■決算概要
1. 2024年10月期上期決算の概要
CAICA DIGITAL<2315>の2024年10月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比5.2%増の2,866百万円、営業損失が196百万円(前年同期は1,397百万円の損失)、経常損失が320百万円(同1,534百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が425百万円(同1,350百万円の損失)と増収増益により損失幅が大きく改善した。保有する暗号資産の評価切り下げなどにより上期での黒字転換には至らなかったものの、営業キャッシュ・フローはプラスに転じている。
売上高は、好調な受注環境を背景として「ITサービス事業」が好調に推移した。一方、「金融サービス事業」については再編により前年同期を下回ったものの、想定内である。自社発行カイカコインの一部販売や自社オリジナルNFTの販売などを進捗させている。
利益面でも、「ITサービス事業」の伸びや利益率の高い案件の獲得により大幅な増益を実現した。ただ、黒字転換できなかったのは、「金融サービス事業」への先行投資は期初計画内であったものの、保有する暗号資産の評価額を切り下げたことが主因である※。
※カイカコインなど活発な市場が存在しない暗号資産について、一部を除いて評価額を備忘価格とし、評価損273百万円を売上原価に計上した。
財政状態については、投資有価証券が増加※した一方、現金及び預金の減少や保有する暗号資産の評価引き下げなどにより総資産は前期末比8.7%減の2,714百万円に縮小した。一方、自己資本についても利益剰余金の減少により同18.8%減の1,767百万円に減少したことから、自己資本比率は65.1%(前期末は73.2%)に低下した。
※フィスコ<3807>の株式取得によるもの(詳細は後述)。
各事業別の業績及び活動実績は以下のとおりである。
(1) ITサービス事業
売上高(内部取引を含む)は前年同期比6.4%増の2,845百万円、セグメント利益は同130.1%増の334百万円と増収増益となった。金融機関向けのシステム開発分野が、銀行、保険向けに堅調に推移した。とりわけ保険会社向けの一次請け案件や一次ベンダーからのメガバンク案件などが伸びた。非金融向けシステム開発分野についても、顧客のIT投資意欲は依然継続しており、大手Slerなどからの受注は好調に推移している。一方、Web3ビジネスなどに関連する自社ブランド製品※については、本格的な業績貢献には至っていない。利益面でも、顧客への価格交渉や利益率の高い案件の獲得により大幅な損益改善を実現し、セグメント利益率は11.7%(前年同期は5.4%)と高水準を確保した。活動面では、AIを活用したDXソリューションを保有するHCL Software(印)にパートナー認定されたほか、独自の開発プラットフォームを提供するPegasystems(米)とのパートナーシップを締結し、コンサルティングからソリューション導入、運用保守までをワンストップで提供する体制を構築した。さらには収益性の高い上流工程の獲得に向けて、アジャイル型のスクラム体制を構築し、顧客ニーズにマッチした品質の高いシステム開発を短期間で提供できる体制づくりに取り組んだ。その結果、幅広い業種からDXコンサルティングによるSIサービス及びシステム開発への引き合いが増加しているようだ。
※自社ブランド製品については、エンドユーザーのセキュリティリテラシーを向上させるサービス(CAICA Security Training/標的型メール訓練サービス)や、Web3事業に参入する企業を支援するサービス(セミオーダー型NFTマーケットプレイス開発サービス及びWeb3型のデータ保管サービス)などを展開している。
(2) 金融サービス事業
売上高(内部取引を含む)は24百万円(前年同期は48百万円)、セグメント損失は359百万円(同1,363百万円の損失)と損失幅が大きく改善した。抜本的な再編に取り組むなかで、暗号資産の販売のほか、NFTマーケットプレイス「Zaif INO」の運営などを通じて自社オリジナルのNFT販売及びゲーム領域以外のイラストレーターによるNFTの販売などで実績をあげたが、本格的な業績貢献の段階にはない(ただし、想定内の進捗)。一方、利益面では、前期まで重荷となっていた暗号資産交換所「Zaif」の運営コストなどがなくなったことで大幅な損益改善を実現した。ただ、将来に向けた「Zaif INO」運営事業及びカスタマーディベロップメント事業への先行投資は期初計画内であったものの、保有する暗号資産の評価切り下げ(273百万円の評価損)が想定外の利益圧迫要因となった。もっとも、あくまでも評価上のものであり、キャッシュ・フローに対する影響はないこと、本件後の暗号資産残高は66百万円に圧縮され、これ以上の評価切り下げは限定的であるところはポジティブに捉えることができる。活動面では、NFTのユーティリティ向上に向けて、カードをかざすだけで購入したNFTの確認ができるNFTカード形式での販売(詳細は後述)を開始したほか、韓国のWeb3企業であるSevenlineLabsとの事業提携(詳細は後述)により韓国ゲーム市場の開拓にも踏み切った。
2. 2024年10月期上期の総括
2024年10月期上期を総括すると、暗号資産の評価切り下げによる影響は想定外であったものの、大幅な損益改善を実現し、通期での黒字転換が見えてきたところや営業キャッシュ・フローがプラスに転じたところは評価すべきポイントと言える。また、暗号資産の評価切り下げについても、カイカコインの現在の市場流動性を勘案した結果であり、今後のWeb3ビジネスにおけるポテンシャル自体を否定するものでなく、あくまでも財務的な安全性を担保するための処理という見方が妥当である。前期末に実施した「Zaif」の譲渡を含めて、「金融サービス事業」の再編がどのように財務や損益に影響するかに注目していたが、ほぼ想定どおりに財務のスリム化や損益の改善を確認することができた。また、今後の取り組みについても、DXコンサルティングによる高単価案件の獲得やWeb3ビジネスの拡大に向けて注目すべき進展があったと評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
■财报摘要
1. 2024年10月期决算摘要
CAICA DIGITAL <2315> 2024年10月期上半年的联合业绩:营业收入达2,866百万元,同比增长5.2%; 经营亏损为196百万元(去年同期为1,397百万元亏损); 息税前亏损为320百万元(去年同期为1,534百万元亏损); 四半期净亏损归属于母公司股东为425百万元(去年同期为1,350百万元亏损),由于增收增盈,亏损幅度大幅改善。虚拟货币贬值等减持数字货币等因素导致收益无法转为盈利,但经营现金流已转为盈收。
营业收入背景下需求热络的IT服务业务推移良好。另一方面,由于再编号金融服务业务,去年同期被下调。公司正在推进自主发行的Kaika Coin部分销售以及公司原创NFT的销售等。
收益方面:通过扩展IT服务业务和高利润率项目的获得实现了显著的增收和增益。然而,不能实现盈利转换是因为先期投入金融服务业务按计划进行,虚拟货币资产评估降低是主要原因*。
*鉴于一些活跃市场不存在的加密资产,除了一部分被定为备忘价格之外,评估亏损273百万元被计入销售成本。
财务状况方面,投资有价证券增加,但现金和存款减少,加上虚拟货币资产评估下调的影响,总资产减少8.7%至2,714百万元。与此同时,公司股东权益也因利润储备金减少而减少18.8%至1,767百万元,因此自有资本比率从73.2%下降到65.1%(前期末为自己资本比率)。
*由于收购FISCO <3807>的股票所致(详见后文)。
各业务的业绩和活动记录如下。
(1) IT服务业务
营业收入(包括内部交易)为去年同期的6.4%,达2,845百万元,业务利润为同期的130.1%,达334百万元,实现增收增盈。面向金融机构的系统开发领域在银行和保险等方面呈现出强劲的增长趋势。特别是保险公司首批发案和来自一级供应商的大型银行案件等取得了增长。非金融类型系统开发领域,客户的IT投资意愿仍在持续,从大型Sler等的订单中增长强劲。另一方面,自有品牌产品相关的Web3业务等,尚未真正贡献到业绩。毛利方面,通过与客户的价格谈判和获取高利润率的项目,实现了大幅的盈利改善,业务利润率达到11.7%(去年同期为5.4%),保持了高水平。在实施面上,通过获得HCL Software(印度)的认证作为DX解决方案、与提供独特开发平台的Pegasystems(美国)的合作伙伴,建立了从咨询到解决方案实施、运营保护的一站式方案。此外,公司还不断努力争取获得高收益的上游工程,并着手构建敏捷的Scrum系统,以提供与客户需求相匹配的高质量系统开发,并在短时间内提供保证体制。结果,看来越来越多的企业和工业正在寻求公司的DX咨询服务以及SI服务和系统开发。
*自主品牌产品涉及公司正在开发的服务(CAICA Security Training/针对有目标的电子邮件培训服务)以及支持进入Web3业务的企业的服务(半定制型NFT市场开发服务和Web3型数据存储服务)等。
(2) 金融服务业务
营业收入(包括内部交易)为24百万日元(去年同期为48百万日元),营业亏损为359百万日元(去年同期为1363百万日元的亏损),亏损幅度大幅改善。在进行彻底重组的同时,通过数字货币的销售以及自营原创NFT的销售、除游戏领域以外的插画家销售NFT等,通过NFT交易市场“Zaif INO”的经营等取得了业绩,但还没有进入完全的业绩贡献阶段(不过,这是预计内的进展)。另一方面,在利润方面,由于之前造成的数字货币交易所“Zaif”的经营成本等的负担已经消失,因此实现了巨大的损益改善。但是,在对未来的“Zaif INO”经营业务和客户开发业务进行先期投资的同时,数字货币持有评估下调(2.73亿日元的评估损失)成为预料之外的利润压力因素。然而,这只是为了评估而已,不会影响现金流,数字货币账面余额在本件事后缩减至6600万日元,此后的评估下调将受到限制,这是一个积极的方面。在活动方面,为了提高NFT的实用性,开始以NFT卡片形式销售,只需将卡片拿过来即可确认所购买的NFT(详见下文)。此外,通过与韩国的Web3企业SevenlineLabs的业务合作(详见下文),也进行了开拓韩国游戏市场。
2. 2024年10月期上期的总括
总体而言,在总结2024年10月期上期时,数字货币的评估下调的影响超出预期,但已经实现了巨大的损益改善,并且已经能够看到整个会计年度的盈利。此外,经营性现金流也变得正数,这些都是值得评价的观点。此外,关于数字货币的评估下调,考虑到KaiKacoin的当前市场流动性,这是一个结果,而不否定Web3业务的潜力,认为这是为了确保财务安全性的处理方式。在包括转让“Zaif”在内的再次整编“金融服务业务”时,关注它将如何影响财务和损益。然而,我们已经确认了几乎符合预期的财务简化和损益改善。此外,关于今后的努力,我们认为在通过DX咨询获取高单价业务和扩大Web3业务方面,已经出现了值得关注的进展。
(撰写:FiSCO客座分析师柴田郁夫)