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    【記事】人気銘柄の決算書読み方

    既読 2.5万2024/11/21

    Appleの決算はこう読む!長期的に注目すべき4つのポイント

    Appleは10月31日の米国市場取引後に決算を発表します。同社の決算の重要度、注目度は米国株式のなかでも高く、決算発表の結果を受けて株価は短期的に変動する可能性があります。しかし、今のところAppleのような時価総額が大きいうえに「成熟した企業」にとっては、長期的なトレンドへの影響はそこまで大きくないと認識されています。

    したがって長期的な観点から、いくつかの重要ポイントに注意しながら決算内容を読み解いていくのが良さそうです。①売上の安定性、②競争優位性から生じる粗利率の高さ、③既存・新規の成長エンジン、④自社株買いと配当金の4つのポイントから分析していきます。

    1.売上の安定性

    長期的な企業の発展の裏付けは、売上の安定性にあります。まず、企業の売上の源は何であるかを明確にしたうえで、安定しているかどうかを注視する必要があります。売上が安定してさえいれば、全体としての業績も容易には悪くならないと考えられるため、株価の下支え要因となります。

    Appleの売上構成を見てみましょう。間違いなくiPhoneが売上の源であることが明らかです。

    アップル 株価 今後
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    • 総売上高の半分以上を占めているのはiPhone部門である

    • 総売上高の約20%を占めるサービス部門も、ユーザーやアプリストアから派生している

    • ウェアラブル部門も、スマホ利用者に浸透している

    iPhone部門の収益の安定性を評価するには、スマホ市場シェアの推移の傾向を見ます。市場シェアが拡大し続ける場合、収益は増加していることを示します。逆に市場シェアが縮小する場合、収益を揺らがせる何かが生じていることを意味します。アプリ内のビジネスデータから、スマホ市場シェアの動向を確認できます。

    各四半期での変化が大きいことが分かりますが、これはiPhoneの発売時期に関係していて、販売には季節変動があるためです。

    アップル 株価 今後
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    iPhone売上のかき入れ時である四半期を基準に比較すると、2019年Q4から2022年Q4までの間、スマホ市場シェアは19%から23%に増加し、継続的に良くなっています。

    2023年Q4のCanalys(シンガポールに拠点を置く調査会社)のデータによると、Appleの市場シェアは約24%で、比較的安定した業績を維持しています。しかし、ファーウェイのハイエンドのスマホの復活と、シャオミの最新フラッグシップモデルの大ヒットにより、Appleの市場シェアにもかなり大きな衝撃を与えました。

    IDC(インターネットデータセンター)の報告によると、2024年Q1のAppleの世界市場シェアは約17%、前年同期と比べ、約4%下落しました。このことは2024年1~3月期にかけて株価が10%以上調整した一因であるのかもしれません。

    株価調整後、Appleは値下げ戦略を採用し、さらにiPhone16にAI機能を搭載することを発表しました。この一連の施策により、iPhoneの将来の売上に対する市場からの期待が強まり、株価は再び急反発し、7月15日に236ドルを記録しました。それに伴って、2024年の第3四半期にiPhoneの市場シェアは約18%に達し、前年同期より上昇しました。今後も、iPhoneが市場シェアを維持し、かつての栄光を取り戻せるかどうかに注目が集まります。

    2.競争優位性から生じる粗利率の高さ

    企業の長期的な競争力というのは、どの程度高い優位性を持っているのかによって決まります。競争優位性が高ければ高いほど、ビジネスを永続的に維持することが容易になります。

    市場参加者の多くは、Appleは最も競争優位性が高い会社の1つであると認識しています。それは、自社開発の半導体における技術の優位性、ソフトウェアとハードウェアが一体化されたiOSエコシステム、工場を持たないファブレス経営から生じるものです。

    企業の競争優位性は、決算報告書においては粗利率で見ることができます。なぜなら、競争優位性が強いほど、顧客との交渉力も強く、粗利率も高くなるためです。

    iPhoneを代表とするハードウェア事業の粗利率は、近年においては大方35%前後で推移しており、高利益率のソフトウェアサービスを加えた粗利率は約40%です。

    アップル 株価 今後
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    機関の統計によると、2022年にはiPhoneはスマホ市場の18%を占めており、なんと業界全体の85%をの営業利益を獲得していました。平たく言うと、非常に儲かっていたのです。

    競争優位性の考察では、粗利率の水準を継続的に注視すると良いでしょう。Appleにおいては、粗利率が40%前後、もしくはそれ以上に維持されている限り、粗利益は比較的安定していると言えるのではないでしょうか。そうでない場合は、粗利益が減少していると認識でき、株価的には売り圧力となってくる可能性があります。

    Appleはこれまで6四半期の決算発表で粗利率が44%を超え、年次ベースで見てもわずかに上昇傾向を保っており、その競争優位が比較的安定していたと見てとれます。同社の最新の四半期の粗利率がこれまでのような高水準を維持できるかどうかに引き続き注目すべきです。

    3.既存・新規の成長エンジン

    Appleにとって、持続的な収益が「守り」であるとすれば、「攻め」は未来を見据えた成長です。既存のハードウェア事業において、同社の成長ポテンシャルというのは比較的限定されています。例えば、iPhone部門では過去数年にわたって売上は安定を保っています。しかし逆に言うと今後、1人で2台3台と新型スマホを持つことが主流にはなりそうもないようにiPhoneの売上がいきなり2倍になるということは考えづらいわけです。

    アップル 株価 今後
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    したがって、成長エンジンは主にサービス部門の売上によるものであると言えます。サービス部門の売上にはアプリストアからの手数料収入、Googleからの広告収入、定期購読サービス収入などが含まれます。

    長期間にわたってサービス部門の売上高成長率は10%以上を維持しており、一時期は20%を超えていました。総売上高に占める比率も10%未満から、20%にまで増加してきました。しかしながら、2023年度は急激に鈍化しました。Q1、Q2と落ち込みを続け、Q3からQ4にかけては少し反発しています。

    2024年Q3のサービス部門の売上は、約242億ドルに達し、前年比で14.1%の成長を遂げました。これで4四半期連続して2桁成長を維持したことになります。次の決算(Q4)では、サービス部門の売上高成長率が、引き続き高水準を維持できるかどうかに注目する必要があります。サービス部門はアップルの安定した収益源であり、今後の成長の鍵となります。

    アップル 株価 なぜ 安い
    アップル 株価 なぜ 安い

    既存の成長エンジンに加えて、将来の成長期待は、2024年の頭にリリースされたヘッドセット「Vision Pro」など、新しい製品ラインからもたらされるであろう成長にもよります。ただし、ヘッドセットは発売が遅れたうえに現時点では平凡な評価にとどまっており、今後のバージョンアップなどを見極め、次の目玉商品となれるのかを確認する必要があります。

    4.自社株買いと配当金

    Appleの株主還元の姿勢は投資家にとって非常に魅力的です。銘柄選定の際は、業績、企業の競争力という点だけでなく、株主に対する還元度にも注目してください。株主還元の姿勢は、自社株の買いと配当をみることで測ることができます。

    企業が自社株買いを行うことで、1株あたり利益(EPS)を増やすことができ、それはつまりROE(自己資本利益率)の向上につながります。ひいては、マーケットでの流動性をもたらすことになるのです。

    このようなメリットから、自社株買いは株価の上昇に積極的な役割を果たします。配当は、実際に稼ぎ出した利益を株主に分配することです。自社株買いと配当金の分配は、株主の投資に対するフィードバックの形態なのです。

    決算報告書で自社株買いと配当について確認するには、キャッシュ・フローを見るのが最も簡単な方法です。

    Appleのキャッシュ・フロー計算書の財務活動によるキャッシュ・フロー部分(現アプリ上では継続的投資活動によるキャッシュ・フロー)を見ると、年次での自社株買いの総額は高水準を維持しており、2023年度の自社株買いの額(買戻純額)は約775.5億ドルに達しています。過去5カ年にわたる会計年度で合計約4,000億ドルの自社株買いを行い、米国株式市場で右に出るものはいないと言えます。

    アップル 株価 今後
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    配当(給付済み現金配当)に関しては、過去5年間においての年次配当額はわずかに上昇し、累計配当額は5年間で700億ドルを超えています。

    アップル 株価 今後
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    自社株買いと配当金の分配を継続的に行っているため、Appleの純資産は比較的低水準を維持していますが、ROEは非常に高く、2023年度では171.95%に達しました。

    チャーリー・マンガー氏は、長期的に見て株式収益率は企業のROEと一致すると述べています。高いROEは、投資家の魅力を高める要因の1つです。しかしこの背後には、継続的な自社株買いと配当金の分配が大きな役割を果たしていることがお分かりになるでしょう。

    したがって、決算報告では、各四半期の自社株買いと配当の状況に注目することができるといえます。これらが安定して上昇傾向にある場合、株価にとっては好材料であり、ある程度の長期的なサポートとなり得ます

    Appleの決算書を見るポイントをまとめ

    • 収益の安定性はiPhoneの売上と市場シェアの動向から見る

    →売上と市場シェアが不安定になると、長期的な株価に悪影響を与えることになる

    • 競争優位性から生じる粗利益の高さは40%前後であるかを見る

    →粗利益率に翳りが出てくると、株価に売り圧力がかかる可能性がある

    • 既存・新規の成長エンジンの動向を見る

    サービス事業は、重要な成長ドライバーであり、今後も高い成長率を維持できるかどうかに注目する必要がある

    • 自社株買いと配当金はどうなるかを見る

    →決算発表時に自社株買いと増配があれば、株価的にはなお良しの好材料

    アップル 株価 今後
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    これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。

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