英国国家経済社会研究所（NIESR）によると、ロシア・ウクライナ紛争は別の供給チェーン危機を引き起こす可能性があり、2022年には世界経済総額が1兆ドル減少し、世界のインフレ率が3％上昇することになる。
同機関の研究員らによると、供給問題が経済成長を鈍化させ、価格を押し上げるため、2023年までに、世界のGDP水準は約1ポイント低下する見込みです。紛争の両側がヨーロッパの主要な大量商品およびエネルギー源であるため、ヨーロッパは他の地域よりも影響を受けやすいとされています。
NIESRはまた、この紛争がヨーロッパ各国政府に移民対策のための資金調達を強いることになり、軍隊を強化することを迫られると指摘しています。同機関は、主要な中央銀行に対して、「市場信頼と経済活動の影響、エネルギー価格の上昇が実収入を抑圧する際には、利率をゆっくりと引き上げることができるようになるまでに、冷静に評価すべき」と呼びかけています。
NIESRのジャグジット・チャダ責任者は、「ロシア・ウクライナ紛争は、既にCOVID-19の影響を受けている経済システムにさらなる圧力をかけました。」と述べ、「供給チェーンはさらに深刻になり、通貨と財政政策は厳しい試練に直面することになるでしょう。」と語っています。
NIESRは、ロシアへの制裁による経済的打撃は、天然ガスおよび石油の輸出価格の上昇によって部分的に相殺されると述べていますが、2023年までにロシアのGDPは以前に予想されたより2.6％低く、ルーブルが急落することでロシアのインフレ率が20％に達することになると予想されています。
NIESRによると、ロシアのGDPへの影響はユーロ圏や英国よりもわずかに悪く、2023年までに、ユーロ圏と英国のGDP水準は1.5％程度低くなると予想されています。経済成長の減速とともに、生活コストがさらに上昇するでしょう。同機関は、今年の英国の平均インフレ率は7％に達すると述べ、2023年には4％に下がる可能性があるとしています。
制裁がさらに強化され、ロシアの天然ガスおよび石油輸送が中断されると、ロシアへの打撃は「非常に深刻なものになるでしょう」。しかし、EUの天然ガスの40％がロシアからのものであるため、これらの制裁の強化は、ユーロ圏内でのインフレが大幅に上昇し、景気後退が起こる可能性があるとされています。
編集/phoebe