、レール設置面の不陸や勾配に対する水平移動機能を強化し、橋梁の大規模更新工事での本装置の適用を目指します。

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。 更に詳しい情報
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