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米国株式取引基礎編

既読 1.8万2023/08/09

チャートから見る米国株式市場の魅力

世界で類を見ない米国株式市場の長期上昇

 1972年から約10年間、1000ドルの大台を挟んで推移したNYダウ平均は1982以降、本格的な上昇サイクルに突入しました。1987年に2000ドルの大台を超えたNYダウ平均は、1991年に3000ドルの大台に乗せました。その4年後の1995年2月に4000ドルの大台に乗せたNYダウ平均は、同じ年の11月には5000ドルの大台を突破しました。その僅か1年後の1996年10月に6000ドルの大台を更新したNYダウ平均は、1997年7月には8000ドルの大台に乗せました。1999年4月、NYダウ平均は大きな節目となる10,000ドルの大台を迎えました。

 その後、約18年間を掛けて20,000ドル(2017年2月)の大台に乗せたNYダウ平均は、2020年12月に初の30,000ドルの大台を超え、2022年1月には史上最高値となる36,952ドルを付けました。NYダウ平均が10000ドル台から2倍となる20,000ドル台に乗せるまで約18年間を掛かったことを踏まえながら、その後は僅か3年半ほどでNYダウ平均が36,000ドルを超えたことは、世界中の投資家には想像を絶するものでありました。

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日米株式市場のパフォーマンスを比較

日本の株式市場は90年代始めにバブル崩壊を迎えた以降、長期的な相場低迷を余儀なくされてきました。2012年11月、衆議院解散に伴う自民党の政権復帰、デフレ脱却・異次元金融政策などの政策展開がきっかけとなり、日経平均株価が上昇に転じました。8年間に亙る日経平均株価の上昇トレンドは「アベノミクス相場」として知られ、安倍政権が打ち出した「3本の矢」が息の長い上昇相場を後押ししました。

 その一方で、NYダウ平均の長期騰勢が始まった1982年以降を日経平均株価と比較させると、 NYダウ平均の力強さは目を見張るものでありました。ブラックマンデー(1987年10月)、 LTCM破綻(1998年9月)、ドットコム・バブル崩壊(2000年なかば)、チャイナ・ショック(2015年6月)、コロナショック(2020年2月)など度重なる株式市場の急落局面を乗り越えた NYダウ平均はその都度高値を更新しました。1982年以降40年間の日米株式市場のパフォーマンスを比較してみると、日経平均株価は3.4倍の上昇に対し、同期間のNYダウ平均は32倍の上昇を見せました。

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日米の名目GDPと時価総額を比較

バフェット指標とは、株価の割高や割安を判断する指標であり、株式市場の時価総額を名目GDP(国内総生産)で割った値のことをいいます。その国の株式市場の時価総額は長期的にみるとその国の経済規模の拡大に見合った水準に近づくという考えから、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が重視している指標として知られています。

アメリカの名目GDPは、2003年の11兆1456億ドルから2021年には22兆996億ドルへ約2倍と拡大したなか、同期間も米国株式市場の時価総額も13.5兆ドルから53.8兆ドル(2022年9月)へと約3.98倍拡大しました。これに対し、日本の名目GDPは2003年の4兆5196億ドルから2021年の4兆9374億米ドルへ約1.09倍の拡大となり、日本株式市場の時価総額は3兆1582億ドルから6兆6197億ドルへと2.1倍の拡大となりました。長期に渡るアメリカ経済の規模拡大が米国株式市場の時価総額拡大を後押ししている構図が読み取られます。

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AI(人工知能)・技術革新・デジタル革命が米国株式市場最大の原動力

アメリカの経済規模がコンスタントに拡大しているほか、移民流入に伴う人口の増加、米国政府による大規模財政対策やFRBによる巧みな金融政策などが米国株式市場長期上昇の原動力として列挙されているなか、GAFAMに代表されるアメリカのITガリバーの存在も見逃せません。

GAFAMとは、 アルファベット傘下のグーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、メタ子会社のフェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)、マイクロソフト(Microsoft)の5社のイニシャルから取った造語であり、情報技術、小売り・物流、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、ハードウェア、ソフトウェアなど各業態の米国代表企業として日本人にも馴染みが深いです。

GAFAMが米国株式市場をリード

GAFAMの圧倒的な存在感を5社の株価と株式時価総額から改めて確認していきます。2012年から2021年まで、 GAFAM5社を米国株式市場のベンチマークとなるNYダウ平均のパフォーマンスを比較させると一目瞭然です。NYダウ平均の約2.8倍の上昇に対し、アマゾンが約13.3倍、アップルが約9.3倍、メタが約12.7倍、アルファベットが約8.2倍、マイクロソフトが約12.5倍と、5社はいずれもNYダウ平均を大きく上回るパフォーマンスを見せました。

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  GAFAM5社株式時価総額の躍進も目覚ましいです。GAFAMの株式時価総額は2012年の時点、約1兆3881億ドルだったが、2021年には3兆8819億ドルへ2.8倍強も拡大しました。2020年5月、 GAFAM5社の時価総額が東証1部2200社の合計時価総額を上回り、この話題が日本の経済紙を賑わしたことも記憶に新しいです。2012年から2021年にかけて、米国株式市場の時価総額が3倍拡大した背景には、 GAFAMの株式時価総額拡大が大きく寄与した格好となりました。

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ミクロが動かす米国株式市場

企業株価の形成や株式市場の成長は、その国の経済規模、物価などの景気動向、政策金利、国による財政出動などのマクロ要素による影響があるほか、技術革新に伴う企業業績の拡大と新業態企業の誕生などのミクロ要素に左右されます。日本株式市場や中国本土市場はマクロ動向による影響を受けやすいとされる一方で、米国の場合は、 GAFAMなどのリーディングカンパニーが長期で成長が続くほか、技術革新に伴う新業態企業の誕生が米国株式市場に寄与するというミクロの存在が大きいです。

株式市場でも折に触れて話題となる第4次産業革命とは、インダストリー4.0とも呼ばれ、米独を筆頭に世界各国で急速に人材育成が進む製造業に関する技術革新プロジェクトのことであり、 IoT(モノのインターネット)、ビックデータ、AI(人工知能)、ロボットなど各先端分野おいて技術革新により既存産業で抜本的な変革が生まれると見込まれています。 世界の科学技術をリードするアメリカにおいて、GAFAMを始め、まだ見ぬ新鋭企業が米国株式市場の主役を担っていくものとみられます。

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。

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