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【記事】人気銘柄の決算書読み方

既読 3.4万2024/08/22

エヌビディアの決算は株価に影響を与える可能性大?!短期目線での注目ポイントを解説!

過去2年間で米国株市場において最も好調なパフォーマンスを見せた企業の1つであるエヌビディア。同社の株価は2024年の年初からほぼ倍増しました。5月の決算発表では株式分割が発表されましたが、今回の決算発表にも多くの投資家が注目しています。2025年度Q1の決算は、8月28日の米国株式市場の取引終了後に発表される予定です。

エヌビディアの決算はどのように見ると良いでしょうか?短期的な株価に大きな影響を与える可能性がある要因には何があるでしょうか?4つの焦点から見てみましょう。

1. 実績とガイダンス(会社予想)・アナリスト予想の比較

半導体業界は過去約2年間の下降サイクルを経て、生成AIブームによって促されたコンピューティングパワーチップへの需要によって、低迷から脱出したという背景があります。GPU・パワー半導体のリーディングカンパニーであるエヌビディアは、ここ数四半期の成長力と変動耐性も最も大きいです。

ウォールストリートのアナリストによって行われた予測は、エヌビディアの実際の業績から大きくずれる可能性があります。当社のアプリで、アナリストによるエヌビディアの業績の事前予想内容を見ることができます。一般的に実際の業績が事前予想を大幅に上回る場合、短期的な株価に大きな追い風となります。逆に、実際の業績が期待を下回る場合、短期的に株価の下落圧力を生み出す可能性があります。

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もしエヌビディアの業績が予想以上に伸びなかった場合は?市場がエヌビディアに対してすでに高い期待を持っているため、期待感がある程度は株価に織り込まれていると考えるのが自然でしょう。株価をさらに押し上げるためには、単に期待通りというだけでは不十分かもしれず、予想を超えていく材料が求められるかもしれません。

過去の決算を少し振り返ってみましょう。2024会計年度Q3の決算では、売上が181億2000万ドルに達し、市場の予想である161億1000万ドルを上回りました。1株あたりの収益も3.71ドルで、予想を大幅に上回る結果となりました。同社はQ4の売上予想を約200億ドルとしました。しかし、この決算発表の翌日の株価は軟調でした。

2024会計年度Q4におけるエヌビディアの売上は221億ドルで、これまでのガイダンスや市場予想を大幅に上回り、2025会計年度Q1の売上予想は240億ドルと示されました。この決算発表のあと、エヌビディアの株価は大幅に上昇しました。

2025会計年度Q1の実際の売上は260億ドルで、この数字はガイダンスや市場予想を大幅に上回るものでした。Q2の売上予想も280億ドルとし、このガイダンスについても予想を大幅に上回るものでした。さらに株式分割を発表し、前回の決算発表後、株価は短期的に急上昇しました。

今回の決算発表についても、まずはエヌビディアの実際の業績とウォールストリートのアナリストの予測との比較に焦点を当てます。

2. データセンターの収益

データセンタービジネスはエヌビディアにとって主要な成長エンジンでありながらも、2021会計年度Q1にはその収益はわずか37%にすぎませんでした。しかしわずか3年で、2024会計年度Q2にはその収益は約80.1%に達しました。AI(人工知能)の需要増に伴い、GPUなどコンピューティングチップの重要な供給元だったエヌビディアは、データセンター部門のビジネスで更なる大きな成長の期待を寄せられています。

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2023会計年度Q4以降、やや鈍化していたデータセンターの収益は回復し始め、前年同期比および前月比では増加傾向に戻りました。その後、生成AIをはじめとした、大規模な言語モデル、アプリケーションの学習などの需要に後押しされて、 足元のデータセンターの収益は四半期ごとにむしろ加速し続けています。

2025会計年度Q1決算情報によると、データセンターの売上高は約225.6億米ドルで前年比427.2%増加し、前月比では22.6%増加しました。ここで、データセンターが総収入に占める割合は、過去最高の86.6%に達しています。次の決算でも、データセンター部門の成長状況に引き続き注目する必要があります。

過去数四半期にわたり同社のデータセンター収益は驚異的な成長を遂げましたが、今後の決算発表においても同様の成長加速を期待するのは難しいかもしれません。収益がすでに高い水準に達したことで、今後数四半期にわたって成長率が徐々に鈍化する可能性が高いと予想されます。

実際、データセンター収益の前四半期比成長率は過去2四半期連続で鈍化しており、次の四半期では前年同期比でも大幅な鈍化が見込まれます。今後の決算発表では、データセンターの収益成長率が徐々に鈍化しながらも、比較的高いレベルで安定するかどうかに注目する必要があります。

3. 在庫状況

「在庫状況」は半導体業界のようなサイクル的な需給変動がある産業では、サイクル的な変化と成長の期待を測定するために非常に重要な指標です。需要が後退し、供給過剰になると、企業の在庫水準は上昇し、在庫を売るための販売圧力が増加することで、株価にとっての重しとなります。逆にサイクル的なところで需要が強まると、企業の在庫水準は急速に減少し、販売見通しが改善します。これは株価にとってプラス材料です。

在庫水準の変化を測定する適切な尺度は収益在庫比率在庫/収益)であり、この比率が高いほど在庫の水準が高く、販売圧力が大きいことを示します。例えば、2022会計年度のQ4から、収益在庫比率は連続して上昇し始め、その時点から株価も大きく下落し始めていたのが分かります。

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2024年度から25年度にかけて、収益在庫比率で目立った進展がありました。収益在庫比率は、23年度末の85.3%から2025年度Q1の22.5%に低下し、歴史的に低い水準に達しました。今後も、収益在庫比率が低水準で維持できるかを引き続き注視しましょう。もし大幅な反動が見られたとしたら、慎重になるべきかもしれません。

4. 収益性

需給サイクルの継続上昇の過程で、エヌビディアの収益性の成長状況も、市場が注目している重要なポイントの1つです。

粗利益率の観点から見ると、過去数四半期にわたり、景気循環的な底から徐々に抜け出すにつれて、粗利益率の水準は上昇し、2024会計年度Q4には76%に達しました。2025会計年度Q1には、同期間中のGPUなどのコンピューティングパワーチップに対する強い需要とエヌビディアの強力な交渉力により、その粗利益率はさらに上昇し、78.4%という水準に達しています。

純利益率を見ると、過去数四半期にわたって急速な上昇傾向を見せており、2024会計年度Q4には55.6%に達しました。25年度のQ1には、純利益率はさらに急速に上昇し、過去最高水準である57.1%に達しました。今後の決算発表でも、純利益率の水準が高く維持されるかどうかに引き続き注目しましょう。

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良くも悪くも決算発表の前後は株価が大きく動きます。特にそれが米国のスター企業となるとなおさらのことです。「株価の値動き」は、投資家にとってさまざまな取引のチャンスをもたらす可能性があります。

今回のエヌビディアの決算発表が株式市場に及ぼすインパクトを見逃さないようにしましょう。

まとめ

業界の景気サイクルの継続上昇局面における、エヌビディアの変動体制・対応力は非常に高いものでした。

決算発表は短期的な株価に大きな影響を与えます。私たちは4つの重要なポイントに注目する必要があります。

  • 実際の業績と予想値と企業ガイダンスの比較

実績と予想の間のギャップは、短期的な株価に大きな影響を与えます。

  • データセンター部門の収益状況

このビジネスがエヌビディアにとってのコアであり、成長状況に注目すべきです。

  • 在庫水準

収益在庫比率の低水準を維持できるかどうかに注目しましょう。

  • 収益性

粗利益率および純利益率で高水準を維持し続けることができるかどうかに注目しましょう。

決算発表のたびに、株価が大きく変動することから取引機会が生まれる可能性があります。リスク許容度に基づいて適切な投資判断をするようにしましょう。

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これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。

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