ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮による核武装問題、台湾有事に対する懸念といった地政学的リスクの高まりに伴い、政府は2022年から防衛力強化に向けた方針を打ち出している。また、米国のトランプ前大統領が2025年に返り咲く場合、同盟国である日本に対してさらなる軍事的な負担を求める可能性も想定されており、国内防衛産業の重要性がさらに高まる可能性もある。 2022年12月に閣議決定した防衛力整備計画では、23年度から27年度までの5年間の防衛費総額を43兆円程度としている。これに合わせて岸田文雄首相は、従来GDPの1%程度で推移してきた防衛費を、27年度に2%に引き上げる方針も示している。24年度予算では、前年度比16.5%増の7兆9496億円の防衛費を計上。「GDP2%」から算出した27年度の防衛費は、11兆円程度まで伸びるとみられている。 防衛力強化に合わせて、政府は国内での防衛装備品の調達基盤の保全・強化に向けて、納入企業の保全策も進めている。従来は営業利益率の目安として8%程度を想定して発注を行っていたが、23年度以降は品質・コスト・納期管理に関する企業努力に対する評価とコスト変動分の上乗せにより、最大15%を想定するよう変更した。また、企業の新たな販路拡大策として、23年12月に防衛装備移転三原則と同原則の運用指針を改正し、防衛装備品の輸出に関するルールを一部緩和した。 防衛省で防衛装備の調達を管理する防衛装備庁と直接取引するのは15社程度の「プライム企業」に限られており、残る企業はプライム企業の「下請け」という構造になっている。
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