トランプが勝つとどうなる?米国株式・仮想通貨・金融政策への影響を解説
アメリカ大統領選挙が近づく中、金融市場への関心がかつてないほど高まっています。特に、ドナルド・トランプ前大統領が再選を果たした場合、その影響は多方面にわたると予測されています。本記事では、特に注目される3つの側面、すなわち米国株式市場、仮想通貨市場、そして金融政策について詳しく説明します。トランプ氏の過去の政策は、税制改革や規制緩和で株価を押し上げる一方で、貿易摩擦や政治的不安定要因を引き起こしてきました。これらの歴史的背景を踏まえ、「トランプが勝つとどうなる」のシナリオを基に、個人投資家が注目すべき具体的な投資機会についても詳述します。
もしトラとはどういう意味?
「もしトラ」という言葉は、一般的には「もしもトランプ大統領が再選(または再登場)したら」という仮定を指す略語です。この場合、「トラ」は「トランプ大統領」の略称です。
もしトランプ大統領になったら:米国株式市場への影響
大統領任期4年目の米株式市場への影響とS&P500の今後見通し
1928年までさかのぼるデータによれば、大統領任期4年目は米株式市場にとって2番目に好調な年です。現職大統領が再選を狙い、財政支出を増やして景気を刺激することがその背景にあります。BofA(バンク・オブ・アメリカ)の調査では、大統領選サイクル4年目のS&P500の月間平均リターンは次のような季節的パターンを示しています:
1月から5月:低調なパフォーマンス
6月から8月:サマー・ラリー(夏の上昇)
9月から10月:選挙前の落ち込み
11月から12月:選挙後の反発
このため、今後2ヵ月で米国株が再び最高値を更新する可能性があります。特に8月は平均3%強の上昇を記録し、S&P500の勝率は71%です。さらに、12月は大統領選の不透明感が解消されるため、勝率が83%と最も高くなっています。
どちらの政党が勝利しても、米国政府の支出が増加するため、債券市場に対してはネガティブな影響があると認識されています。特にトランプ氏が再び大統領に選ばれた場合、FRB(連邦準備制度理事会)がより緩和的な金融政策を取る可能性が高まり、株式市場にはプラスに働くと予想されています。
トランプと共和党の勝利が米国株式市場に最もポジティブな影響を与える一方、バイデンと民主党の勝利は市場にとってマイナスであるとされています。さらに、米国債の利回りは、共和党の大勝、民主党の大勝、または政権の分裂のシナリオで上昇する傾向があるため、米国債の売り圧力が続くリスクがあります。特に、どちらの政党も大勝しない膠着状態が債券市場にとって最も安定的であるとされています。
ゴールドマン・サックスとは?
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、世界を代表するアメリカの多国籍金融機関です。1869年に設立され、ニューヨーク市に本社を構えています。
もしトランプ大統領になったら:これから恩恵を受けそうな米国株銘柄一覧
過去2回の米国大統領選挙での政策が特定のセクターや企業に与えた影響を詳細に分析したものがあります。その結果、「バイデン再選に関連する株」と「トランプ勝利に関連する株」のリストを作成し、選挙結果によって恩恵を受ける可能性のある業種や銘柄を提示しています。
米大統領選の第1回討論会では、バイデンのパフォーマンスが期待を下回る結果となりました。この討論会の結果が選挙の最終結果に直接影響を与えるわけではありませんが、これによって「トランプ回帰」への期待が市場で高まっています。
さらに、アメリカのドナルド・トランプ前大統領が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」の株価が15日に急騰しました。これは13日に起こった暗殺未遂事件を受けて、11月の米大統領選で前大統領が勝利する可能性が高まったとの見方が強まったためです。
もしトランプ大統領になったら:暗号資産とトランプ・トレードのの衝撃かも
今年の米大統領選挙シーズン中に、暗号資産が主要な「トランプ・トレード」として浮上する可能性があります。共和党は暗号資産業界に対して友好的な姿勢を示すことで、有権者の支持を得るとともに、暗号資産推進派の政治家を支援するスーパーPAC(政治活動委員会)から選挙資金を確保しようとしています。
「トランプ・トレード」は、2016年の大統領選でトランプ氏が勝利した後に米国株、国債利回り、ドルが急伸した現象を指します。今回もトランプ氏が勝利すれば、機関投資家による暗号資産の採用と規制環境の改善が予測され、暗号資産の価格上昇が後押しされると考えられています。
金融市場の動向もこの見方を裏付けています。米国選挙の第1回討論会の後、トランプ氏の支持率が上昇し、ビットコインは一時63,000ドルを超える反発を見せました。
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もしトランプ大統領になったら:金融政策と株式セクターの行方
トランプ氏が再び大統領に就任した場合、医療保険会社や暗号資産関連株が上昇する可能性があるとカナダロイヤル銀行のアナリストは考えています。トランプ氏がホワイトハウスに戻れば、ヘルスケアセクターに対してより寛容な規制環境が整う見込みです。具体的には、米連邦取引委員会や米司法省による垂直統合戦略への規制が緩和される、あるいは撤廃される可能性があり、特にユナイテッドヘルスにとって有利になると見られています。
「トランプ回帰」への期待が高まる中、利下げの期待も強まっています。過去3年間、バイオテクノロジーセクターは市場をアンダーパフォームしていましたが、FRBが利下げを実施すれば、革新的な医薬品が牽引するバイオテクノロジーセクターが上昇すると見込まれています。生物医学分野の研究開発は長いサイクルを要し、高額な投資が必要であり、初期段階では外部資本に大きく依存しています。そのため、米国債利回りが高く低リスク投資のリターンが高い場合、ファンドはリスクの高い革新的医薬品やその他の株式資産への投資を控える傾向があると一部の市場関係者は考えています。