フォーム13Fの見方
ビル・アックマンとパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメント
2020年、COVID-19パンデミックが世界中に広がる中、アメリカの株式市場は、10日間で4回も市場全体のサーキットブレーカーが作動するほど暴落し、何百万人もの人々が資金を失いました。
その一方で、株式市場の暴落を予見していた投資家がいました。わずか2700万ドルの投資金額から26億ドルを手に入れ、たった1ヶ月でほぼ100倍のリターンを実現しました。
その投資家こそが、パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントというヘッジファンドの創設者兼CEO、ビル・アックマンです。
ビル・アックマンは1966年、ニューヨーク州チャッパクアで裕福なユダヤ系の家族のもとに誕生。
1988年にハーバード大学で学士号を取得した後、ハーバード・ビジネス・スクールに進学しMBAを取得しました。
彼は不動産業で父と共に働いた後、1992年にジョエル・グリーンブラットと共に自身のヘッジファンドを立ち上げました。そのファンドは良い実績を上げていましたが、2002年に閉鎖することを決定しました。
2年後、アックマンは5400万ドルを元手にパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメント L.P. を創業しました。
アックマンはメディア露出には、それほど積極的ではありませんでした。しかし、栄養補助食品メーカーであるハーバライフに対する5年にわたる売りあびせで有名になりました。このいきさつはドキュメンタリー映画「Betting on Zero」になりました。
2012年、アックマンはハーバライフの株を大量に空売りしました。彼は、ハーバーライフは、無限連鎖講のようなものだと非難し、その株価がゼロになると主張しました。
しかし、別の金融家であるカール・アイカーンは反対の立場を取り、ハーバライフの株式を大量に買い込みました。
彼らのやりとりは2013年のCNBC番組での公然の論争へとエスカレートしました。
2017年にハーバライフの株価は年間で51%急騰しました。翌年早々、アックマンは大幅な損失を被り、この争いから撤退しました。
「アクティビスト投資家」として知られるビル・アックマンは、SEC(米国証券取引委員会)の厳しい監視を受けてきました。
(注:大株主となったアクティビスト投資家は、企業戦略を変更させ、自らの株主価値を最大化しようとする傾向があります。つまり取締役会や経営陣の両方で非常に積極的な役割を果たそうとします。)
しかし、2022年3月に、彼は「アクティビスト」「売り浴びせ」からは引退する」と発表。自身の会社を次の時代に導く用意があり、長期的で「静かな」賭けに集中する準備ができていると述べました。
アックマンは集中投資を好み、ポートフォリオには10~15のポジションしか保有しません。ウォーレン・バフェットと同様に、ビル・アックマンは過度な分散投資投資が非効率になると信じています。これは「トレードに強い確信がある場合、大胆に進む必要がある」という信念に基づいています。