先週、円空売りポジションはヘッジファンドや高純資産投資家から約30〜40%増加した。それは、アジア通貨の下落による利益を狙って、円さえ売り、豪ドルや英ポンドに資金を投入しようとする流れが続いたためである。
日本の中央銀行が利上げの期待が緩和する中、円のキャリートレードが再び盛り返しているようだ。
8月16日、野村国際が報告書によると、企業クライアントやヘッジファンドなど、分散投資が増えたことから、アービトラージ取引を行う投資家が市場に再び参入し始めたことを示している。
ATFX Global Marketsによると、先週の間、ヘッジファンドや高純資産投資家から約30%〜40%が円の空売りに変更したとのこと。ATFXのアナリストであるNick Twidale氏は、「投資家が高収益資産を購入する戦略の一部として、円の空売りポジションを再度建てる兆候がある」と指摘している。
米国の小売業売上高が予想を上回ったことから、円のキャリートレードが大きく戻っている。野村銀行ロンドン支店のG-10貨幣現物取引責任者であるAntony Foster氏は、「いくつかの口座が円を売却し、豪ドルとイギリスポンドを購入している」と明かしている。
8月初めには、日本の中央銀行が利上げを実施したため、米国の景気後退懸念から、日本円は一時的に142まで上昇し、7か月ぶりの高値を記録し、円のアービトラージ取引が売却潮を引き起こした。しかし、日本の中央銀行が段階的に弱気を打ち出したことと、米国のインフレ率が緩和したことから、8月5日以来、円は米ドルに対して5%以上下落している。
円のアービトラージ取引の解消がゆっくりと落ち着きつつあるようだ。現在、円は米ドルに対して149の水準まで戻っている。
重要な問題は、今年日本の中央銀行が再び利上げするかどうかである。
今年日本の中央銀行が再び利上げするかどうかは、アービトラージ取引に参加しようとする投資家にとって重要な問題である。アナリストたちは、日本の中央銀行が静観する場合、円のアービトラージ取引が再び盛り上がると予想している。
日本の株価が急落する中、市場の慰留のため、日本の中央銀行の副総裁である内田真一は、金融市場が不安定であれば、日本の中央銀行はさらなる利上げを行わないと発表した。Forex.comとCity Indexのグローバル調査責任者であるMatthew Wellerは、「内田真一氏の発表によって、アービトラージ取引家たちは再び円の空売りに走り、高収益通貨や資産を購入することに緑の光を与えた」と評価している。
今、岸田氏が辞退するとのニュースが再び日本の経済前景に不確実性をもたらしている。アナリストたちは、岸田氏が辞退すると、財政や通貨環境が締め付けられ、日本の中央銀行のさらなる利上げを促すかもしれないと考えている。
先日、日本の総理大臣である岸田文雄氏が、9月に退任するというニュースが出た。岸田氏は、拡張的な財政政策を提唱することにより、日本株と日本円が今年それぞれ歴史的な高値と30年以上の安値を記録した。岸田氏が日本の中央銀行の利上げに反対していたことを考慮すると、多くの候補者が通貨政策の正常化を主張している中で、岸田の辞退は日本の中央銀行の再び利上げすることを促すかもしれない。
8月23日に日本の中央銀行総裁が議会で発言する予定があり、トレーダーたちは日本の通貨政策への姿勢についてさらに理解を深めることができるかもしれない。
しかし、最近円が下落したにもかかわらず、8月初旬の急騰を考慮すると、投資家は円を売却することについて慎重な姿勢を取っているようだ。
野村證券のAntony Foster氏によると、「市場は非常に脆弱であり、いくつかの空売りポジションは既に解消された。8月6日時点で、米国商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、投機家たちは、大きく空売り円のポジションを減らした。
一方で、M&G Investment Managementは、円の上昇局面に備えて資金を削減している。同社は、「日本円は低評価されているが、この状況が一定期間続く可能性がある」と言っている。M&Gのフィックスドインカム本部の主任であるJim Leaviss氏は、「日本円は安くなっているが、我々はすぐに公正価値に戻ると考えるほど愚かではない」と語っている。