■アンジェス<4563>のEmendoBioの開発状況
1. ゲノム編集技術とOMNIプラットフォームの特徴
ゲノム編集とは、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、ねらった遺伝子を改変する技術を指す。2012年に従来より短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)と呼ばれる革新的な技術が登場したことで、製薬業界においてもゲノム編集技術を用いて新薬の開発を行う動きが活発化した。米Vertex Pharmaceuticals<VRTX>とスイスのCRISPR Therapeutics<CRSP>が同技術を用いて共同開発した遺伝性血液疾患「鎌状赤血球貧血症※」を適応症とした治療法が、2023年11月に英国、同年12月に米国で初めて承認された。患者から採取した造血幹細胞をゲノム編集技術で遺伝子改変し、それを注射投与で体内に戻すことで治療効果を得る治療法となる。
※鎌状赤血球貧血症とは、赤血球に含まれるヘモグロビン(酸素の運搬に使われるタンパク質)が遺伝子異常によって変形することで赤血球が鎌状となって壊れやすくなり貧血の症状を起こす疾患。症状が悪化すると壊れた鎌状赤血球によって毛細血管が遮断され激痛が生じるほか、長期にわたる場合、酸素供給量が低下することで臓器にも悪影響を及ぼし、腎不全や心不全を惹き起こすケースもある。米国内の患者数は約10万人で黒人に多いと言われている。従来は、白血球の型である「HLA型」が一致するドナーから造血幹細胞の提供を受ける以外に治療の選択肢がなかった。今回承認されたのは、血管閉塞性危機が定期的に起きる12歳以上の患者を対象としている。
CRISPR/Cas9技術はねらった遺伝子とは異なる箇所(標的DNA配列と似た配列)を切断してしまう「オフターゲット効果」があり安全性が課題とされてきたが、今回初承認となったことでハードルを1つクリアした格好だ。これに対してEmendoが独自開発したOMNIプラットフォーム技術は、標的のDNA配列を高精度に切り取る独自のヌクレアーゼ(OMNIヌクレアーゼ)を効率的に探索し最適化することで「オフターゲット効果」を回避する安全性の高い技術であることが特徴となっている。自社開発したヌクレアーゼのうち250超については特許も申請している。ゲノム編集技術による医薬品の開発を進める場合には、効率性だけでなく安全性も強く求められるため、OMNIプラットフォーム技術の特徴は強みになると弊社では評価している。
また、もう1つの特徴としてアレル特異的遺伝子編集が可能な点が挙げられる。アレル特異的遺伝子編集とは、対をなすアレル(対立遺伝子)の一方を傷つけることなく、異常のある遺伝子のみをターゲットにして編集することを言う。ヒトは父型と母型の2つのアレル(対立遺伝子)を一対として持っており、片方のアレルが異常配列となることで発症する遺伝病を優性遺伝(機能獲得型変異/ハプロ不全)、両方のアレルに必要な遺伝子が欠損することで発症する遺伝病を劣性遺伝(複合型ヘテロ接合体/ホモ接合体)、または伴性遺伝(性別によって発症の仕方が異なる遺伝病)と呼ぶ。遺伝性疾患のうち、アレル特異的遺伝子編集の対象となるのは優性遺伝と劣性遺伝のうちの一部であり、遺伝性疾患の過半を占める。これはOMNIプラットフォーム技術を活用したゲノム編集による治療法の開発領域が幅広いことを意味している。Emendoの調べによれば、遺伝性疾患の治療薬の市場規模は全体で約2兆円、このうち1.1兆円がOMNIプラットフォーム技術の対象領域になり得ると見ており、潜在的な成長ポテンシャルは極めて大きい。ゲノム編集技術を用いた開発が活発化するなかで、OMNIプラットフォーム技術に対する注目度も一段と高まることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■Anges 的发展现状 <4563> emendoBio
1。基因组编辑技术和 OMNI 平台功能
基因组编辑是指一种使用DNA裂解酶(核酸酶)的技术,该技术仅切割特定的核苷酸序列(目标序列)来修改目标基因。自2012年出现一种名为CRISPR/Cas9(CRISPR/Cas9)的创新技术以来,该技术可以在比以前更短的时间内轻松切割靶向DNA序列,使用基因组编辑技术开发新药的运动在制药行业也变得活跃。使用由美国Vertex Pharmicals <VRTX>和瑞士CRISPR疗法<CRSP>共同开发的使用相同技术的遗传性血液病 “镰状细胞贫血*” 的治疗方法于2023/11年度在英国首次获得批准,同年12月在美国首次获得批准。它是一种通过基因组编辑技术对从患者身上收集的造血干细胞进行基因改造并通过注射将其返回人体来获得治疗效果的治疗方法。
*镰状细胞贫血是一种由于遗传异常而导致红细胞中所含的血红蛋白(用于输送氧气的蛋白质)变形的疾病,因此红细胞会变成镰状并容易破裂,从而引起贫血症状。当症状恶化时,毛细血管会被破裂的镰状红细胞阻塞并出现剧烈疼痛;如果氧气供应长期减少,器官会受到氧气供应减少的不利影响,从而导致肾衰竭或心力衰竭。美国的患者人数约为10万人,据说其中大多数是黑人。传统上,除了接受具有相应 “HLA类型”(一种白细胞)的捐赠者捐赠的造血干细胞外,没有其他治疗选择。本次批准的目标是12岁及以上经常出现血管闭塞危象的患者。
CRISPR/Cas9技术具有 “脱靶效应”,可切除与靶基因(序列类似于靶DNA序列)不同的位置,安全性一直是一个问题,但自从它首次获得批准以来,似乎已经克服了一个障碍。对此,eMendo自主开发的OMNI平台技术的特点是一项高度安全的技术,通过高效搜索和优化可高精度切出靶DNA序列的独特核酸酶(OMNI核酸酶),避免 “脱靶效应”。内部开发的250多种核酸酶也已申请专利。在使用基因组编辑技术开发药物时,不仅需要效率,还需要安全性,因此我们将OMNI平台技术的特性作为一项优势进行评估。
另一个特征是等位基因特异性基因编辑是可能的。等位基因特异性基因编辑是指通过仅靶向异常基因而不损坏对立等位基因(等位基因)之一进行编辑。人类有两个等位基因(等位基因),父系和母系为一对,当一个等位基因序列异常时发生的遗传疾病称为显性遗传(功能增益突变/单倍体功能不全),而在两个等位基因都缺乏所需的基因时发生的遗传病称为隐性遗传(复杂杂合子/纯合子)或相关遗传(具有不同方式的遗传病)发病视性别而定)。在遗传性疾病中,接受等位基因特异性编辑的疾病属于显性遗传和隐性遗传,占遗传性疾病的大多数。这意味着使用OMNI平台技术进行基因组编辑的治疗有广泛的开发领域。根据Emendo的研究,治疗遗传性疾病的药物的总体市场规模约为2万亿日元,其中1.1万亿日元预计将成为OMNI平台技术的目标领域,潜在的增长潜力极大。随着使用基因组编辑技术的开发变得更加活跃,预计对OMNI平台技术的关注将进一步增加。
(作者:FISCO 客座分析师佐藤乔)