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抗がん剤「タスフィゴ錠35mg」(一般名:タスルグラチニブコハク酸塩)

エーザイ ·  11/19 10:00

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  • 2024年11月20日

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、本日、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)選択的チロシンキナーゼ阻害剤「タスフィゴ錠35mg」(一般名:タスルグラチニブコハク酸塩)について、日本において、「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」の効能・効果で、新発売したことをお知らせします。本剤は、2024年9月24日に製造販売承認を取得し、本日、薬価収載されました。

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「タスフィゴ」は、FGFR1、FGFR2、FGFR3に対して選択的阻害活性を示す経口投与可能な、当社筑波研究所創製の新規チロシンキナーゼ阻害剤です。

日本における「タスフィゴ」の承認は、当社が日本および中国で実施した多施設共同、非盲検、単群の臨床第Ⅱ相試験(201試験)などの結果に基づいています1。また、本適応に係るFGFR2融合遺伝子を検出するコンパニオン診断薬として日本ステリ株式会社(本社:東京都)の「AmoyDx FGFR2 Gene Break-apart FISHプローブキット」が2024年8月に承認されています2

日本における胆道がんの患者様数は約2.2万人と推計され3,4、5年相対生存率が約25%と膵臓がんに次いで予後の悪い難治がんであり3、他のがんと比較して薬物療法の選択肢も限られ、アンメット・メディカル・ニーズの非常に高い疾患です。FGFR2融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約5~14%に認められています5,6,7。遺伝子融合をはじめとするFGFRの遺伝子異常は、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性などに深く関与していることが知られており、胆道がんのほかにも様々ながんで認められていることから、有望な治療標的として注目されています。

「タスフィゴ」の製剤は、革新的な連続生産と製造工程内で品質を保証する先端生産技術であるリアルタイムリリース試験(Real Time Release Testing)の技術を適用し、当社川島工園(岐阜県)にて生産されます。連続生産は、原料の投入から製剤化まで連続的に行う生産方式であり、品質のリアルタイムモニタリング技術を組み込むことで複数の製造工程が統合され、自動的な生産が可能となります。これにより、自動化によるヒューマンエラーの削減に加えて、工程内のデータを活用することで、製品出荷試験に比重を置いた従来の方法よりも高い品質管理を効率的に実現することが可能となります。

当社は、日本において「タスフィゴ」をFGFR2融合遺伝子を有する胆道がん治療の新たな選択肢としてお届けすることで、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. 製品概要

製品名:タスフィゴ錠35mg

一般名:タスルグラチニブコハク酸塩

効能又は効果:がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん

用法及び用量:通常、成人には、タスルグラチニブとして1日1回140mgを空腹時に経口投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。

薬価:タスフィゴ錠35mg 1錠 15,378.70円

包装:タスフィゴ錠35mg 56錠(PTP14T×4)

2.「タスフィゴ35mg」(一般名:タスルグラチニブコハク酸塩、開発品コード:E7090)について

「タスフィゴ」は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)であるFGFR1、FGFR2、FGFR3に対して選択的阻害活性を示す経口投与可能な、当社筑波研究所創製の新規チロシンキナーゼ阻害剤です。本剤は、従来のFGFR阻害剤と異なり、ジメトキシフェニル基を持たない基本構造を有し、速度論的解析実験からFGFRに素早く、強力に結合し、かつ高い選択性を示す結合様式(タイプV)によるキナーゼ阻害作用により、抗腫瘍効果を現すことが推察されています8,9

胆道がん適応に関する非臨床研究においては、国立がん研究センター研究所提供のFGFR2融合遺伝子FGFR2-AHCYL1FGFR2-KCTD1FGFR2-BICC1またはFGFR2-TXLNAを発現させた細胞株NIH/3T3を使用しました。これらのモデルの足場非依存的増殖およびマウス皮下移植腫瘍増殖に対する「タスフィゴ」の作用を評価することで、FGFR2融合遺伝子陽性がんに対する「タスフィゴ」の抗腫瘍効果を確認しました9

日本において、エストロゲン受容体陽性HER2陰性の乳がん患者様を対象とした臨床第Ⅰ相試験が進行中です。

3. リアルタイムリリース試験(Real Time Release Testing)について

リアルタイムリリース試験とは工程内データに基づき最終製品の品質を保証するアプローチです。リアルタイムリリース試験を適用するには製造工程の先進的な開発手法であるQuality by Design(QbD)に基づいた品質設計アプローチが重要となります。QbDは、製品出荷試験に比重を置いた従来の品質保証とは異なり、製造工程の深い理解に基づく工程管理に重点をおいた開発手法です。

当社ではQbDにプロセス解析工学(Process Analytical Technology: PAT)を組み込み、医薬品の重要特性を工程中で管理することでより高いレベルの品質管理を実現しています。

  1. 1. Furuse J. et al. Pivotal single-arm, phase 2 trial of tasurgratinib for patients with fibroblast growth factor receptor (FGFR)-2 gene fusion-positive cholangiocarcinoma (CCA). 2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium; Abstract No. 471.
  2. 2. AmoyDx FGFR2 Break-apart FISH Probe Kit Approved as Companion Diagnostic for Eisai’s Tasurgratinib in Japan. Available at: Last accessed: September 2024.
  3. 3. 最新がん統計, 国立がん研究センター がん登録・統計
  4. 4. 第23回全国原発性肝癌追跡調査報告(2014~2015)2023.
  5. 5. Arai Y. et al., Fibroblast growth factor receptor 2 tyrosine kinase fusions define a unique molecular subtype of cholangiocarcinoma, Hepatology, 2014, 59, 1427-1434.
  6. 6. Maruki Y. et al., Molecular detection and clinicopathological characteristics of advanced/recurrent biliary tract carcinomas harboring the FGFR2 rearrangements: a prospective observational study (PRELUDE Study), J Gastroenterol. 2021; 56(3), 250-260.
  7. 7. Tsujie M. et al., Fibroblast growth factor receptor 2 (FGFR2) fusions in Japanese patients with intrahepatic cholangiocarcinoma, Jpn J Clin Oncol. 2021; 51(6): 911-917.
  8. 8. Miyano SW. et al., E7090, a Novel Selective Inhibitor of Fibroblast Growth Factor Receptors, Displays Potent Antitumor Activity and Prolongs Survival in Preclinical Models, Molecular Cancer Therapeutics, 2016, 15, 2630-2639.
  9. 9. Kawano S. et al., Antitumor Activity of Tasurgratinib as an Orally Available FGFR1-3 Inhibitor in Cholangiocarcinoma Models With FGFR2-fusion, Anticancer Research, 2024, 44, 2393-2406.
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