日本取引所グループの公表資料によると、2023年の東証スタンダード・プライム両市場の株取引における総売買代金（売り買い合計）のうち、約6割を海外投資家が占めている。海外投資家の動向は、個別銘柄の株価のみならず、国内株式市場全体を動かす大きな要因となっている。 海外投資家を呼び込むための取り組みは、官民を挙げて進められている。金融庁は2021年、新規登録する海外の資産運用会社などをサポートする「拠点開設サポートオフィス」を設置。登録手続きを一部簡素化する時限の特例措置も導入しており、HPには英語で登録した事業者のリストやインタビューを掲載している。また、政府と金融業界は23年9月下旬から10月上旬の2週間を「ジャパンウィークス」として、海外の投資家や資産運用会社などを集中的に日本に招致し、日本の金融資本市場の魅力を発信するイベントを相次ぎ開催した。 東京証券取引は22年4月に市場を3つに再編して国内市場の魅力を高めるとともに、23年3月には上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請。さらに24年2月には、プライム市場上場企業に対し、25年4月以降の決算開示情報および適時開示情報について、日本語と同時の英文開示を義務付けることとした。