■中長期の成長戦略
3. 事業戦略
(1) 不動産賃貸管理事業
不動産賃貸管理事業の事業戦略では、業務改革と組織改革を最重要課題としている。そして、人間性とテクノロジーの融合、環境配慮型学生マンションの展開、リノベーション事業の確立、海外市場調査、CVC（コーポレート・ベンチャー・キャピタル）の組成を推進する。学生マンション事業におけるジェイ・エス・ビー＜3480＞の強みである「企画・開発・提案力」「募集力」「サービス・管理力」の「三位一体」による一気通貫サポート体制を生かし、企画開発・賃貸・メンテナンス及び食事をはじめとする入居中サービスのそれぞれにおいて顧客基盤の拡大やサービス拡充を図る。そして入居者やオーナーをはじめとした社外各方面との関係性強化を通じ、持続的成長の実現を目指す。
事業戦略目標の実現に向けて、企画・賃貸・メンテナンス/ファシリティの一連の業務において、次のような施策を推進している。
まず、企画部門では、大学寮（大学敷地内）への積極投資を行っている。直近の事例では、長崎大学の文教キャンパス構内において、3月より運営を開始した長崎大学文教キャンパス国際学生宿舎が、全305室に対し、500件程の予約申込が入る人気のマンションとなった。長崎大学の協力のもと、長崎大学生協と共同募集・共同管理を行っている。また、山口大学の吉田キャンパス内でも、4月より学生マンションの運営を開始した。山口大学の協力のもと、山口大学生協と共同企画・共同募集・共同管理を行った1号館が人気であったことから、別館を建設したものである。両大学とも借地上に建物を建てて貸しており、同社への利益寄与が大きい。
また、環境配慮型マンションの標準化を進めている。新築物件の省エネ設計、既存物件の改修により、建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度「BELS」評価の取得を推進している。最近では、福井県で初の自社開発物件が、「BELS」認定の最高ランクの5つ星を取得している。さらに、食事付き学生マンションの積極展開も推進しており、宮崎県に初進出している。
賃貸部門では、情報収集から契約までの手続きにオンラインサービスや書類電子化を取り入れ、これらの流れを一元化するとともに、顧客の満足度だけでなく業務効率の向上、コスト削減を目指す。電子契約システムの導入により、IT重要事項説明を「お客様サポートセンター」で集中的に対応している。「お客様サポートセンター」での対応件数は2023年10月～2024年3月には10,964件に達し、成約数に対する実施率も39.6%にまで上昇している。同センターは賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期（2～4月）を中心に、各店舗の負担軽減に大きく寄与していることから、対応件数をさらに増やす考えだ。
メンテナンス部門とファシリティ部門では、物件管理戸数の増加に伴いマンションメンテナンスの業務量も増えてくる。そのため2024年4月より入居者向けに利便性の高い「住まいサポートアプリtotono」の導入や、軽作業を近隣住民にスポットで依頼できる外部サービスを導入している。また、環境に配慮した設備も積極的に提案する考えで、太陽光発電設備や断熱性の高いガラスなどをマンションオーナーに提案する。さらに、食事付き学生マンションでは、食事の廃棄を抑えるために喫食需要予測や生ごみをバイオ処理できる設備を導入することにより、フードロスを減らすともにスタッフの業務負担軽減にも役立っている。同じく食事付き学生マンションでは、廃食油のリサイクル活用も始めている。
(2) 新規事業
新規事業の戦略目標としては、若者成長支援サービス事業モデルの確立、全国へのHR（人材）サービスの提供開始、新ブランド創出によるビジネスサイクルの補完（現在の幼児教室だけでなく、対象を小・中学生から大学卒業後まで拡大する）などを掲げる。
具体的には、日本社会の重要インフラとしての「新価値創造 学生マンション」を目指して、UniLifeのブランド認知度拡大及びブランドイメージ向上を目指す。幼少期から大学生まで、本人や親に向けた事業展開によって、基幹ブランドのUniLifeをより早く、より近くに感じられる施策を展開する。また、UniLifeでしか提供できない顧客体験価値（CX）の提供を図る。多くの体験や学びの場など、他とは一線を画す独自ソフトの提供を目指す。このほかにも社会的価値が高い人材の育成を図る。社会を一変させるような出来事に相対しても、新しい社会において活躍できる本質的人間力を持った人材、高度IT社会においても第一線で活躍できる人材の育成を目指す。こうした新規事業分野における各取り組みと、主力の学生マンションや入居者とのつながりによって、同社グループ全体としてのシナジーを追求する計画だ。
直近の事例では、福岡大学では経済学部専門科目「ベンチャー起業論」へ参画している。学生が企業と共同で、企業の課題解決に取り組む科目だ。また、武蔵野大学ではアントレプレナーシップ学部の教育寮を開設した。これは、大学側からの学生マンションを教育寮として使いたいとの申し入れを受けたものである。
以上のように、同社グループは中期経営計画「GT02」に意欲的に取り組んでいる。同社グループの経営環境は、長期的には今後も成長機会に恵まれ、成長戦略に対する少子高齢化進展の影響も限定的であると考えられる。学生マンション市場については、4年制大学のうち特に女子学生の増加が顕著であること、国の政策サポートにより留学生も増加を続ける見通しであることなどから学生マンションの供給は不足しており、一般マンションでは提供できない「安心感」「サービス」という強みが世の中に浸透するに伴って、同市場は今後も拡大傾向を続けると予想される。
また同社グループは、学生マンション業界のパイオニアとして高い知名度や信頼を築いている。今後も学生マンション供給不足が続くと予想されることから、成長余地は大きいと言えるだろう。弊社では、今後の事業環境変化を見据えた中期経営計画の推進により、同社グループのさらなる成長が可能であると考える。引き続き、中期経営計画の進捗状況に注目したい。
4. ESGへの取り組み
同社では、「豊かな生活空間の創造」を経営理念として掲げており、ESGにも積極的に取り組んでいる。社会（Social）では、学生支援への取り組みとして、「学生下宿年鑑2024 表紙デザインコンペ」を実施したほか、“学びのマンション”プロジェクトとして、学生マンションの入居者を対象とした野菜収穫イベントを開催し、いずれも学生が成長し知見を広げるための一助となっている。また、令和6年能登半島地震の被災者への支援として、実家が被災した入居者に対して、最大6ヶ月間、家賃2万円減額などを実施している。環境（Environment）では、低炭素型社会実現へ向けて、京都市を中心に取り組む「Release⇔Catchプロジェクト」に参画し、古着の回収などを行っている。ガバナンス（Governance）では、企業価値最大化に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応をしている。このように、同社グループは業績拡大を目指すだけでなく、ESGにも積極的に取り組んでいる。欧州投資家を中心に世界的に企業のESGへの取り組みを考慮した投資が拡大しており、我が国でも近年はESG投資が急拡大していることから、同社の取り組みが注目される。
（執筆：フィスコ客員アナリスト 国重 希）
中长期的增长战略
3.业务战略
（1）房地产租赁管理业务
在房地产租赁管理业务的业务战略中，业务改革和组织改革是最重要的任务。并且推进人性与科技的融合、环境考虑型学生公寓的展开、确立整修业务、境外市场调研、CVC（企业风险投资）的构成。利用学生公寓业务的优势，如“企划·开发·提案力”、“招募力”、“服务·管理力”等完整的支撑位，以此来实现拓展客户基础、扩充服务等目标，包括规划开发、租赁、维护以及入住当中的各项服务，不止顾及入住者和房产业主，还通过加强与各类社外方面的关系来实现持续性成长。
为了实现业务战略目标，推进策略性部署在规划、租赁、维护及设备等的一系列工作中。
首先，对于规划部门而言，积极投资于大学宿舍（大学敷地内）。最近的例子是，在长崎大学的文教校园内，于3月份起运营了长崎大学文教校园国际学生宿舍，对于全305间客房，超过500个预约申请，成为了一处备受关注的学生公寓。在长崎大学的合作下，长崎大学学生协会和该公司共同招募和共同管理。另外，山口大学吉田校园内于4月开始运营学生公寓。在山口大学的合作下，山口大学学生协会和该公司共同规划、共同招募和共同管理，1号楼询问量很高，因此该公司建造了新楼。这两个大学都是在借地上建造房屋并出租的，对于同一家公司的利润贡献巨大。
此外，该公司积极推进环境考虑型公寓的标准化。通过新建物件的节能设计、对既有物件的修建，推进第三方认证体系“BELS”的获得，以显示建筑物的节能性能。最近，该公司在福井县开发的首个自主开发物件取得了“BELS”认证标准的最高等级——5星。此外，该公司还积极推进食事付学生公寓。首次进入了宫崎县。
对于租赁部门而言，其引入在线服务和文件电子化来使资料的收集及从称呼一体化流程的一元化。不仅仅注重顾客满意度的提高，还推进业务效率的提升、成本的削减。通过引入电子契约系统，实现“客户支持中心”对IT重要事项的集中支持。在2023年10月至2024年3月间，该中心支持了10,964份要求，在订约方面已到达了成果数的39.6%。该中心对压缩人工繁忙期需求的第2四分之一（2～4月份）的依附很大，考虑到该中心进一步增加支持数。
在维护部门和设施部门方面，随着物件管理商品数的增加，公寓维护业务量也将不断提高。因此，自2024年4月起，在入住者的指南下，推进了高效便捷的“住宅支持APPtotono”引入及对轻量工作的委托由周围居民来操作的外部服务的引入。此外，该公司也积极提议与环境考虑相关的设施，如太阳能光电设备、高保温玻璃等等。此外，在食事付学生公寓中，消减食物浪费并通过生物处理设备处理厨余垃圾，旨在减少食品浪费的同时，也有利于减轻员工的业务负担。同样，在食事付学生公寓中，开始了废弃食用油的再循环利用。
（2）新事业
作为新业务的策略目标，制定了支持青年成长服务业模式、向全国提供人力资源服务、通过新品牌的投入实现业务周期的补完（从目前一直经营的幼儿教育班不仅仅针对小学生，而且扩展到了初中、高中和大学毕业生）等目标。
具体而言，以新创造价值的学生公寓作为日本社会重要基础设施为目标，旨在推进UniLife品牌知名度扩大以及品牌形象提升。通过面向自身及父母等的业务拓展，展开措施让核心品牌UniLife在早期更快地、更近地感受到并宣传。另外，着眼于提供仅在UniLife提供的客户体验价值（CX），致力于提供诸如在其他地方无法提供的众多体验和学习场所等独特软件。此外，还将注重开展培养具有高社会价值人才的工作，旨在培养具有本质人力素养并能在新社会中活跃，以及在高度IT社会中能够在第一线活跃的人才。追求同集团整体的协同效应，并在新业务领域和主力学生公寓及入住者间的联系上展开努力。
近期的例子是，在福冈大学专攻经济学科目中参与了“创业论”课程。该课程为与企业共同应对企业问题的科目。此外，在武藏野大学开设了创业学部的教育宿舍。该举措是基于大学方面的请求，希望使用学生公寓作为教育宿舍而引起的。
如上所述，同集团在中期经营计划GT02方面有积极的发展态度。同集团的经营环境，在长期的前提下，还会有成长机会，也考虑到人口出生率下降和人口老龄化对成长战略的影响是有限的。在学生公寓市场中，由于女性学生的增加，尤其是在4年制大学中，以及随着国家政策支持留学生增加等原因，学生公寓供应不足，且随着无法提供于一般公寓的“安心感”、“服务”的强项逐渐扩大，该市场预计将继续扩大。
此外，同集团作为学生公寓业的先驱，已经建立了高知名度和信誉。由于未来预计学生公寓供应不足而增加，因此可以说有很大的成长空间。我们认为，在考虑未来的经营环境变化方面，通过推进中期经营计划，可以实现同集团的更大发展。我们将继续关注中期经营计划的进展情况。
4. 对ESG的应对
同集团将“创造丰富生活空间”作为经营理念，并积极参与ESG。社会方面，在学生支援方面，开展了“2024年学生下宿年刊封面设计竞赛”，并作为“学习的公寓”项目，开展了面向学生公寓入住者的蔬菜采摘活动，这些活动都是为了让学生成长以及拓宽知识领域。此外，作为对令和6年能登半岛地震的受灾者的援助，对受影响的入住者实行了长达6个月的每月20000日元的减免等措施。在环境方面，为实现低碳型社会，参与以京都市为中心的“Release⇔Catch项目”，并开展着旧衣回收等活动。在治理方面，为实现最大化的企业价值，对资本成本和股价做出反应，进行了管理对策。如此，同集团不仅针对业绩的扩大，而且还积极应对ESG。欧洲投资者等国际上都在考虑考虑企业的ESG如何应对，并且最近在我国ESG投资也急剧扩大，因此同集团的应对备受关注。
公司将“创造丰富生活空间”视为经营理念，积极参与ESG。在社会（Social）方面，作为对学生的支援，在学生公寓市场中，举办了“2024年学生下宿年鉴封面设计竞赛”，并作为“学习公寓”项目，开展了面向学生公寓入住者的蔬菜采摘活动。在环境（Environment）方面，为实现低碳型社会，参与以京都市为中心的项目”Release⇔Catch“。在治理（Governance）方面，进行了对价值最大化的考量，并对应资本成本和股价的管理措施。总之，本公司不仅追求业绩扩大，而且还积极应对ESG。在欧洲等投资人中，全球企业积极应对ESG等的投资不断扩大，我国最近也扩大了ESG投资，因此引起了大家的关注。
（作者：富士客座分析师国重希）
