今週の米国株は、ジャクソンホールでのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長講演を無事に通過したことで安心感が高まり、主要3指数は史上最高値更新を試す展開を迎えそうだ。史上最高値間近のNYダウとS&P500に比べて、ナスダックは史上最高値を5%ほど下回っているが、28日のエヌビディアの24年5-7月決算発表後の値動き次第では十分射程圏と考える。
エヌビディアは6月に史上最高値(取引時間ベースで140.76ドル)をつけた後、下落基調を強めていたが、8月5日の取引時間中の安値90.69ドルをボトムに反発。足元130ドル水準まで値を戻しており、決算発表への期待感は高まっている様子。世界中の半導体株などテック銘柄への影響力が非常に大きい銘柄であることから関心は非常に高い。主要3指数がそろって史上最高値を更新できるかは、エヌビディアの決算にかかっている。
一方、パウエルFRB議長は9月会合での利下げ幅を明言しなかったが「強い労働市場を支えるためにできることを何でもする」と語った。つまり9月上旬に発表される雇用関連の経済指標が市場予想を大きく下回る内容となった場合、0.50%利下げ実施も十分ありうる。年内3回(0.75%)の利下げ実施を市場は織り込んでいるが、一度に0.50%の利下げ実施となれば、8月上旬同様、市場はリセッション入りを強く意識する可能性はある。雇用関連の経済指標が発表される前の来週は、景気敏感株などへの買いが入りそうだが、9月第1週は神経質な地合いとなりそうだ。
経済指標では、26日に7月耐久財受注、27日に4-6月四半期住宅価格指数、6月住宅価格指数、S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数、8月コンファレンスボード消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、28日に週次原油在庫、29日に4-6月国内総生産(GDP、改定値)、週次新規失業保険申請件数、7月中古住宅販売成約指数、30日に7月個人所得、PCEデフレーター、8月シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。
主要企業決算は、26日にBHPビリトン、27日にボックス、28日にアバクロンビー&フィッチ、セールスフォース、クラウドストライク、HP、エヌビディア、29日にベスト・バイ、デル、ルルレモンなどが予定されている。