■品川リフラクトリーズ＜5351＞の事業概要
(2) 海外拠点展開
日本の国内粗鋼生産量は、2019年に10年ぶりに1億トンを割り込んだ。米中貿易戦争の長期化による世界景気の減速で輸出が減り、内需も低迷したうえ、自然災害が重なったことが背景となっている。2023年の生産量は、自動車向け鉄鋼需要は回復したが輸出が伸び悩み8,700万トンと2年続けて前年を下回った。世界粗鋼生産における2023年の日本のシェアは4.6%と2000年の半分以下の水準となった。一方、中国は53.9%と高水準を維持している。近年ではインドの成長が著しく、2018年に年間生産量で日本を抜いた。ちなみに2023年のインドの世界シェアは7.3%に高まった。インドは2023年に人口で中国を抜いて世界一となっており、持続的な成長が見込まれる。
同社の海外拠点の展開は、1997年の中国子会社の設立から本格的に始まり、2019年までにオーストラリア、米国、インドネシア、インドへ進出した。中国には耐火物等の製造・販売と連続鋳造用モールドパウダーの製造・販売を手掛ける合弁会社を設立した。オセアニアでは、オーストラリアとニュージーランドに拠点を持つ。2014年に設立したインドネシアの子会社と併せて、オセアニア・東南アジアへの販売展開を図っている。米国のオハイオ州には、モールドパウダーの製造・販売を行う子会社を設立した。現在では、米州における同社の戦略アイテムの販売拠点としても機能している。また、今後のグローバル展開において重要アイテムとなる断熱材の製造・販売拠点を、マレーシア・中国台湾・中国・ドイツに置いている。
2022年12月に、仏サンゴバン社からブラジルにおける耐火物事業及び米国における耐摩耗性セラミックス事業を譲受した。同社とサンゴバン社は、これまで30年にわたり良好な協力関係を築いてきた。1991年よりサンゴバンブラジルに鉄鋼用耐火物の製造技術ライセンス提供を行い、近年はサンゴバンブラジルが販売店として、南米で鉄鋼、セメントなどの市場向けに同社製品を販売していた。また、2019年にサンゴバン社の子会社であるGrindwell Norton Ltd.との共同出資により、SG Shinagawa Refractories India Pvt. Ltd.をインドに設立した。これらを背景として、本事業買収の合意へと至った。
今回買収した事業は、ブラジルにおける鉄鋼、鋳造、非鉄金属、石油化学、セメント等向け耐火物の製造・販売と米国の鉱業・鉱物処理、鉄鋼、アスファルト、エネルギー等向け耐摩耗性セラミックスの製造・販売になる。2021年の売上高規模は、ブラジル事業が約99億円、米国事業が約12億円であった。買収には、約120億円を要した。本事業買収により同社グループは、成長著しいブラジル耐火物市場においてリーディング・ポジションを確立できる。また、耐摩耗性セラミックスに関する米国拠点を入手したことにより、同社グループで技術的親和性が認められるファインセラミックス事業において、米国市場へのアクセスを得られた。今後、ブラジル事業・米国事業は、同社グループのさらなる成長のための強力なプラットフォームとなり、事業の成長やシナジーはもとより収益のさらなる多様性と柔軟性をもたらすものと考える。
2024年4月に、インドネシアにおいて現地PT. Refratech MandalaPerkasa（RMP）と共同出資によりPT. Shinagawa Refratech Perkasa（SRP）を設立した。2014年よりインドネシアで不定形耐火物の中～高級品を生産・販売してきた同社子会社のSRIの事業とRMPが手掛けてきた汎用品を中心とした不定形耐火物事業を統合し、製品のラインアップを充実させインドネシア市場はもとよりアセアン地域での事業拡大を目指す。2024年7月より事業を開始する予定である。
同社グループは、グループ子会社の新設やM&Aにより主要市場におけるグローバルな生産体制を確保した。海外事業の強化・拡大を成長戦略の柱としていることから、今後もM&Aを含めた投資機会を探り、条件次第では躊躇なく投資を実行する考えだ。
4. サステナビリティ経営
同社グループは、成長戦略とサステナビリティの取り組みが表裏一体となる長期ビジョンの策定を進めている。気候変動問題など世界的なメガトレンドに対応する。日本政府は、2021年4月に2030年度の温室効果ガス削減目標（2013年度比）を26%減から46%減へ改定した。部門別では、産業部門の目標が7%減から38%減へ拡大された。2020年度の産業部門のCO2排出量は、3億5,553万トンであった。業種別構成比は、鉄鋼が37%、化学が15%、機械が13%、セメント、窯業・土石が8%、その他が27%であった。窯業・土石に分類される同社の排出量は全体から見れば微々たるものだが、エネルギー多消費型の鉄鋼、化学、機械など基幹産業に世界最高水準の技術力とソリューションを提供することで、取引先の高温プロセスにおけるCO2排出量削減に貢献することは持続可能な社会の実現に大きく寄与することになる。
同社は、2022年6月に「気候変動リスク及び収益機会について」を開示した。気候変動への対応を重大な経営課題と受け止め、リスクに的確に対応するとともに、収益機会を積極的に活用していく。2050年度のカーボンニュートラル実現に挑戦し、2030年度のScope1・2を対象とするCO2排出量（連結ベース）を2022年度の年139,000トンから50%に半減することを目指す。同社グループのCO2排出量（Scope1・2）の約半分を電力消費が占めている。省電力機器への交換はもとより、グループの工場や倉庫などの施設に太陽光発電システムを設置するなど創エネも行う。グループ会社では、イソライト工業がマレーシアの耐火断熱れんが工場など3ヶ所に、また品川ゼネラルも1ヶ所に太陽光発電を設置済である。焼成炉の燃料は、重油からLNGへ切り替える。また、不定形耐火物の販売を促進する。不定形耐火物は、定形耐火物の製造工程にあるプレス・乾燥・焼成におけるエネルギー消費が不要で省エネとなるためだ。西日本地区の不定形耐火物の生産体制の最適化を進めるため、赤穂工場に44億円かけて最新鋭プラントを建設し、2024年6月から稼働する。新プラントの建屋建設、大容量設備の導入、操業の無人化や高速化により、生産性は現在の約2倍と飛躍的に向上する。拡販と競争力強化だけでなく、CO2排出量削減にも寄与する。
同社は、2022年4月にサステナビリティ経営を推進するためサステナビリティ委員会と各部門の工場、技術研究所、営業や各種委員会、プロジェクトチーム、グループ企業に働きかけ、報告を受ける事務局となるサステナビリティ推進室を設置した。国連サミットで採択された持続可能な開発目標であるSDGs（Sustainable Development Goals）の17ゴールのうち10ゴールに関与する。SDGsなどに関して、自社に関わる「重要課題」として11のマテリアリティを掲げている。それらを、ESG（環境：Environment、社会：Social、ガバナンス：Governance）で分類すると、環境が3、社会が6、ガバナンスが2に分けられる。
（執筆：フィスコ客員アナリスト 松本章弘）
■品川耐火材料 ＜5351 ＞ 业务概要
(2) 扩大海外基地
日本的国内粗钢产量在2019年十年来首次降至1亿吨以下。背景是，由于长期的中美贸易战导致全球经济放缓，出口下降，国内需求也疲软，自然灾害重叠。尽管汽车用钢需求有所恢复，但由于出口增长缓慢，2023年的产量连续2年降至8700万吨。2023年，日本在全球粗钢产量中所占份额为4.6％，不到2000年的一半。同时，中国保持了53.9％的高水平。近年来，印度的增长非常显著，2018年的年产量超过了日本。顺便说一句，印度的全球市场份额在2023年上升至7.3％。2023年，印度的人口超过中国，成为世界第一，预计将实现可持续增长。
公司海外基地的发展始于1997年中国子公司的设立，并于2019年扩展到澳大利亚、美国、印度尼西亚和印度。在中国成立了一家合资企业，生产和销售耐火材料产品等，生产和销售用于连铸的模具粉。在大洋洲，他们在澳大利亚和新西兰设有基地。与2014年成立的印度尼西亚子公司一起，我们计划将销售扩大到大洋洲和东南亚。在美国俄亥俄州成立了生产和销售模制粉末的子公司。目前，它还充当公司在美洲的战略项目的销售基地。此外，绝缘材料的制造和销售基地位于马来西亚、台湾、中国和德国，这将是未来全球扩张的重要项目。
2022年12月，巴西的耐火材料业务和美国的耐磨陶瓷业务从法国圣戈班转移过来。该公司与圣戈班建立了30年的良好合作关系。自1991年以来，圣戈班向巴西圣戈班提供了钢铁耐火材料的制造技术许可证，近年来，圣戈班巴西公司一直作为经销商向南美的钢铁和水泥等市场销售该公司的产品。此外，在2019年，通过与圣戈班子公司格林德韦尔·诺顿有限公司的联合投资，SG品川耐火材料印度私人有限公司在印度成立。在此背景下，达成了收购该业务的协议。
收购的业务是在巴西制造和销售用于钢铁、铸造、有色金属、石化产品、水泥等的耐火产品，在美国制造和销售用于采矿和矿物加工的耐磨陶瓷、钢铁、沥青、能源等。2021年，巴西业务的销售规模约为99亿日元，美国业务的销售规模约为12亿日元。此次收购耗资约120亿日元。通过收购该业务，集团可以在快速增长的巴西耐火材料市场中确立领先地位。此外，通过收购美国耐磨陶瓷基地，有可能进入美国的精细陶瓷业务市场，该公司的技术兼容性得到了公司集团的认可。展望未来，巴西业务和美国业务将成为集团进一步增长的强大平台，我相信这将为收益带来进一步的多元化和灵活性以及业务增长和协同效应。
2024/4 年印度尼西亚的本地 PT。通过与Refratech MandalaPerkasa（RMP）的联合投资进行投资。品川Refratech Perkasa（SRP）成立。我们的目标是通过整合公司的子公司SRI业务（自2014年以来一直在印度尼西亚生产和销售中高档产品）和以RMP经营的通用产品为中心的非晶耐火材料业务，扩大我们在印度尼西亚市场的业务，还要扩大在东盟地区的业务，从而增强产品阵容。该业务计划于2024/7年开始。
集团通过设立新的集团子公司和并购确保了主要市场的全球生产体系。由于加强和扩大海外业务是增长战略的支柱，因此其想法是继续探索包括并购在内的投资机会，并视情况毫不犹豫地进行投资。
4. 可持续发展管理
集团正在着手制定长期愿景，其中增长战略和可持续发展努力是同一枚硬币的两面。应对气候变化问题等全球大趋势。日本政府将2030年的温室气体减排目标（与2013财年相比）从26％的减排修订为2021/4年的46％。按行业划分，工业部门的目标从下降7％扩大到下降38％。2020财年，工业部门的二氧化碳排放量为3.5553亿吨。按行业划分，钢铁的组成比例为37％，化学为15％，机械为13％，水泥，陶瓷和土壤为8％，其他为27％。该公司的排放被归类为陶瓷和碎片，从整体角度来看微不足道，但是通过为能源密集型钢铁、化工和机械等关键行业提供世界上最高水平的技术和解决方案，为减少业务合作伙伴高温过程中的二氧化碳排放做出贡献，将极大地促进可持续社会的实现。
该公司在2022/6年披露了 “气候变化风险和盈利机会”。我们将把应对气候变化视为严重的管理问题，准确应对风险，积极利用盈利机会。我们将迎接在2050财年实现碳中和的挑战，目标是将目标范围1和范围2的二氧化碳排放量（合并基础）从2022财年的每年13.9万吨减半至50％。电力消耗约占集团二氧化碳排放量的一半（范围1和2）。除了更换节能设备外，它们还能产生能源，例如在集团工厂和仓库等设施中安装太阳能发电系统。作为集团公司，Isolite Industries已在3个地点安装了太阳能发电，例如马来西亚的一家防火隔热砖厂，品川通用也在1个地点安装了太阳能发电。烧结炉的燃料从重油转化为液化天然气。它还将促进非晶耐火材料的销售。这是因为非晶耐火材料在标准尺寸耐火材料的制造过程中，压制/干燥/烧制不需要能耗，并且可以节省能源。为了继续优化日本西部地区的非晶耐火材料生产系统，赤穗工厂将花费44亿日元建造一座最先进的工厂，该工厂将从2024/6月开始投产。由于建造新的厂房、引入大容量设备以及无人驾驶和加快运营，生产率将显著提高到当前水平的2倍左右。它不仅扩大了销售额和增强了竞争力，而且还有助于减少二氧化碳排放。
为了促进2022/4年的可持续发展管理，公司成立了可持续发展促进办公室，与可持续发展委员会以及每个部门的工厂、技术机构、销售和各种委员会、项目团队和集团公司合作并接收报告。它参与了可持续发展目标（SDG）的17个目标中的10个目标，这些目标是联合国峰会通过的可持续发展目标。关于可持续发展目标等，已将11个实质性问题定为涉及公司的 “重要问题”。当按 ESG（环境：环境、社会：社会、治理：治理）对它们进行分类时，它们可以分为 3 个环境、6 个社会和 2 个治理。
（由FISCO客座分析师松本明弘撰写）
