■主力株が総じて強い地合いに
今週の新興市場は大幅上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+0.79%だったのに対して、グロース市場指数は+4.63%、グロース市場250指数は+5.16%と新興市場の上昇が目立った。プライム市場同様、売買代金はさほど膨らんでいないが、投資家心理の改善を背景にグロース市場Core指数構成銘柄など時価総額が大きい主力株が総じて強い地合いに。グロース市場250指数は8月1日の寄付き時点の水準(641.96pt)まで値を戻した。
時価総額上位銘柄では、JTOWER<4485>がTOB価格3600円にサヤ寄せしたほか、週末こそ売られたが、GENDA<9166>が一部メディアでの特集報道もあり12連騰で上場来高値を更新した。アストロスケールHD<186A>は、連結子会社が宇宙航空研究開発機構(JAXA)と商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズIIの大型契約を締結すると発表し買われた。この他の銘柄では、SBIレオスひふみ<165A>が株式分割や配当予想発表などを材料に買われたほか、アンジェス<4563>、シンバイオ製薬<4582>、セルシード<7776>などバイオ関連の一角がにぎわった。一方、足元物色されていたフルッタフルッタ<2586>やソレイジア・ファーマ<4597>など株価2桁銘柄は売り優勢となった。
■投資家心理を材料に個別物色が広がる可能性も、IPOは1社
来週の新興市場は、戻り一服となりそうな状況だ。プライム市場では日経平均が38000円水準で上値が重くなっている。この水準は価格帯別売買高でボリュームが多いことから戻り待ちの売り圧力が強い様子。グロース市場250指数が、急落前の8月1日の水準に戻したことから、プライム市場同様、新興市場も戻り待ちの売りが出やすい状況と言えよう。売買代金は1000億円少しと商いはさほど膨らんでいない。9月相場を意識した投資家が、主にプライム市場の高配当銘柄や優待銘柄狙いに関心を向けていることも商い伸び悩みの要因だろう。戻り待ちの売り圧力を吸収できる売買代金が欲しいところだ。
とはいえ、消去法的な低位銘柄の物色は一巡し、時価総額が大きい銘柄が強含む展開となっていることから投資家心理は良好と言えよう。バイオ関連や宇宙関連といったテーマ性が高い銘柄の物色が強まる余地は十分ある。バイオ関連では、今週下落したChordia Therapeutics<190A>やペルセウスプロテオミクス<4882>などに循環物色が向かう可能性はありそうだ。また、宇宙関連のQPS研究所<5595>も25日移動平均線を上回れば一気に動きそうなムードはある。新興市場の指数の上値は重くなりそうだが、投資家心理を材料に個別物色が広がる可能性はある。
なお、8月29日にはハウステンボスや公共施設などの施設管理及び廃棄物焼却炉や資源リサイクル施設等の建設を手掛けるCross E ホールディングス<231A>が福岡Q-Board市場へ上場する。地方市場単独上場のため関心は低いかもしれないが、今週末に環境省が廃棄物処理事業者向けの法人税の減税措置を求めるとの報道でリネットジャパングループ<3556>が急騰したことから、廃棄物処理事業者として関心が向かう可能性はあり注目したい。